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.社会  投稿日:2023/4/8

人を信用するな「新入社員に贈る言葉」その6


安倍宏行(Japan In-depth編集長・ジャーナリスト)

 

【まとめ】

・世の中には嫉妬が渦巻いており、あなたを貶めようという人がいる。

・「妬む人」は制御できない。残念だがどんな組織にも一定数いるもの。

・雑音に耳を貸さず、やるべきことを全うすれば周りの人は必ず評価してくれる。

こんなことをこれから社会に出る若者にいいたくはない。しかし、これが現実だということははっきり言っておこうと思う。

みなさんは性善説、性悪説、どちらを支持するだろうか?

残念だが、私は性悪説を取る。「人を見たら泥棒と思え」ということわざがあるが、純真無垢では世の中は渡っていけない。

小生は1996年から2001年までニューヨークに勤務していた。呆れたのは詐欺師の多いことだ。地下鉄の駅から地上に出ると必ず、「財布を落とした」というご仁に出会う。曰く「家に帰る金がない。少しでいいから貸してほしい」。もちろん、嘘に決まってる。典型的な詐欺だが、これがまた引っかかる人がいるからこういう輩はいなくならない。

あまりにしつこいから、ある日言ってやった。

「おまえはきのうも財布落としたな。今日も落としたのか。気をつけろよ!」

嫌味をいっても、こういう連中は「平気の平左」だ。

知り合いの親戚の学生がニューヨークに留学に来た。「よろしく」と連絡があった。その子と会った時、早速、詐欺には重々気を付けるように話した。ほどなくして彼女に会ったら、「安倍さん、きょうはいいことしたんですよ!」とうれしそうに話しだした。「駅で困っている人を助けたんです」と言う。あちゃー、まさかお金渡したんじゃないよね?そう聞く私に彼女は誇ったように「もちろん、助けてあげましたよ」と胸を張るではないか。

「おいおい、いくら渡したんだい?」

「50ドルです!」

ひっくり返りそうになったが、あのね、それは詐欺でお財布を落としたというのはうそなんだよ、そのお金は返ってこないよ。そう話したが彼女は納得しない。

あげく、、

「安倍さんのように人を信用しない人にはなりたくないです」

と言われた。

まあ、これはジャブみたいなもので、組織に入るともっと酷い嘘や流言飛語が君らを待っている。

どういうことか。

依然も「【世の中は「嫉妬」で構成されている】~新・社会人へのメッセージ~」でも書いたが、世の中には嫉妬が渦巻いている。貴方を嫉妬するがゆえにあなたを貶めようという人がいる。気をつけて欲しい。

「人を信用しないこと」。これが今回のテーマだ。

人の足をひっぱろうとする人がいかに世間に多いか。これから皆さんは実感するだろう。

なぜ人の足を引っ張るのか。動機は「妬み」だ。なぜあいつだけが上司に可愛がられるんだ。なぜあの人だけがいつも表舞台に立てるのか。同期なのにあいつが先に課長になるのはおかしい。。。etc.

実力があるから昇進したり、引き立てられたりするのだが、「妬む人」はそう考えない。「なにか不公正なことが起きているに違いない」。と、こうなるわけだ。こういう考えに憑りつかれた人は、人の悪口、あらぬ噂などをばらまくようになる。あなたを騙したりすることもあるだろう。

そんな輩はほっておけばいい、と言う人もいるが、気分のいいものではない。ましてやそのうわさが独り歩きしてはたまらない。

ではどうしたらいいか。実はそういう人は制御できない。残念ながらどんな組織にも一定数いるものだ。

かくいう私も(後で分かったことだが)、そういう経験を何回かしている。普通に同僚として付き合っていたし、そんなそぶりは微塵も感じさせない人間だったから、私の足を引っ張ろうと躍起になっていると知った時は愕然としたし、残念だった。

結局行きついた結論は、人間、目の前の仕事に精進するしかない、ということだ。人を妬むような人を相手にしても始まらない。同じ土俵に乗っても得るものはなにも無いと知ろう。時間のムダでしかない。仕事の内容で勝負しよう。

「お天道様は見ている」という言葉もある。周囲の雑音に惑わされることなく、自分のやるべきことを全うしてもらいたい。さすれば、周りの人は必ず評価してくれる。

そのためにも、貴方の周りで聞こえてくる、人の噂や悪口などには同調しないことだ。中には社内に派閥を作ろうとするものもいる。そういう誘いにも安易に乗らないことだ。相手はうまいことを言って貴方を引きずり込もうとする。「甘言を弄する者」には要注意だ。

会社は仕事をするところ。仕事を通して自己実現し、社会に貢献すべき場所だ。それをはき違えている輩からは一定の距離を保とう。

「人を安易に信用するな」

新入社員諸君にはそう、言いたい。

トップ写真:イメージ 出典:TwilightEye/GettyImages




この記事を書いた人
安倍宏行ジャーナリスト/元・フジテレビ報道局 解説委員

1955年東京生まれ。ジャーナリスト。慶応義塾大学経済学部、国際大学大学院卒。

1979年日産自動車入社。海外輸出・事業計画等。

1992年フジテレビ入社。総理官邸等政治経済キャップ、NY支局長、経済部長、ニュースジャパンキャスター、解説委員、BSフジプライムニュース解説キャスター。

2013年ウェブメディア“Japan in-depth”創刊。危機管理コンサルタント、ブランディングコンサルタント。

安倍宏行

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