衆院選「公明党だからできること・できたことの発信に努める」公明党選挙対策委員長西田実仁参議院議員
安倍宏行(Japan In-depth編集長・ジャーナリスト)
Japan In-depth編集部(磯部里帆)
「編集長が聞く!」
【まとめ】
・菅政権の1年間は、デジタル庁発足、カーボンニュートラルへの決断、ワクチン担当大臣の設置やメーカートップとの直接交渉、具体的なワクチン接種目標等、大きな仕事を行ってきた点は評価できる。
・公明党としては、総選挙に向けて公明党だからできること・できたことについてオンラインやSNSも含めて積極的な発信に努める。
・公明党の総選挙に向けた具体的な政策としては、コロナ克服に加えて、子ども・教育支援、経済の再生、防災減災を掲げる。
安倍: 与党の立場からこの菅政権の1年間どう評価しているか?
西田氏: 率直に色んな考えた事を一つ一つ着実に仕事をした1年だと思う。例えば、デジタル庁を1年で作るということは大変なことだ。1つの庁を作るには様々な準備が必要な中で、それをスタートさせたことだけでもすごいこと。
カーボンニュートラルの決断をしたこともそうだろう。脱はんこもそう。あとは公明党が20年来訴えてきた不妊治療の保険適用に関しても決断し、来年度から実施する運びになった。1年でやったことが思いつく限りだけでもこれだけある。連立政権で我々が主張してきたことが具体的なものになったという思いがある。
安倍: コロナに対してはどうか?
西田氏: コロナが一番のメインだった。コロナも、この1年大変ご苦労されてきたけれども、決定打であるワクチン接種に全精力を注ぎ込んできた、といっても過言ではない。もちろん、治療薬も非常に大事だが。ワクチンについてはちょうど1年前になるが、7月にわが党の感染症専門医師でもある秋野公造参議院議員が、海外のワクチンが世界中で争奪戦になるということで、早めに確保しなければならないと国会質問した。
そのためには補正予算を待っていては間に合わないと、予備費使ってやらねばと言った。政府側もそれに応えて、その2週間後にファイザー社と基本合意し、さらにはその一週間後にはアストラゼネカ社と基本合意した。その後、実際接種していくという時、菅政権で取った政策には3つ画期があった。
1つは、ワクチン担当大臣を作ったこと。色々評価はあるかもしれないが、加速するために専任の担当大臣を置いたことは大きかったのではないか。
加えて、基本合意はしたものの、EUの規制等、日本にワクチンが来る困難はいろいろとあった。その中で、総理が自ら、アメリカに行って首脳会談の時にファイザーのCEOと電話会談した。「日本はそんなに感染が広がっていないから後でいいじゃないか、年内には出すのだから」という声も上がる中、CEOに対して、現地で直接言って、量を確保して早めさせたのはやはり大きかった。
加えて(接種を)加速化するために、1日100万回という(目標を設定した)。当時はこれも相当批判されたり、できないなどといわれたりしたが、それを具体的な数字を目標に出して、それを今やり続けている。もちろんそれに協力してくださっている医療従事者の方々、また自治体、国民の皆様のおかげだが、1つの目標をきちんとリーダーが示して、それに向かって皆が結束し、引っ張っていくチーム力の強さは大きかったのではないか。
この3つがリーダーとしてこの画期を作り上げた。当初はどうしても日本での承認が急いでできないこともあり、3ヶ月4ヶ月半ぐらいアメリカなどから遅れていたワクチン接種も、どうやら今週ぐらいには逆転するぐらい加速している。遅れた、遅れたと言われていたことを取り戻した。そういう意味で総理のリーダーシップは大変大きかったと思う。
にもかかわらず、なぜ支持率は上がらないのかということが問いだと思うが、そこは冷静に受け止めなければならない。(結果を出している)ことが伝わらなかったことが、参議院補選や再選挙、さらには首長選挙に、実際に投票行動として表れた。そこは冷静かつ謙虚に受け止めて、そういうことをどう伝えていくか、政府はもちろん、我々与党としても考えねばならない。
安倍: 地方選の結果に対してどう考えているか?
西田氏: 我々も色々と分析している。我々が推薦した候補が残念ながら勝てなかったこともあるので、選挙結果を冷静に分析をしている。選挙区ごとに色々と背景が違うわけだが、共通して言えることは、一つは保守層の人たちが自民党・公明党が推薦している候補に対して投票していないと。普段は支持しているけれども、実際に投票行動に移してないというのは大きい。
もう一つやはり無党派層が最終盤で、(国政における)野党系の候補に大きく流れているいうこと。特に横浜市長選挙はそうだった。ここは、やはりしっかり見なければならないと思っている。
安倍: 年内には衆議院選が必ずあるわけだが、戦略は?
