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.国際  投稿日:2020/12/21

仏、コロナ更なる拡大を懸念


【まとめ】

・季節性インフルエンザより新型コロナが深刻なデータが次々判明。

・万全対策のマクロン大統領も感染。公務での食事中に感染か。

・クリスマス控え自主隔離呼びかけ。通常生活回帰は来年秋以降か。

フランスで行われた研究によれば、季節性インフルエンザの3倍の死亡率という新型コロナ。その上感染力は高く、フランスでの感染拡大はいまだに衰えていません。12月17日の時点においても依然として1万8千人以上の新規感染者が確認されており、ペン一本一本に至るまで消毒するなど万全の対策をしていたエマニュエル・マクロン大統領も感染が確認されました。

今後クリスマスで家族が集まることによって、さらなる感染拡大と体力の弱い祖父母への感染が懸念されています。そのためクリスマスを控えたこの一週間は、特に気を引き締めて感染防止をするように呼びかけられています。

新型コロナは、季節性インフルエンザの3倍の死亡率

新型コロナおよび季節性インフルエンザについて、フランス国立保健医学研究所(Inserm)とディジョン大学病院による研究結果が発表されました。フランスの公立および私立の病院に入院した約13万人の患者全国データに基づいたこの研究で以下のことがわかりました。

1) 新型コロナで入院した患者の死亡率は季節性インフルエンザの3倍(インフルエンザ5.8%に対して新型コロナ16.9%)

2) 新型コロナの患者の多くは集中治療で入院する必要があり、平均入院期間は季節性インフルエンザのほぼ2倍(インフルエンザ8日に対し、新型コロナ15日)

3) 季節性インフルエンザと比較して、18歳未満の子供が新型コロナが理由で入院することは少なかったが、5歳未満の子供の割合が高い(インフルエンザ65/ 6973人に対し、新型コロナ14/613人)

4) 2018~2019年インフルエンザシーズンの最盛期の入院と比較して、パンデミックの最盛期に新型コロナで入院した人の数はほぼ2倍(インフルエンザ4万5819人に対し、新型コロナ8万9530人)

5)新型コロナの患者は季節性インフルエンザより重篤化する割合が大きい。(入院して集中治療室に入院した患者の割合がインフルエンザ10.8%に対し、新型コロナ16.3%)

6)新型コロナの患者の4人に1人以上が急性呼吸不全に苦しむが、季節性インフルエンザの場合5人に1人未満

よって、新型コロナは季節性インフルエンザよりもはるかに深刻であり、予防対策の重要性が強調されています。

エマニュエル・マクロン大統領の感染は食事中に?

しかし、万全の対策は可能なのでしょうか?あれだけ予防していたマクロン大統領が感染しました。マクロン大統領のブリジット夫人が感染していないことから公務で感染したことが疑われています。そこで一番疑わしいのが会食の時間ではないかと言われています。なぜなら、食事中は唯一、マスクをしないで会談する場であるからです。

科学評議会のメンバーであるアルノー・フォンタネ教授によれば、新型コロナに感染した3400人のボランティアと、感染していない1700人のボランティアにインタビューした研究結果では、バーやレストランに頻繁に行っている人が感染リスクが高いことが分かりました。それが、現在フランスで、レストランの閉鎖が継続されている根拠にもなっています。

▲写真 新型コロナは飲食店に頻繁に行っている人のほうが感染リスクが高い、という。写真はパリ市内の飲食店。

出典:パリ市公式ホームページ

日本の理化学研究所のスーパーコンピューター「富岳」で新型コロナ対策の評価を進めるチームが発表した飛沫(ひまつ)に関するシミュレーション結果でも、飲食店は、「密」になりやすく、言葉を交わす機会も多い状況であり、感染リスクが高いとわかっています。咳ではなく会話の場合、飛沫の勢いは1mで急激に勢いを失い、2メートルの距離があればほぼ飛沫は届きませんが、飛沫は話しかけた相手に対してまっすぐに飛ぶ性質が強く、感染者が相席者に均等に話しかけた場合には隣席にもっとも多く飛沫が届くことなども分かっています。

クリスマス時に、家族が集まる際は要注意

そんな中、気になるのが来週に控えたクリスマス。フランスではクリスマスには家族で集まるのが伝統です。しかしながら食事のときに予防しようと思っても、家庭で使われる小さい食卓では隣との間を1m以上の間隔をあけて座ることはほぼ無理です。アメリカやカナダでもサンクスギビングデーの後に、感染の拡大が確認されました。

そのためにもクリスマスになるまで感染しないことが最も重要とされ、クリスマス1週間前から自主隔離生活することが呼びかけられました。そして子供が自主隔離のため学校を休んでも大目にみるようにと呼びかけられたのです。フランス人のクリスマスへのすごい意気込みを感じます。

科学評議会の議長を務めるジャンフランソワ・デルフレシ氏は、ワクチン接種に予想以上に時間がかかる可能性があり、国民が通常生活に戻れるのは来年秋以降になるとの見解を示しています。まだまだ続く抑制された期間の中、このクリスマスだけはひと時のほっとできる瞬間。フランスでは今年のクリスマスはより一層大切で思い出深い時間となりそうです。

<参考資料・記事>

La Covid-19 entraine 3 fois plus de décès que la grippe saisonnière – Newsroom:新型コロナは季節性インフルエンザの3倍の死者を出す – ニュースルーム

Covid-19 : les restaurants, « lieux à risques », selon une étude:新型コロナ:「リスクの高い場所」としてレストラン、調査で判明

せきの飛沫は2m以上飛ぶ スパコンで予測動画

見えない飛沫、正しく回避 スパコン「富岳」で可視化


この記事を書いた人
Ulalaライター・ブロガー

日本では大手メーカーでエンジニアとして勤務後、フランスに渡り、パリでWEB関係でプログラマー、システム管理者として勤務。現在は二人の子育ての傍ら、ブログの運営、著述家として活動中。ほとんど日本人がいない町で、フランス人社会にどっぷり入って生活している体験をふまえたフランスの生活、子育て、教育に関することを中心に書いてます。

Ulala

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