「国会には野党の一員として是々非々で臨む」国民民主党大塚耕平参議院議員
細川珠生(政治ジャーナリスト)
「細川珠生モーニングトーク」2020年10月24日放送
Japan In-depth編集部(油井彩姫)
【まとめ】
・資金繰りを面倒見て貰っても今の事業では多分無理という人に対しどうするかが問題。
・政府には、不祥事や物議を醸すようなことはやめてもらう。
・国会には野党の一員として是々非々で臨む。
今週のラジオ日本「細川珠生のモーニングトーク」は、参議院議員で国民民主党の大塚耕平氏をゲストに迎えた。大塚氏は日本銀行の出身でもあることから、コロナ禍における日本の経済について、政治ジャーナリストの細川珠生氏が話を聞いた。
今年の9月11日、新たな国民民主党が結党された。旧国民民主党のほとんどの仲間は立憲民主党の結党に参加する中、衆参合わせて15名という少数野党に参加した大塚氏。いばらの道ともいえる選択をしたことの理由について、細川氏が尋ねた。
大塚氏は、理由は大きく二つある、と述べた。
一つは、「改革中道政党という立ち位置の政党が今後も必要だと思ったこと」と述べ、新たな国民民主党も基本的な理念は踏襲しているとした。二つ目の理由は、「旧国民民主党のファウンダーの一人としては国民民主党でやりたいという人が一人でもいれば一緒にやるのが筋だろう」という考えからだという。
細川氏は、「立憲民主党は改革中道ではないということか」と聞いた。
これに対し、大塚氏は、「旧国民民主党の結党宣言は自分が書き下ろした。日本の政治に欠けているものは、『正直な政治』、『偏らない政治』、『現実的な政治』、これが本当に大切だ。中道、というのは決して足して2で割るということではなく、常に現実的な答えを一つ一つ出していくこと。そのためには異なる意見も否定しない、充分に話し会って、一定の結論を出して、決まったことには従う。そういう意味で(立憲民主党は改革中道とは)ちょっと違う」と述べた。
次に、メインテーマである経済の話に移った。
昨年の消費税増税に始まり、今年のコロナ禍という状況で、GDP成長率が深刻な数字を示している。これからさらにひどくなるという予想もある中で、早急に何が必要なのか、細川氏が聞いた。
大塚氏は「三重苦」として、『潜在成長率が1%前後という低迷した経済構造』、『消費税増税によるダメージ』、『コロナ禍で経済が一瞬にして消失したこと』を挙げた。それを踏まえたうえで、第一段階として必要なのは、「当面のキャッシュフロー」だとした。
「特に大きく影響を受けた観光業、飲食業、個人を中心に乗り切れない状況になっている。第一段階として我々の主張が通り、10万円の定額給付金を含め、(コロナ発生)直後の3か月から半年はなんとか息継ぎができた」。
ただし、これは永続的に支給出来るわけではない。問題は、この秋以降だ。大塚氏は、「事業継続が難しくなる企業と、雇用が維持されなくなる人に対して、それぞれどうするか考える必要がある」と述べた。その上で、後者については、「雇用調整助成金の期間の延期」などを当面やらねばならない、とした。
細川氏は「事業継続が難しくなる企業については個々の企業で事情が異なるので余計難しい」と指摘した。
これに対し大塚氏は、「資金繰りをもう少し長い事面倒みてくれればなんとかなるという人に対しては、金融行政的な対処の仕方がある」とした上で、「コロナの影響で過大な借り入れをせざるを得なかった人に対しては、返済期間の延長ではなく、弁済の免除をやらない限り持たないだろう」と述べた。
その時には「金融機関側の決算の在り方として、融資を税制上どのように損金扱いにするかとか、金融機関が税制上融資が返済されなくても面倒見ることができる場合、与信先を破綻先と認定しないとか、何とか工夫はできる」と述べた上で、「問題は、資金繰りをいくら面倒見てもらっても今の事業ではたぶん無理という人に対してどうするか」が問題だ。
生活も大きく変わったので、これまでのような経済活動が完全に復活するかどうかというのは非常に難しい、と細川氏は述べた。
大塚氏は、「元のライフスタイルを前提に成り立っていたビジネスが成り立たない。事業転換なり、新たなライフスタイルや経済の構造に対応するためのサポートを、どう政策的に行っていくかだ」と述べた。
来週からはいよいよ臨時国会が始まる。重要なテーマは、コロナと経済ということになるのが、政府に対してはどのように臨むか、細川氏が聞いた。
まず、「民間の工夫を邪魔するな」と強く言うと共に、「余計なことで国会のエネルギーや多くの皆さんのエネルギーを割くことのないように、不祥事や物議を醸すようなことはやめてもらう。とにかくエネルギーを経済や生活に皆さんが集中できるような環境をつくる。これが、政府の責務だ。与党支持の人の中には、不祥事などの情報を取り上げなければいい、という人がいるが、そういうことではない。物議を醸す様な事を起こさなければいい」と述べた。
それに対して細川氏も、「仮に少し違ったかと思えば素直に謝ればよい」とし、「隠そうとか、逃げようとかするから、野党の役割として追求せざるをえない。マスコミもそうだ。自分たちがどうしたらいいか政府が考えてもらいたい」と述べた。
最後に、国会では野党同士協力していくのか、という細川氏の問に対し、大塚氏は、「是々非々」とし、「野党の一員として野党と協力していくこともあれば、答えを出さなければいけないこともある。賛成することは賛成する、反対することは反対する、という当たり前の姿勢で臨みたい」と、決意を新たにした。
(この記事はラジオ日本「細川珠生のモーニングトーク」2020年10月24日放送の要約です)
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この記事を書いた人
細川珠生政治ジャーナリスト
1991年聖心女子大学卒。米・ペパーダイン大学政治学部留学。1995年「娘のいいぶん~ガンコ親父にうまく育てられる法」で第15回日本文芸大賞女流文学新人賞受賞。「細川珠生のモーニングトーク」(ラジオ日本、毎土7時5分)は現在放送20年目。2004年~2011年まで品川区教育委員。文部科学省、国土交通省、警察庁等の審議会等委員を歴任。星槎大学非常勤講師(現代政治論)。著書「自治体の挑戦」他多数。日本舞踊岩井流師範。熊本藩主・細川家の末裔。カトリック信者で洗礼名はガラシャ。政治評論家・故・細川隆一郎は父、故・細川隆元は大叔父。