<セブと日本の賃金格差は8倍以上!>海外にいて気づく「日本の商品・サービスのクオリティ」[フィリピン・セブ島で活躍する日本人]
飯村建樹(株式会社エイチビー 代表取締役)
日本だけに留まっていると気付かない事、それは日本の商品やサービスのクオリティの高さだ。商品の良さはもちろん、スタッフの接客の質の高さや対応の速さは日本では当たり前だが、ここセブでは自分が日本人である事を誇らしく思えるほど、クオリティの高さを再認識出来る。
日本人の仕事に対する姿勢はそれほど素晴らしいものなのだ。だからこそ、セブでは、チャンスが至る所に転がっていると私は思っている。
しかしそこには物価の格差と金銭感覚の違いと言う大きな壁がある。特に私が営んでいるカー・コーティング・サービスの様な高付加価値を売る業態は難しい。
コーティングを施さなくても車は走り、洗車をすればキレイになる。そこに10万円かけて更にキレイにしようとする人は、ここセブでは相当なお金持ちしかいないだろう。
なぜなら一般的なセブの賃金からすると10万円はとてつもなく高価だからだ。ではセブの一般的な賃金と、人々の金銭感覚はどの様なものなのか?
まず賃金についてだが、フィリピンにも日本と同じように最低賃金というルールがあり、地区によりその金額は様々だ。私のセブの拠点では正規労働者の1ヶ月最低賃金は約21,000円。
それに対し日本の拠点である神奈川県では1ヶ月約16万円、実に8倍近い格差がある。
住み込みで働くメイドなどは更に低く、月給1万円程度である。また私の業態に近い洗車業などで働く人は完全歩合制で1台洗うと約70円程度が相場だと言う。
昇給でも日本とは金額と考え方において大きな格差がある。年齢給を採用している企業が多い日本だと、定年退職する頃には月給60万円程度になっているだろうが、セブでは初任給以降の賃金は年齢と共に上がることはあまり無い。
どちらかと言うと職能給の様にその都度評価されるパターンが多い。また働くスタッフの考え方も10年後よりも今月の給与を重視する傾向がある。
金銭感覚も日本とはだいぶ異なる。フィリピン人は所得が低くても、貯蓄よりは消費を選ぶようだ。
人々はスマートフォンから手を離さず、食べる事に関してもお金を惜しまない。
この楽観的な金銭感覚のフィリピン人たちが、どこまでカー・コーティング・サービスにお金を払うだろうか。無謀な挑戦かもしれないが、先行きが楽しみである。
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