西田氏: 我々は9つの小選挙区に候補を抱え、比例区での勝利も目指している。具体的には小選挙区9人の全員当選、比例区では800万票を既に目標に掲げている。小選挙区と比例区と分けて申し上げると、小選挙区については保守層の自民党支持層からしっかり支持を取り付け、後は無党派層と言われる支持政党のない人達の支持を取って勝つことが必要だ。
我々の調査で、無党派層の中で「今のままの自公政権でいい」という人と「いや変えたほうがいい」人を比べると、「変えたほうがいい」という人の方が多い。大変厳しい選挙情勢が小選挙区にある。
比例区は、今自民党の総裁選が行われているので、自民党の支持率は2017年当時を上回る勢いだ。立憲民主党も自民党総裁選がマスコミで報道されるのが多いから、その分へこんでいるのではないかと言われる。けれども、我々が見るところでは決してそのように表れていない。立憲は2017年の前回の選挙の水準を下回っていない。日本共産党も高い支持率がある。その中でわが党の比例区は、自民党総裁選の煽りもあるのか、埋没してしまっているブロックもある。この状況で、比例区についても情勢は大変に厳しい。そのような認識を持って今取り組んでいる。
ではどうするかというと、やはり公明党だからできた、という実績を語り、かつやはり公明党だからできるのだというその公約を、より多くの人に知っていただく必要があるのではないか。
その際、昔から言われているように、衆議院選挙の2票制、クロス投票、つまり、小選挙区で入れる立候補者の名前と、その候補者が所属する政党が、仮に自民党だとしても比例では公明党と書いてくれること(を期待したい)。
無党派層は、小選挙区と比例区で入れる政党が違うクロス投票、小選挙区ではこの人、しかし比例区ではその人の所属する政党ではない政党という形でバランスを取る行動をとる割合が、他に比べて高いという分析がある。したがってこのような方々、支持政党なしの方々に対して、特に公明党だからできたという実績、公明党だからできるという公約、これをより多く知っていただくことが何よりも大事だと我々は考えている。
安倍: 先ほど無党派層の中には政権交代を希望する層はいると聞いたが、どのくらいの割合なのか?
西田: 具体的な数字は言えないが、傾向としてある。
安倍: ただ野党の政党支持率を見ると、立憲に政権を渡そうとまで思っている人が多いとはなかなか思えないが?
西田氏: 我々は1ヶ月前の話をしているわけではなくて、直近の調査も続けてやっている。多くの人がメディアの皆さんの分析と同じように思っているわけではたぶんなくて、コロナの大変厳しい状況とか、あるいは暮らし向きが良くならないとか、コロナの様々な大変さと、コロナで膨れ上がってきたコロナ前の色々な問題、これらがより大きくなって押し寄せてきて、二重三重ご苦労されている方々がたくさんいらっしゃるわけで。そこに政治の光を当てていかないと、足元をすくわれていくと思う。
安倍: 岸田氏は「分配」が重要だといっている。富の分配、再配分をやることは重要と公明党も考えているのか?
西田氏: ご指摘頂いた通り、我が党はかつて「支え合う社会」というのをテーマに掲げた選挙もあった。今回は「日本再生へ 新たな挑戦。」ということを既に発表している公明党の政策パンフレット(衆院選に向けて政策の方向性を示す内容)のテーマに据えており、それがトータルの目標、重点政策、キャッチコピーのもとになる。
その中で分配の具体例を申し上げる。個人的な見解だが、労働分配率ひとつ取ってみても、法人企業統計でみると、例えば資本金が10億以上の1995年度と2020年度を比べると、役員の報酬は14%も伸びている一方、従業員の報酬は2%減っている。労働分配率は付加価値に占める賃金・雇用報酬なので相対的なものになる。だから分母を大きくとれば小さくなるし、分母が小さくなれば大きくなるということからすると、景気の良し悪しや、上昇基調なのか、下降基調なのかによって変わってくる。
一概に議論すべきでもないことは承知の上であえて中期的なタイムスパンでいうと、やはり大企業の役員がすごく増えている一方で、従業員の方は減ってきている。
私は国会でも取り上げたことがあるのであえて申し上げると、上場企業に求められているコーポレートガバナンス・コードの中には、株主の権利の確保とともに、従業員等との適切な協働が謳われているわけであり、まさしく適切な労働分配は大企業に課せられた責任だろう。
コロナで、いわゆる「K字回復」、すごく好調な業種と、ものすごく大変な業種と分かれている。かつ非正規で特に女性の方々がこのコロナで大変な窮地に追い込まれ、しわ寄せがいっている。そのような人たちの所得が上がるようにしていくことが大きな今の課題だと思っている。
▲写真 ⒸJapan In-depth編集部(石田桃子)
安倍: そのためには政府は財政をある程度出動させていかざるを得ないということか?
