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.社会  投稿日:2019/11/18

五輪治安対策もほどほどに 東京都長期ビジョンを読み解く!その80


西村健(NPO法人日本公共利益研究所代表)

「西村健の地方自治ウォッチング」

【まとめ】

・外国人サポーターの迷惑行為に批判の声。

・世界的イベントでは感情の開放に寛容になっても良い。

・迷惑行為だと決めつけず、異文化交流の場にしてみては。

 

■ 東京オリパラの厳しそうな治安対策

「4年に一度ではない、一生に一度だ」のラグビー・ワールドカップが成功のうちに終わってから、ラグビーロスの人も多いだろう。私のその成功を踏まえると、森喜朗さんの手腕の凄さを痛感した。今度の五輪にも期待したいところである。

さて、この熱狂とともに外国人サポーターが夜の街で騒いだり、暴れたり、街中でスクラムを組んだり、ラグビーをしたり、電車内で人間ピラミッドを組んだり・・・・「マナーが悪い」「迷惑行為」「五輪大丈夫?」との批判もあがった。外国人観光客のマナー懸念も言われていてそれを踏まえ、東京五輪・パラリンピックでの治安対策も厳戒な感じで行われることが推察される。商店主の中には危惧している人もいるだろうし、当然のことだろう。

 

■ 「迷惑行為」批判への反論

外国人の迷惑行為をよく思わなかったり、警戒したり、批判したくなる気もわかる。その場にいて被害を受けたらそれは迷惑に感じることだろう。

しかし、こうした意見に個人的には違和感を感じてしまうのです(申し訳ないですが)。世界的なイベントなのだから、「しゃーない」のではないかと。

全くの他人から見たら、確かに見苦しい点もある。ただ、ホスト国でもある。

「フーリガン」のようにモノを壊したり、渋谷のハロウィンのように車をひっくり返するわけでもない。

 ・日本的ルールを押し付けているのでは?

 ・迷惑行為というのもわかるけど、ちょっとは許容できないか?

と思ってしまう。

過去、ブラジル・ワールドカップで経験した光景を話そう。

▲写真 ブラジル・ワールドカップ バスの中の様子 出典:著者提供

日本VSコロンビア戦。コロンビアが勝利した、その夜。バスのなかで、コロンビアの人たちが騒ぎだした。ジャンプして、上下に揺れる揺れる。コロンビア人も「お前らもどうだ」と誘ってきたので、僕らも同調した。あの心の一体感は忘れられない。ブラジル人、コロンビア人のハイタッチとジャンプ!バスの運転手も笑ってクラクションを鳴らす始末(笑)。

日本は負けたけど、心の交流がとても楽しかった。今でもいい思い出になっている。その時、日本の人は数人いたが、俺ら以外は誰も騒がなかった。感情を抑える日本人を奇異な目で見られていたし、幸せそうじゃないなあと思ってしまった。これは海外にいると良く見るが、日本人はきさくに打ち解けられない事が多い。それは、英語の出来るか、出来ないかではない。感情を解放できるか否か、なのだ。注意して欲しいがここでは、「そうすべき」と言いたいわけではない。

こういうイベントは、ある意味「祭り」なのだ。だから、参加者は思いっきり感情を開放・爆発してもいいんじゃね?と思うのだ。

 

■ 自分らしく感情を発露してもOKでは?

五輪でも「盛りあがり」をこれほどまでテレビでは強調する。そんな「盛りあがり」至上主義!なのに、日本的な世間的なルールを守るように強制される。人間らしさを超えた「一定のルール」を課すのはどうなのだろうと思う。こういう騒ぎは世界的イベントにはつきものである。

日本社会、特に都市部に皆が参加できる「祭り」の場はないことのほうが問題だ。

このままだと、何かと「クレームがある」「迷惑」という一部の声が、自由な場を奪って、社会の閉塞感がますます進むだけ。都内の公園だと五輪の正式種目であるスケボーすら規制される。

個人的に羽目を外すことは好きではないのでしないが、普段の生活でうっぷんがたまっている人が騒ぐ場があっても、ちょっとくらいは許容してはと思う。警察の方が大変なのは本当にわかるのだが。

 

■ 異文化理解の場に

先日私は、中国上海で「ちょっと声が大きいから静かにして」と中国人の若者に言って、囲まれて、喧嘩になったことがある。恐怖しか感じなかったけど、あーこういう風な人たちなのだとは理解できた。殴りかかっては来なかったけど、凄い主張をされた。英語喋る奴らと事実に基づき議論した。

その時思ったのは文句を直接言うことより、楽しく大騒ぎに一緒に参加するほうが相手を理解できる。そもそも楽しいということ。

 ・迷惑行為という自分の見識が、日本的な基準に従っていること

 ・外国人はどういう悪態をつくのか?ストレスを発散させていくのか?

 ・感情をストレートに表現し、空気を読まないという点

 ・日本人はなぜきちっと守るのか?

 ・日本もルールを守る節度は素晴らしいけど、「・・・はダメ」という文化は生き辛い

などなど、外国人や自分たちをより理解できるチャンスでもある。

そうすると、他人への寛容さも持てるようになる。まーしゃあないかと。

自分たちの価値観で「迷惑行為」と目くじら立ててジャッジして遠ざけるより、一緒になって騒ぎ、経験することこそ、真の「国際交流」ではないかな。

東京五輪・パラリンピック。秩序や規制と自由のバランスを考えていくべきだと思うのだ。

トップ写真:海外サポーター 出典:ラグビーワールドカップFacebook


この記事を書いた人
西村健人材育成コンサルタント/未来学者

経営コンサルタント/政策アナリスト/社会起業家


NPO法人日本公共利益研究所(JIPII:ジピー)代表、株式会社ターンアラウンド研究所代表取締役社長。


慶應義塾大学院修了後、アクセンチュア株式会社入社。その後、株式会社日本能率協会コンサルティング(JMAC)にて地方自治体の行財政改革、行政評価や人事評価の導入・運用、業務改善を支援。独立後、企業の組織改革、人的資本、人事評価、SDGs、新規事業企画の支援を進めている。


専門は、公共政策、人事評価やリーダーシップ、SDGs。

西村健

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