放送法4条撤廃に反対 泉健太衆議院議員
「細川珠生のモーニングトーク」2018年4月7日放送
細川珠生(政治ジャーナリスト)
Japan In-depth編集部(駒ヶ嶺明日美)
【まとめ】
・テレビが国民から一定の信頼を得ているのは放送法4条の効果。
・ネットメディアの自由さも公序良俗や犯罪に関わらない範囲で維持すべき。
・止まっている国会審議は総理訪米帰国後になる。
衆議院議員で希望の党国会対策委員長の泉健太議員に政治ジャーナリストの細川珠生氏が、政府内で放送法第4条撤廃論が浮上していることに触れ、第4条の撤廃は政権側にとってデメリットの方が大きいのではないかと疑問を呈した。
放送法の第四条:
放送事業者は、国内放送及び内外放送(以下「国内放送等」という。)の放送番組の編集に当たつては、次の各号の定めるところによらなければならない。
一 公安及び善良な風俗を害しないこと。
二 政治的に公平であること。
三 報道は事実をまげないですること。
四 意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度 から論点を明らかにすること。
(編集部注 出典:e-Gov)
泉氏は「世界中でフェイクニュースが話題となり、政治側からもフェイクニュースが出てくる可能性があるなかで、日本のテレビが国民から一定の信頼を得ているのは放送法4条の効果。」と述べ、放送法第4条は国民が安心してテレビを視聴できる要因となっているとして、その撤廃に反対との考えを示した。
細川氏は、全般的なテレビ放送のあり方に対して、視聴者には不満もあるのではないかと指摘し、メディアが変わっていくべき方向性について聞いた。
これに対して泉氏は、博報堂が小・中学生を対象に実施したアンケートにおいて、ネットへの信頼度は71.3%である一方でテレビへの信頼度は徐々に下がっていることに言及し、「放送法4条は、国民がテレビを安心して見られる環境を作っている。一方で、現在ネットには規制がほとんどなく、個人と事業主の発信が“ない交ぜ”(編集部注:いっしょくた:ごちゃまぜ)になっている状態だ。放送法は存続しつつ、ネットメディアの自由さも公序良俗や犯罪に関わらない範囲で維持していくべき。」と述べた。
編集部注:「こども20年変化」博報堂生活総合研究所 http://seikatsusoken.jp/wp/wp-content/uploads/2017/07/kodomo_zokuhou0718.pdf
続いて細川氏は、安倍政権における相次ぐ文書改ざん問題、防衛省の日報の存在が未報告であった問題、裁量労働制を巡る厚生労働省のデータに不備があった問題、年金受給者の一部のデータ入力が中国の業者に委託されていた問題などを挙げ、「政治と行政の関係に留まらず、様々なところで安倍一強体制ゆえに緊張感が欠けているのではないか」と述べ、これらを質していくための野党の国会戦略を聞いた。
まず、泉氏は「15年ほど議員を務めているが、役所による文書の改ざん、不備なデータに基づく国会答弁の作成、公文書の隠蔽が立て続けに起こったのは初めて。すべて総理や大臣の答弁に絡んでおり、総理や大臣の答弁に合わせるような国会提出資料の改ざんが起きていることを疑わざるを得ない。国会議員に役所からおかしな資料が提供されて、その前提で議論すれば間違った結論になってしまう。その元で法律が成立する可能性もあり、看過出来ない。」と事態は深刻であるとの考えを強調した。
また、防衛大臣が「ない」と繰り返し答弁してきた日報が存在した問題については、「とんでもないこと。真相解明のために防衛省の当時の陸上幕僚長、あるいは防衛事務次官を国会に呼びたいと言っていたが、与党からよい返事がなかったので、一旦国会が止まっていた。しかしながら6日金曜日の朝、国会で与野党の国対委員長会談で、参考人にそういった方々を呼ぶ可能性や、予算委員会での集中審議ということも見えてきたので、国会は再び動き出したという状況だ。」と説明した。
時期については未定だが、「4月11日の森友加計問題を中心にした集中審議とは別に、総理訪米の帰国後、早い時期」で合意したという。
最後に細川氏は民進党と希望の党の合併について質問した。泉氏は、「例えば党首討論や証人喚問で、一つ一つの党の時間が細切れになってしまう。まとまった政党になることによって、論理だった論戦がより可能になる。また、希望の党は次の政界再編含みで、これまでに全国の党員募集を行っていない。野党として、国民の皆さんに訴えられるような体制を作りたいということで、この民進党との合流に動き始めた。」と合併への動機を説明した。
これに対し、細川氏が、希望の党が旧民進党から分かれた理由は掲げる政策が異なっていたからだったにもかかわらず、野党再編で再び合併することの是非を改めて問うと、泉氏は「昨年の希望の結党当時、前原代表は民進党の政策・理念をできる限りそのまま存続することを条件に、党内の了承を得て希望の党に合流した。民進党出身の希望の党議員の大半は民進党の政策を背負いながら合流している。しかしその後小池氏が希望の党の運営から身を引き、執行部も玉木氏に変わるなかで、より民進党の政策に希望の党がシフトしてきた。」と述べ、希望の党の政策がこれまでに旧民進党のものに近くなってきていると述べた。
その上で、「しかしそれ以前から希望の党の政策を掲げてきた方々が仲間として存在していたことは事実であり、その方々と分党の協議を進めている。」と現状を説明した。
(この記事はラジオ日本「細川珠生のモーニングトーク」2018年4月7日放送の要約です)
「細川珠生のモーニングトーク」
ラジオ日本 毎週土曜日午前7時05分~7時20分
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トップ画像:泉健太衆議院と細川珠生氏 ©Japan In-depth編集部
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この記事を書いた人
細川珠生政治ジャーナリスト
1991年聖心女子大学卒。米・ペパーダイン大学政治学部留学。1995年「娘のいいぶん~ガンコ親父にうまく育てられる法」で第15回日本文芸大賞女流文学新人賞受賞。「細川珠生のモーニングトーク」(ラジオ日本、毎土7時5分)は現在放送20年目。2004年~2011年まで品川区教育委員。文部科学省、国土交通省、警察庁等の審議会等委員を歴任。星槎大学非常勤講師(現代政治論)。著書「自治体の挑戦」他多数。日本舞踊岩井流師範。熊本藩主・細川家の末裔。カトリック信者で洗礼名はガラシャ。政治評論家・故・細川隆一郎は父、故・細川隆元は大叔父。