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.政治  投稿日:2018/3/1

分党は止むをえない 希望の党松沢成文参議院議員


「細川珠生のモーニングトーク」2018年2月17日放送

細川珠生(政治ジャーナリスト)

Japan In-depth 編集部(駒ヶ嶺明日美)

【まとめ】

・否定して出た民進党と一緒になるのは支援者への裏切り行為。

・分党の話は玉木代表の方から出た。

・憲法改正について細川氏は、野党が代案を出し与党と国会で論戦すべきと述べた。

 

今回のゲストは希望の党・参議院議員団代表の松沢成文氏。松沢氏は2月7日の役員会で、党創設メンバーと党執行部の「分党」を提案した。さらに9日、民進党の大塚耕平代表は、希望の党代表の玉木雄一郎氏に、「分党」後に合流して新党を結成することを提案している。昨年10月の衆議院議員選挙から、約4ヶ月。現在の野党再編の動きがどうなっているのか、渦中の松沢氏に、政治ジャーナリストの細川珠生氏が話を聞いた。

まず細川氏は「希望の党分党という報道が出ている。何があったのか。」と一連の動きの真相を質問した。松沢氏は、まず、民進党と希望の党が1月に統一会派を結成しようとして失敗したことについて、「我々希望の党を作ったメンバーは、民進党を否定して離党した人と、保守改革の新しい政党として(希望の党を)作った。憲法や安全保障は現実的な政策でやっていく代わりに、国内の経済政策、社会政策やエネルギー政策では必ず政府与党に対案を出して戦う路線で行く、と。にも関わらず、それで一回否定して出てきた民進党とまた一緒になりたいというのは支援者への裏切り行為になると私たちは猛烈に反対した。だが、(統一会派構想は)上手くいかなかったので、むしろ反省して、希望の党独自の保守改革の路線で頑張ってもらえると思っていた。」と述べた。

その上で、今回の「分党」問題に至った経緯について以下のように説明した。

「今度は民進党だけでなく、立憲民主党も含めて大きな塊にならないと国会で勝負が出来ないという理論が出てきた。」そこで、松沢氏は玉木代表に路線を明確にするよう要請し、玉木氏もそれに応じたという。

しかし、玉木氏が出した路線は、憲法改正、安保法制、野党連携において松沢氏ら党創設メンバーの考えとは異なっていた。憲法については「我々は『9条を含めて改正議論を進める』という公約だったが、『憲法改正の是非も含めて検討する』となっていた」ため、憲法改正をしない方向にもなりかねないと懸念を示した。

安保法制については、「我々は限定的に集団的な自衛権を認めて日本の独立を守らなければならない、と安保法制に賛成した立場。しかし民進党から来た人たちは当時反対だった。そこで安保法制の政策も修正していくという。そこでも大きく食い違った。」と述べた。

さらには野党間の連携についても、「『民進党、立憲民主も含めて大きな器を作るために連携していきたい』という路線で私達と全く違う。これでは一緒に出来ないと言ったら、玉木代表の方から『分党を考えます』と言ってくれた。民進党と一緒になってまた復活したい人はそれでいいし、我々のように保守改革の路線で、今は第3極でもここで頑張っていくという人達はそれでいいということで、7日の委員会で分党をお受けします、となった。」と説明した。

玉木氏らの動きについては、「後から入ってきて、それで上手く行かないからまた民進党に戻りたい、と。そのためにはハードルが高すぎるから、少し低くして、民進や立憲民主にも受け入れてもらいたいと考えているようにしか思えない。政党の基本的な政策を選挙が終わってからころころ変えることは容認できない。」と厳しく批判した。

次に細川氏が憲法9条改正についての考えを質した。

松沢氏は「私の究極の目標は、憲法をみんなで議論して変えられる民主政治にすること。憲法は、国会で議論して、国民に判断してもらって、民主政治の中で変えていい。その政治を作らないといけない。」と述べると、細川氏は、「安倍政権は9条について非常に中途半端な議論をしている。2項を残して自衛隊を書く、ということにどれだけの意味があるのか。」と自民党安倍総裁の改憲案の意義に疑問を呈すると共に、どのような憲法9条の改正を提案をするつもりか聞いた。

これに対し松沢氏は、「9条が否定している交戦権は侵略戦争や国際的な紛争を解決するためには使えず、日本は独立国家として、自衛権はある。その自衛権を担保するために自衛隊を置く。そして自衛隊は文民統制の下に置く、と書くべき。」と述べた。

さらに、9条の2項については、「安倍首相は公明党を始め、平和主義を強調する方にも味方になってもらうために、1項、2項を残して自衛隊を書き込みたいのだろう。私は、3項に自衛権を書く(べきと考える)。各国の自然権として認められている自衛の権利は、1項、2項があっても日本は持っている。この“自衛権”を書いて、それを担保するために自衛隊を置く、自衛隊は文民統制の下に置くと書く。そう提案したい。」と述べた。

細川氏が、「私が知る限りその案は、民進党の大野元裕氏、希望の党の長島昭久氏、立憲民主党の山尾志桜里氏が(共有している)。このテーマで野党は連携できるのではないか。」と述べ、野党議員が超党派で代案を出して与党と議論すべきであるとの考えを示した。

また細川氏は、「分党というのはイメージが残念だ。こういうときこそ自民党安倍政権がごまかしている政策について突いていく勢力として、野党の役割は非常に重要だ。」と述べ、野党共闘体制が必要な場合があることに期待感を示した。

松沢氏は、「憲法の改正については、自由にものが言える政党でないと出来ない。昨年憲法調査会で憲法改正論を述べたら、他党の幹部に『うちの憲法調査会ではそこまで議論が進んでないから、先に勝手なことを言うと不協和音が起きる。』と言われた。憲法と安全保障についても、明らかに路線が違うということが分かった以上、それぞれ別の道に行った方がお互いのためだと思う。」と述べ、引き続き分党に意欲を示した。

また、第3極の重要性について、「自民党と民進党の2大政党だけでは国民の多様な意見を吸収、議論できない。中道勢力は必要。国益によっては自民党と組み、憲法改正は一緒にやる。安倍政権がおかしいことをやったら、野党と連携してそれを阻止する。良いものは良い、おかしいところはおかしい、という勢力があってこそ政党政治はまともになっていくのではないか。」と述べた。

最後に、今後については「来年夏の参議院の選挙では、複数選挙区で我々も候補者を立てられるような政党になるよう基盤を強くしていきたい。」と決意を語った。

(この記事はラジオ日本「細川珠生のモーニングトーク」2018年2月17日放送の要約です)

 

「細川珠生のモーニングトーク」

ラジオ日本 毎週土曜日午前7時05分~7時20分

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この記事を書いた人
細川珠生政治ジャーナリスト

1991年聖心女子大学卒。米・ペパーダイン大学政治学部留学。1995年「娘のいいぶん~ガンコ親父にうまく育てられる法」で第15回日本文芸大賞女流文学新人賞受賞。「細川珠生のモーニングトーク」(ラジオ日本、毎土7時5分)は現在放送20年目。2004年~2011年まで品川区教育委員。文部科学省、国土交通省、警察庁等の審議会等委員を歴任。星槎大学非常勤講師(現代政治論)。著書「自治体の挑戦」他多数。日本舞踊岩井流師範。熊本藩主・細川家の末裔。カトリック信者で洗礼名はガラシャ。政治評論家・故・細川隆一郎は父、故・細川隆元は大叔父。

細川珠生

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