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.政治  投稿日:2021/1/10

「コロナ対策と外交、問われる菅政権の真価」ジャーナリスト安倍宏行氏


細川珠生(政治ジャーナリスト)

「細川珠生モーニングトーク」2021年1月2日放送

Japan In-depth編集部(油井彩姫)

【まとめ】

・昨年のコロナ対策で、日本政府の判断は全てにおいて遅かった。

・東京五輪に向けては準備が相当大変となり、開催は難しい。

・都知事選、小池百合子氏への支持はあるが、4年前と状況異なる。

今週のラジオ日本「細川珠生のモーニングトーク」では、新年1回目の放送を行った。政治ジャーナリストの細川珠生氏が、2021年の政治の課題について、ジャーナリストでJapan In-depth編集長である安倍宏行氏と共に語った。

細川氏は、2020年を振り返り、「とにもかくにもコロナだった。去年の今頃には全く想像していなかったような1年になった」と述べ、現状には「ようやくアメリカやイギリス、欧州を中心にワクチンの接種が始まった一方、変異化したウイルスもイギリスを中心として広がっており、コロナとの戦いは峠も越えていない」と述べた。

安倍氏は、「中国からの渡航を止めるのも日本政府は遅かった。政府の判断は遅いと多くの国民が感じているのではないか」と述べ、コロナ対応が適切に行われていないことを批判した。

また、ウイルスの変異について安倍氏は、「当初から言われていた」とし、「ウイルスは刻一刻と変化していくもので、それが厄介だ。どんなウイルスが日本の国内に入ってくるのか、戦々恐々としている関係者は多い」と述べた。

細川氏も「イギリスで変異したウイルスが広がっているという報道があったと同時に止めるべきだった」と述べ、「世界各国40カ国ほどが止めた後から日本は追随する形だったので、残念だ」と述べた。

そして細川氏は、「東京オリンピックが1年延期され、今年一応開催予定になっている。ワクチンが本当に日本に来るのか。きちんと選手が皆打つのか。今でさえ医療崩壊と言っているが、外から(ウイルスが)入ってくればまた感染者は増える。治療薬等、医療体制の再構築、準備が相当大変だ」と懸念を示した。そのうえで、安倍氏に、オリンピックについてどう思うか、聞いた。

安倍氏は、「開催は非常に厳しい状況だ」と述べ、「開催を諸手をあげて歓迎しているのはオリンピック関係者だけではないか」との考えを示した。細川氏も歓迎しているのは「あとは政府、政権だろう」と述べた。安倍氏は、「彼らから変異種が入ってきたらどうなるのか。あらゆる国から選手や関係者が入ってくる。医療体制の再構築を含めて、国民は不安に思っている。それに対して(政府は)なんら答えていない」と批判した。

さらに細川氏が、「中止の判断もしないし、やるとはっきりも言わない」と述べ、「多分政権はやりたい(のだろう)。菅政権はここに起死回生をかけており、人類がウイルスに勝ったオリンピックを成功させた、という理想像を描いているように思える」との見方を示した。そして、「今年衆議院の総選挙が必ずある。これにかなり影響を及ぼす」と述べた。

続けて安倍氏は「菅内閣が発足した時に、菅氏は『おかしいことは直していかねばならない』と言った。何を正してくれるのかと思ったが、おかしいことだらけだ」と述べた。「国民に外食するなと言っていて、お年寄りばかり8人以上で会食した。あれで国民の信頼を一気に失ってしまった」と例を挙げ、「国民の声がちゃんと届いていないのではないか。乖離してしまっている。今度の総選挙は、自民党にとって非常に厳しいものになる」と予測した。

さらに、細川氏が、東京都議会議員選挙に言及し、「前回の都議選は、小池百合子都知事率いる都民ファーストが大躍進して都議会自民党が大惨敗した選挙だった」と振り返ったうえで、「この構図も今回維持しているわけではなく、都民ファーストの小池百合子知事離れというのもある」と述べた。そして「小池百合子知事は昨年再選したので未だに支持はあるし人気も落ちては居ない。ただ、4年前の都議選とはだいぶ状況は違うし、都議選もどうなるか分からない。選挙に関わる人達にとっては不安要素がかなり増えている」と述べた。

