[山田厚俊]【“増税します解散”に有権者の答えは?】~それでも関心は低く、盛り上がりに欠ける衆院選~
山田厚俊(ジャーナリスト) 「山田厚俊の永田町ミザルイワザルキカザル」
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「“消費税増税先送り解散”というより、“増税します解散”だ。本来、先送りするだけなら、景気条項に照らし合わせて判断したというだけで済んだはず。なぜ、700億円もの税金を使って、この年の瀬に解散しなければいけないのか」
解党が決定したみんなの党の議員の一人はこう憤る。解散によって、それぞれの思惑の違いから、解党に進んでしまったからだ。とはいえ、単なる“恨み節”ではなく、お説ごもっともの話である。
増税先送りは、9月から囁かれていた話だ。景気の落ち込みは深刻で、8月は広島の土砂災害、お盆を過ぎてからの気温の低下など、消費の低迷は目に見えて落ち込んでいたからだ。官邸関係者は言う。
「増税先送りで支持率低下を抑える一方、国際公約となっている以上エクスキューズする必要があった。だから、外遊先のスケジュールを意識していた」
その目論見はその通りになった。しかし、解散する理由は見当たらない。自民党関係者は語る。
「要は、他に解散するタイミングが見つからなかった。統一地方選後は、地方議員が動かず勝てない。過去のデータだと、衆院選でギリギリの勝利だったり、参院選では負け越したりしている。やるなら、統一選前で、今回がベストタイミングだった」
しかし、だとしたら有権者無視の自分勝手な解散でしかない。解散の大義が何一つ見えないからだ。党利党略は必要であるにしても、これでは有権者はたまったものでない。
「しかし、受け皿となる野党が相変わらずバラバラ。たとえ、民主党と維新の党が選挙区調整したからといって、前回民主党に投票した人が今回は維新の党の候補者に投票できますか。結局は自民党になる可能性が高い」(前出・自民党関係者)
絶対、今度は増税しますと言って解散に踏み切った安倍首相に、国民はイエスと答えるのか。関心度が低く、盛り上がりの欠ける衆院選に、有権者はどう判断するのだろうか。
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