[山田厚俊]<ASKA事件が及ぼす安倍改造内閣人事への影響>パソナ閣僚を除くと留任できる現職閣僚はわずか4人
山田厚俊(ジャーナリスト)
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集団的自衛権行使を可能とする憲法解釈変更が最大の焦点となっている終盤国会。自民、公明の連立与党の協議がギリギリの攻防を繰り返しているなか、多くの自民党議員の関心の的は改造人事に移っている。安倍晋三首相が内閣改造・自民党役員人事を9月上旬に行う方向で調整に入ったからだ。
今年2月末、安倍首相は自民党参院議員との会合で、内閣改造・党役員人事について「通常国会が終わったらすぐか、臨時国会前のどちらが良いか」と発言。早ければ、7月にも改造人事が発表されると見られていた。
しかし、党内で未入閣組の期待とは裏腹に、安定した陣容であるため、3〜5人程度の改造と見られていた。
事態は一変したのは、CHAGE AND ASKAのASKA容疑者(56=本名・宮崎重明)の覚せい剤取締法違反などの容疑で逮捕されてからだ。この事件で、「株式会社パソナグループ」の南部靖之代表が、東京・元麻布にある保養施設で政官界人脈を広げるパーティーを主催していることが報道され、現職閣僚の多くが大臣就任後も招かれ、出席していたことが明らかになったからだ。
官邸は事態を重くみて、“パソナ閣僚”リストを作成。その多くを改造人事から外すと見られており、留任がほぼ間違いないのは、「麻生太郎副総理兼財務相、岸田文雄外相、甘利明経済再生担当相、菅義偉官房長官の4人」(政治評論家)だけだという。
そのため、各議員の“身体検査”などに時間を要することが9月にズレ込む要因となったようだ。
チャンス到来と、待機組の議員は派閥の領袖や安倍首相に近い関係者への接触を繰り返している。
とはいえ、当選6回以上の自民党衆院議員の中で、未入閣の議員は25人。女性議員の登用も積極的に進めることが予想され、かなりの“狭き門”となるのは必至。入閣を待ち望む議員たちにとって、アツい夏となりそうだ。
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