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.政治  投稿日:2020/3/3

「新型ウィルス 景気対策急務」Japan In-depth編集長安倍宏行


細川珠生(政治ジャーナリスト)

「細川珠生モーニングトーク」2020年2月29日放送

Japan In-depth 編集部(坪井恵莉)

【まとめ】

・新型コロナウイルス対策は子どもを持つ家庭に打撃を与えた。

・今回を機に育休制度や働き方改革の進展に期待。

・政府が新型コロナウイルスを甘く見ていた責任は否めない。

 

今回はゲストにジャーナリストでJapan In-depth 編集長の安倍宏行氏を招き、新型コロナウイルスへの政府の対応とその影響ついて政治ジャーナリストの細川珠生が話を聞いた。

冒頭に細川氏と安倍氏は北海道が2月28日に史上初の非常事態宣言を発表したことに触れ、原則として外出を控えるよう要請した北海道の対応について「かなり厳しいもの」であるとの認識を示した。

また安倍氏は、政府が各自治体に幼稚園、小・中学校、高校の一斉休校を要請したことが大きな波紋を広げていると指摘した。細川氏は「子どもを学校に通わせていることに対して不安があった保護者も結構多い。自主的に学校を休んでも欠席扱いにしないという対応を学校は取ってきた。学校からしてみれば政府の要請は自分たちが個別に行ってきたことが認められるという意味では気が楽になる」と述べた。

安倍氏は、一方で特に共働きの家庭などでは「子供の面倒を見るとなると親は仕事を休まなければならない。収入が減った分の補填をどうするかという問題がある」と述べた。細川氏は正規社員は様々な休暇制度を積極的に利用するべきだとしたうえで「パートや非正規で働いている人は給料が直結するとなると簡単には休めない」として、雇用している企業、それが困難な場合には政府が補償する必要があるという考えを示した。

また、細川氏は今回に限らず、インフルエンザなどで自分の子供が学級閉鎖・学校閉鎖になった際に仕事の調整に苦労した経験を明かし、「自分の子どもがインフルエンザであれば自分もうつっているかもしれないので、先方の理解は早い。自分の子供が元気なのに学級閉鎖・学校閉鎖になった時にはそれを理由に仕事を休むことが出来ない」と現状を明かした。更に多くの企業が育休の取得期間を保育園入学までに設定していることに対しても「(範囲を)小学校6年生までに広げて、子どもを家に一人で置いていけない年齢については親が面倒を見ることが可能になる制度を作ってほしい」と述べた。

これに加えて安倍氏は男性の育休取得テレワークについても、今回をきっかけに日本社会に普及することへの期待感を示した。テレワークについては細川氏も「テレワークだと仕事が進まないと思い込んでいるところがあると思う」述べ、「子どもを家に一人で置かないことを一番に考えて、多少子供に邪魔されながらでもやってみる(べき)」だとした。

安倍氏は今回の経験を「日本社会の大きなパラダイムシフトにつなげていくべき」だとしつつも、再び訪れるであろう感染症の脅威に対して「正しく恐れる」ことの重要性を指摘した。具体的には「(新型コロナウイルスの)情報が錯綜しているが、よくよく考えてみれば、やるべきなのは手を洗う、うがいをする、換気をする、湿度を保つなど当たり前のこと。やたらめったら恐れるのではなく、やるべきことをきちんとやる事が重要なのではないか」と述べた。

細川氏は年度末、学校では期末テストや卒業式が行われる学年末の重要な時期に休校措置を取った政府の責任は大きく、「もっと早くにやるべきで、そうすればここまでの打撃はなかったはずだ」と述べた。安倍総理大臣は「学校が感染源になっていないから先手の対応である」と主張しているが、細川氏は政府の対応について「完全に後手」であり「政府が甘く見ていた責任は否めない」との見方を示した。安倍氏は大人の移動や海外からの渡航者が制限されていない以上「まだまだ安心はできない」と、これからの対処に課題が残っていると指摘した。

もう一つの課題として安倍氏は景気の下押し効果への対処をあげ、株価が暴落する中、フリーランスや個人事業主への影響に懸念を示したうえで、今後の政府の対応に注目すると述べた。細川氏は消費税の引き上げと暖冬によって個人消費が落ち込んでいることから、追加経済政策への必要性を認め、「経営が厳しくなる中小企業への救済策は急務だろう」とした。

細川氏は「日本で感染症に対する危機管理が不足していた」として、インバウンドが増え、色々な外国人が国内に流入することを想定していなかったこと、また各種の保険に感染症への補償がないことを改善点に挙げた。加えて安倍氏は「アメリカのCDC(感染症対策センター)のようなものが日本にない」ことを指摘し、「どのような行政機関が必要なのかも検討すべき」だと述べた。

日本社会に大きな影響を与えた今回の新型コロナウイルス対策だが、細川氏は子どもを持つ家庭への負担を改めて強調しつつも「この程度までの感染で何とか抑え込めれば、効果がなかったわけではない」と述べ、安倍氏は「冷静に見ていくしかない。一日も早い収束を願いましょう」と締めくくった。

(この記事はラジオ日本「細川珠生のモーニングトーク」2020年2月29日放送の要約です)

 

「細川珠生のモーニングトーク」

ラジオ日本 毎週土曜日午前7時05分~7時20分

ラジオ日本HP http://www.jorf.co.jp/index.php

細川珠生公式HP http://hosokawatamao.com/

細川珠生ブログ http://tamao-hosokawa.kireiblog.excite.co.jp/

トップ写真:ⒸJapan In-depth編集部


この記事を書いた人
細川珠生政治ジャーナリスト

1991年聖心女子大学卒。米・ペパーダイン大学政治学部留学。1995年「娘のいいぶん~ガンコ親父にうまく育てられる法」で第15回日本文芸大賞女流文学新人賞受賞。「細川珠生のモーニングトーク」(ラジオ日本、毎土7時5分)は現在放送20年目。2004年~2011年まで品川区教育委員。文部科学省、国土交通省、警察庁等の審議会等委員を歴任。星槎大学非常勤講師(現代政治論)。著書「自治体の挑戦」他多数。日本舞踊岩井流師範。熊本藩主・細川家の末裔。カトリック信者で洗礼名はガラシャ。政治評論家・故・細川隆一郎は父、故・細川隆元は大叔父。

細川珠生

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