西田氏: 当面はそうだと思う。私は税制調査会長もやっているので、税制について触れさせて頂くと、子どもの貧困に着目した税制として、わが党が推進したひとり親控除の創設を取り上げたい。これまで寡婦控除というものがあったが、それは親に婚姻歴があり、離婚したり死別したりしたら、ひとり親の所得から一定の控除がなされ、税負担が軽くなるという仕組みだった。けれども、結婚していないけれどお子さんをお持ちのシングルマザーの方もいらして、家計の厳しさは同じにも関わらず、その税負担は重くなっている。
だから、子どもの貧困に着目した税制に変えるべきだと主張して、6年ぐらいかかったが、一昨年にひとり親控除という名前に変えて、親の婚姻暦の有無に関係なく、税負担が軽くなる税制が実現した。それも当然財政出動に繋がる。
衆議院選挙に向けて、一つの柱にしているのは、子どもに対する給付だ。子どもに着目をした給付を新たにやるべきだと、山口代表も先般総理に会った時に申し入れている。
人口減少というこの日本が抱える大きな課題の中で子育て支援というものが欠かせない。子育て支援において子どもに着目する。親がどうだということではなく、子どもに着目した支援を考える必要がある。
今のところワクチンは12歳までは打てない。だから、万が一学校とかで感染して家に戻れば、家庭内感染が増えて、お母さんが非正規で働いていれば子供がかかると家にいなければならない。そうすると会社やパートを辞めなければならなくなる。収入源が断たれてしまって、なおさら大変な状況になるようなことが実際既に起きている。今こそ子どもに着目した支援をしていかなければならない。
安倍: 次の選挙で重要なのは、浮動票に対するアピールだと認識しているか?
西田氏: 本当におっしゃる通りである。公明党だからできたことの一つは、消費税の軽減税率だ。これは公明党が政党のなかで唯一ずっと野党時代から訴えて国会でも取り上げてきた。消費税が大事なことは誰もが分かる。もう社会保障を安定させていく基礎年金の国庫負担、介護や教育支援、幼児教育・保育の無償化にも使われている。
けれどもやはり逆進性があるので、所得の少ない人ほど負担感が多い。ならば、せめて食べるものぐらいは上げないで、ということで始まったのが軽減税率だった。
自民党は当初慎重で、財務当局も当然税収減になるので(反対だった)。しかし少しでも国民の皆さんに消費税率の引き上げを理解してもらうには絶対に必要だと公明党は、政権交代前から訴えてきたことを3年かけてようやく制度化までこぎつけた。実際には一昨年10月から始まった。これはまさに公明党が与党の中にいなければできなかったことだと思う。
視点を変えると、今私が取り組んでいるもので、「政治とカネ」の問題もある。当選無効となった議員の歳費返納の義務化というものは、今の法制度のもとではできない。先の参議院広島選挙区の再選挙で、「当選無効なのに、歳費が全額払われているのはおかしい」というご指摘が随分あった。
しかし憲法の問題等色々あって、それは難しいというのがこれまでの常識だったわけだが、やはり有権者のお一人お一人の声をしっかりと政治が受け止めて、本当に難しいのか、どうしたらできるのかと考えるべきだというのが公明党の主張だった。
公明党が5月にこうすればできる、という法改正案をまとめて、自民党との協議に入った。私は、自公の歳費法改正のプロジェクトチームの共同座長を務め、自民党と水面下では何度となく、与党PTとしては3回の協議を重ねた。自民党の共同座長は柴山昌彦代議士。一緒に協議し、これなら自公できちんとやっていけるという案を取りまとめ、歳費法の改正案の骨子を作った。今後、野党の皆さんとも協議をしていきたい。当初は意見が違ったり、立場が違うようなことでも、自公で話し合って、幅広い国民の皆さんに理解頂けるような法案骨子を作ったつもりだ。
そういうことができるのが自公のこの20年の歴史の積み重ねなのではないか。もちろん選挙協力はするが、何のために選挙協力するのかというと、有権者から負託を受けて、政策を実現するために選挙に臨むわけだ。そういう意味では自公の20年間の積み重ねによって少しでも多くの国民の皆さんに、託して良かったと思ってもらえるような政策を実現していきたい。
安倍: 公明党がいたからこそできたことを国民は忘れてるかもしれない。
