自民総裁選「石破氏は出る」後藤田正純衆議院議員
「細川珠生のモーニングトーク」2018年1月13日放送
細川珠生(政治ジャーナリスト)
Japan In-depth編集部(東谷晃平)
【まとめ】
・個人消費を喚起する為には「モノ消費」から「コト消費」への転換が必要。
・自民党総裁選に石破氏は必ず出馬する。
・地方で強い石破氏を国会議員票でひっくり返すようなことはすべきではない。
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今回のゲストは元内閣府副大臣で衆議院議員の後藤田正純氏。
まず、細川氏は「安倍政権は今年で6年目に入ったが、この5年間は一定の評価を受けた。しかし、安倍政権が国民生活を良くしたのかどうか、多くの人が実感できていない。」と述べ、景気回復は道半ばであるとの考えを示した。その上で、「国民が自分たちの暮らしが良くなったと思えるには今後どのような政策が必要か」と質問した。
後藤田氏は「現在は個人消費が減っている。その要因の1つに良いものが世に出ていない。」と述べ、個人消費が喚起できていない事が問題であるとの考えを示した。そして、「生き方やライフスタイルをどう変えていくかが肝心だ。「モノ」から「コト」への変革の時代にしていくべきだ。」と述べ、商品の所有に価値を見出す「モノ消費」より、商品やサービスを購入した体験に価値を見出す「コト消費」にシフトしていくことが重要だとの考えを示した。
かつて、日本に家電メーカーはたくさんあった。しかし、多くがひたすらに技術革新を求めた結果、消費者には違いがわからず選ぶことができない。その結果、後から出てきた海外メーカーに負けることになってしまった。
こうした状況に対し後藤田氏は、「メーカーが資源配分を時代の流れに合わせてやっていれば現在の状況になることはなかった。」とした上で、「いくら生産者が独りよがりのイノベーションを行っても売れなければ意味がない。良いと評価されるものをいかに作っていくべきかだ。」と述べ、企業がよりマーケットに近い商品やサービスを開発すべきだとした。
次に細川氏が「コト消費」について具体的にどのようなものがあるか質問した。これに対して、後藤田氏は「形がないもの、体験、感動などのこと。」とし、「日本ではこれらをマネタイズし、産業化していくという準備が供給サイドにできていない。日本はコト消費に関して後進国である。」と述べた。また、欧米はスポーツや観光、芸術などの産業化に非常に長けており、大きな経済効果を生んでいる、として日本も見習っていくべきだとした。
次に細川氏は今年9月に控えた自民党の総裁選について触れ、「(石破茂氏が会長の政策集団「水月会」として)どのような気持ちで臨むのか」と質問した。
後藤田氏は「私たちは政党のためでも、派閥のためでもなく、国民のために仕事をしている。」としながら、「その中で自民党の安定政権は必要である」と述べた。一方で「現在の自民党の方針は『より良いレガシーを遺す』という目的からは少し違ってきているのではないか。」と述べ、安倍首相の政権運営に厳しい見方を示した。
具体例として後藤田氏は、「9条改正で中途半端に自衛隊を明記することはおかしい。今のままでは安倍首相のための憲法改正になりかねない。憲法改正は国民のためでなくてはならない。」と述べ、憲法改正について議論を深めるべきだとの考えを示した。
さらに、自民党が党綱領に「自主憲法」の制定を掲げている点についても疑問がある。」とした。「自主憲法制定は手段のはずである。本来、党の綱領にはどのような国を作りたいかという中身を書くべきだ。」とした。
細川氏が「働き方改革」の在り方について問うと、後藤田氏は、「今行うべき改革は働き方改革ではなく、『生き方改革』であるべきだし、女性活躍ではなく、『女性をもっと評価する社会』を作る方が先にあるべきだ。」と述べた。
また、経済政策について後藤田氏は、「デフレは地方や低所得者にとっては物価が低いという点でメリットもある。一概に「デフレ脱却」を掲げるのは幅が広すぎる。」と述べ、新しい体験や感動にお金を使うようにしていくべきだと語った。
最近の動きでは加計学園の問題を上げ、「学園の開設で岩盤規制に穴を空けたとするのは間違っており、もっと別の意味で既得権を打破していくべきだ。」と述べた。具体例として、「国内の航空運賃はとても高い。これを大幅に下げれば、内需拡大につながる。」述べ、内需拡大に向けて規制緩和することが重要との考えを示した。
細川氏が再び自民党総裁選について、「石破さんは総裁選に必ず出るのか」と問うと後藤田氏は「石破さんは必ず出る。その中で『自分たちが良いと思うものが良い』のではなく、『評価されたものが良い』という考えを広めていく。」と述べた。
また、「前回の総裁選では(石破氏は)地方で強かったが、国会議員がそれをひっくり返した。今回同じことを自民党の議員が起こせば、再び政権交代が起きる可能性もある」として、総裁選は国民の意思を反映したものにすべきだ、との考えを強調した。
細川氏は「組織が安泰を望んでいるという点が改革を阻害している。違う視点の政策をどんどん出していくべきだ。」と述べ、現政権の改革に対する姿勢に厳しい見方を示すと共に、通常国会での活発な論戦に期待感を示した。
(この記事はラジオ日本「細川珠生のモーニングトーク」2018年1月13日放送の要約です)
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この記事を書いた人
細川珠生政治ジャーナリスト
1991年聖心女子大学卒。米・ペパーダイン大学政治学部留学。1995年「娘のいいぶん~ガンコ親父にうまく育てられる法」で第15回日本文芸大賞女流文学新人賞受賞。「細川珠生のモーニングトーク」(ラジオ日本、毎土7時5分)は現在放送20年目。2004年~2011年まで品川区教育委員。文部科学省、国土交通省、警察庁等の審議会等委員を歴任。星槎大学非常勤講師(現代政治論)。著書「自治体の挑戦」他多数。日本舞踊岩井流師範。熊本藩主・細川家の末裔。カトリック信者で洗礼名はガラシャ。政治評論家・故・細川隆一郎は父、故・細川隆元は大叔父。