安倍氏は、「都民ファーストの議員の中にはフレッシュな方もいて、小池旋風で当選した方がいっぱいいる」とし、「結局は個々の議員がこの4年間どれだけ汗をかいたのか、地元でどれだけの支持を維持できたのかに尽きる。その人次第ということだ。都民ファーストブランドを都民はほとんど覚えていないだろうから、都民ファーストというだけでは受からない」と述べた。

細川氏は、「都議は当選してしまうとなかなか活動が見えてこない」と述べ、「小池都知事は毎日のように目にすることはあっても、そこに対して都議は何をしているのかというのが非常に分かりにくい」とし、「都議選の前に都民の人たちはもう一度都議がこの4年間何をしてきたかということを調べて選挙に臨んでほしい」と、都議選への姿勢を促した。

安倍氏は、さらに今年は千葉県知事選もあると付け足した。

また、「海の外のアメリカでは、バイデン氏が第46代大統領として1月20日に就任式。同時に副大統領が女性初で、黒人とアジア人の流れを汲むカマラ・ハリス氏が就任する」と述べ、「今はまだトランプ氏が大統領だが、早速、コロナ対応が大きく見直されている。米中関係が非常に注目される。また、ヨーロッパとの関係も再構築される。菅総理も就任後はできるだけ早いうちに会うということなので、しっかりと外交してきてほしい」と、菅政権の外交に期待を寄せた。

また安倍氏は、「バイデン大統領になり、米中関係はどうなるのか、色々な論考が既に出始めている。バイデン氏は民主党、つまりオバマ氏の外交政策を引き継ぐのではないかと言われているが、バイデン氏自身が大変高齢で、言っていることとやることに乖離があるとの見方もあり、トランプ氏ほど強硬姿勢は取れないのではないかと評する人もいる」と述べ、「日本としては米中関係どのような方向に行くか、非常に気になる。注意して見ていかないといけない」と述べた。

細川氏は、「バイデン氏は、中国のことをよく分かっている弁護士を通商代表にする等、自分が高齢でできない分、色々な人を要所要所に置いている」と述べた。「(そうした人の)意見を最終的にどこに集約をするのか」に関しては懸念を示した。

一方、日本の政策に関しては、「菅総理がしっかりと、国内も外交も対処して欲しい。そこには今かなりの不安がある」と述べた。

それに対して安倍氏は、「外交面の手腕ははっきり言って未知数。菅氏が外交で実績を上げていくのはまさにこれからだろう」と述べた

最後に細川氏は、「今年の早いうちにいいコロナ対策が出来てほしいと思うが、ワクチンもまだ日本に入ってきていないので、私達は引き続き自己防衛をしながら気をつけてこの感染症と戦っていく1年になる」と述べ、安倍氏は「コロナ対策が菅政権の致命傷にならないことを願う。国民は早く安心安全を届けてほしいと思っている」と締めくくった。

(この記事はラジオ日本「細川珠生のモーニングトーク」2021年1月2日放送の要約です)

「細川珠生のモーニングトーク」

ラジオ日本 毎週土曜日午前7時05分~7時20分

ラジオ日本HP http://www.jorf.co.jp/index.php

細川珠生公式HP https://hosokawatamao.com

細川珠生ブログ https://blog.excite.co.jp/tamaohosokawa/

トップ写真:©︎Japan In-depth編集部




この記事を書いた人
細川珠生政治ジャーナリスト

1991年聖心女子大学卒。米・ペパーダイン大学政治学部留学。1995年「娘のいいぶん~ガンコ親父にうまく育てられる法」で第15回日本文芸大賞女流文学新人賞受賞。「細川珠生のモーニングトーク」(ラジオ日本、毎土7時5分)は現在放送20年目。2004年~2011年まで品川区教育委員。文部科学省、国土交通省、警察庁等の審議会等委員を歴任。星槎大学非常勤講師(現代政治論)。著書「自治体の挑戦」他多数。日本舞踊岩井流師範。熊本藩主・細川家の末裔。カトリック信者で洗礼名はガラシャ。政治評論家・故・細川隆一郎は父、故・細川隆元は大叔父。

細川珠生

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