西田氏: だから今、YouTubeで「山口なつおチャンネル」というのを作った。代表がやはり顔なので。軽減税率の話もそうだろうし、コロナの対応について刻々と変化していることに対して、今政府にこのように申し入れてこうなりました、これはまだ足りないということなのでここを今申し入れてこうなりました、というのを発信してもらっている。
Instagramも(山口)代表にやってもらった。結構フォロワー数は増えてきている。始めて3週間で7000を超えた。もう少し頑張って、1万を目指したい。
安倍: 立憲と共産の選挙協力とは全然質的に全然違う。
西田氏: 今度も新たな総理が誕生されるということですぐさま時間置かずに連立政権合意を作ることを決めている。一貫していることは、謙虚な姿勢で真摯に政権運営に臨むことだ。
やはり権力の座にずっといると、どうしても謙虚な姿勢が失われてしまうということを自戒しなければならない。そして、政権運営はやはり真摯に取り組んでいかなければならないということをあえていつも確認をし、その上で具体的な政策を実現していく。
できなかった、できたということを検証して、選挙協力をするのはこれをやるためです、ということを示していかないと。特に衆議院の場合は政権を選択いただく選挙だ。選挙に勝つことも必要だが、勝ってこういうことをします、共通してやれることはこういうことです、ということをきちんと有権者に示していくことは最低限必要だ。
示して勝たせていただいたら、ここまで出来たということもまたしっかりお知らせしていく。でもできなかったことは残念ながらあります、次も頑張りますのでまたご支援くださいというようにしていかないと、政治に対する不信というのは高まるばかりではないか。
▲写真 ⒸJapan In-depth編集部(石田桃子)
安倍: 菅総理は、そこまでバッシングされることもなかったという見方もあるが、一方でミスコミュニケーション、うまく伝わらなかった部分があった。
西田氏: そこはもう本当に謙虚に。やはり有権者の皆さんがそういう判断をしている。それは大きい。
安倍: 総選挙までに公明党としても情報発信を強化していくのか?
西田氏: 今は総裁選ではあるが、今申し上げたように次の連立政権中に公明党がいて、こういうことをやる、こういうことをやりたいということをひとつひとつ来週あたりから、代表からあるいは幹事長から発信をしていく。連立政権を組んだ時に実現していくことを国民の皆様に示していく。そうしないと公明党だからできるとか、公明党だからできたということが思い起こしていただけないし、埋没してしまう。
安倍: 代表的な政策としては?
西田氏: やはりコロナ対策。やるべきことはいくつもある。治療薬の問題、あるいはワクチンにしても、3回目も無償で当然で受けられるようにするということも必要になる。
それだけでなく、抗体カクテル療法については、昨日総理が自宅療養者に往診でできるようにという指示を厚労省にしたが、その前日、わが党のコロナ対策本部は同じ視察先を訪問している。わが党は、前々から在宅で療養されている方が外来でも受けられるすべきだとか、往診でも受けられるようにすべきだということを申し入れていた。
日本のコロナ以前からあった問題が、より大きくなって出てきた問題、一つは子育て、それから教育についてしっかりとやっていきたい。子どもに着目した支援は既に代表から総理にも申し入れた。それをもっと具体的に、しかるべき時に代表から発信してもらう。
2つ目はやはり経済の再生が必要。カーボンニュートラル、あるいはデジタル化ということが中心になる。デジタル化というのは、今回申請手続きが遅かったという反省があり、マイナンバーカードを普及させる必要がある。普及のためにかつてマイナポイントというものがあったが、第2弾もやっていきたい。
カーボンニュートラルはご案内の通りだが、実は日本の経済の成長の頭を押さえてきたことの一つに、交易条件の悪化ということが指摘されている。交易条件とは一つの輸入をするにあたってどれぐらいの輸出をしなければならないのかという比率のことだ。
日本は資源を輸入しなければならない国であり、その資源の価格が上がれば上がるほど交易条件が悪化する。だから日本の20年来の経済の流れを見ていると、新興国は得てして資源を持っているから、その勃興は資源への需要を増やし、価格を引き上げる。そのたびに、日本の交易条件が悪化して、日本の富が減っていく。その繰り返しがある。
それをどうやって改善するかという考えでいくと、カーボンニュートラルは、地球環境保全のためだというはもちろんそうだし、環境投資をしていくことで成長するというのも事実だ。そしてもう一つはあまり言われてないが、カーボンニュートラルにするためには、日本の中でエネルギーを生み出す必要があり、それは、日本の富を外に流出させない(外から資源を購入しなくても良い)効果がある。まさに経済の再生、国民の所得を増やしていくことに繋がっていく。カーボンニュートラルを進めていくのも2つ目の柱だ。
3つ目はやはりわが党がずっと言ってきた「防災・減災」。特に「防災先進国」を目指していく。野党の時代から、「防災・減災ニューディール推進基本法」という議員立法を参議院から提案していた。道路や橋梁、河川施設などを総点検して、老朽度の激しい、判定区分の危ない順からしっかりと防災・減災投資をして対策をとる。災害が起きても命を守るための投資を行おうとする法律である。
本年度から五年間で15兆円の事業規模で対策の加速化プランを組んだ。流域治水をやるとか、あるいは命を守る道路を整備するとかだ。そして老朽化している橋とか道路、これをきちんと補強、補修するとか。こういうことで災害が起きても犠牲となる方が出ないような、ハード面と、避難経路を明確にするなどソフト面の両方の策によって防災・減災の先進国にしていく。これが三つ目の柱だ。
こういうことをより具体的に発信をして、メディアの皆様にも出来る限り取り上げていただけるようにしたい。かりに、マスメディアの皆さんに取り上げられなくても、わが党として先ほど申し上げたように「山口なつおチャンネル」とかを通じて発信していく。いろんな人に知っていただく。私どもは小選挙区に9人しかおらず、他のところは比例区だけをやるわけで、「クロス投票」を生かしていかないと、先ほど申し上げた比例区の厳しさを乗り越えていくということは見えてこないと思っている。
安倍: エネルギー政策について、原発再稼働もとより、その先にあるリプレイス、新増設、もっと言えば小型モジュール、核融合、技術の進化みたいなものがずっとある。2050年カーボンニュートラルと2030年のCO₂46%削減というのはかなり無理難題であるという風に思われるが、原発に関してはどう考えているか?
西田氏:そこは今ちょっと総裁選の一つのテーマになっているので、我々の考えはきちんと掲載する予定だが、今は総裁選の最中で、それを申し上げるとどっちに近いとかという評価につながりかねないので、ちょっとコメントを控えたい。元々言ってきたことは、我々は原発に依存しない社会を作っていくので、つまりは原発ゼロを目指していくという。それは別に変えていない。
それから、公明党の取り組みとして、若者向けのコンテンツも配信してきた。「ユーストークミーティング」という、政治に対する意見や要望を、議員が若者から直接聴くような取り組みも何度もやっている。また、「ボイスアクション」というものをやっている。若者の関心が高い政策課題を5つほど並べて、あなたは何を一番実現してもらいたいかということを若者に街頭でシールを貼ってもらうというもので、今回はコロナ禍を踏まえて特設サイトを設け、インターネット上で投票してもらう形をとったが、短期間で70万人以上の声が集まった。
若者の率直な声を政策にまとめて、総理に申し入れをしている。例えば携帯料金は、総理はもちろん陣頭指揮とって行ってはいるが、公明党は青年局でずっと携帯料金の引き下げということを要請してきた。若い人たちの声で携帯料金だけでなく、子育ての問題だとか、就職の問題だとか抱えているいろいろな問題を政策に反映していくことができる機能、働きを公明党は持っていることを訴えていきたい。
今回の選挙でも、このような若い方々の声をどう反映して政策に作り上げ、そして実現するかということが大変に重要であると思っている。
(インタビューは2021年9月16日に実施)
トップ写真:ⒸJapan In-depth編集部(石田桃子)
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この記事を書いた人
安倍宏行ジャーナリスト/元・フジテレビ報道局 解説委員
1955年東京生まれ。ジャーナリスト。慶応義塾大学経済学部、国際大学大学院卒。
1979年日産自動車入社。海外輸出・事業計画等。
1992年フジテレビ入社。総理官邸等政治経済キャップ、NY支局長、経済部長、ニュースジャパンキャスター、解説委員、BSフジプライムニュース解説キャスター。
2013年ウェブメディア“Japan in-depth”創刊。危機管理コンサルタント、ブランディングコンサルタント。