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.国際  投稿日:2023/9/7

挺対協元事務局長の尹美香議員、朝鮮総連と共同行動


朴斗鎮(コリア国際研究所所長)

【まとめ】

・尹美香議員が都内で朝鮮総連主催の関東大震災発生100年追悼行事に出席。

・尹美香氏は、慰安婦のおばあさんたちから金品を横領した罪で裁判中。

・尹大統領、尹美香氏念頭に「反国家行為には断固対応せよ」と指示。

 

 挺対協(韓国挺身隊問題対策協議会)元事務局長で韓国国会議員である尹美香(ユン・ミヒャン)=無所属=が、9月1日に東京都内で、韓国の反国家団体である在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)主催の関東大震災発生100年追悼行事に出席し、韓国で物議を醸している。

尹美香は、8月30日午後10時に、羽田空港に到着したが、私人としてではなく大韓民国国会議員の資格で日本を訪れた。韓国国会事務処を経て韓国外交部に公文を送り、日本への入国協力を要請した。駐日韓国大使館は、この協力要請に基づいて「プライオリティー・レーン(優先保安検査場)」で尹美香の入国手続きを支援し、東京駅近くのホテルまで車を提供した。

 

■ 民団主催ではなく朝鮮総連主催の追悼会に参加した尹議員

 尹美香議員は、9月1日午後1時30分、東京都墨田区の横網(よこあみ)町公園で朝鮮総連が主催した「関東大震災朝鮮人虐殺百年東京同胞追悼会」に、韓国代表団の一員として出席した。同日、韓国政府と韓国系同胞団体である在日本大韓民国民団(民団)が東京都内で行った関東大震災朝鮮人虐殺追悼行事には出席しなかった。韓国側行事を主催した駐日韓国大使館と民団側は「韓国の行事は午前11時からだったので、時間のことだけを考えれば両方とも出席は可能だったが、尹美香議員側から出席の問い合わせや要請はなかった」と説明した。

この追悼会には、朝鮮総連議長の許宗萬(ホ・ジョンマン)や第一副議長の朴久好(パク・クホ)、東京都本部委員長の高徳羽(コ・ドクウ)など朝鮮総連指導部と日本の1部北朝鮮支持勢力が参加した。

高徳羽は追悼の辞で、韓国政府を「南朝鮮傀儡(かいらい)徒党」と呼び、「関東虐殺100周忌追悼事業推進委員会」側は、韓日政府が「歴史、正義と平和に対する両国市民の努力と熱望を踏みにじり、(韓日および韓米日)軍事同盟に拍車をかけ、周辺国との敵対を強要している」と非難した。

尹美香とともに、「正義記憶連帯」(日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯)理事長の李娜栄(イ・ナヨン)も訪日し、朝鮮総連の集会に参加した。「正義連」は、1990年11月16日に、北朝鮮主導のもと、親北朝鮮勢力と手を結び、「慰安婦問題」を韓日分断の道具とするために結成された「挺隊協韓国挺身隊問題対策協議会」の後続団体である。

 

■ 日韓分断のために一貫して従北活動を行った尹美香議員

尹美香の活動の原点は「挺対協(韓国挺身隊問題対策協議会)」だ。この「挺対協」結成には日本の左派が大きな役割を果たした。

その原流は、韓国での民主化宣言が出された直後の1987年8月に開かれた広島・長崎における「原水爆禁止世界大会」にある。そこで初めて韓国代表として参加した「韓国教会女性連合会(「挺対協」の前身)」会長の故李愚貞(イ・ウジョン)氏と当時の日本社会党・清水澄子氏とが、北朝鮮統一戦線部傘下の「祖国統一民主主義戦線」主導のもとで、韓・日・朝三者連帯による「慰安婦問題の政治問題化」に合意し、「挺対協」が生まれることになった。それまで韓国では「慰安婦問題」はほとんど取り上げられることはなかった。

その後、日本の海部内閣発足後の1990年9月26日に、朝鮮労働党と日本の自民党、社会党との「日朝3党共同宣言」が発表され、日朝国交回復と賠償問題が取り上げられる中で、1990年11月に「挺対協」が韓国で結成された。

尹美香はこの挺対協(現「正義記憶連帯」)を足場に、慰安婦のおばあさんたちへの寄付金横領と韓日分断に専念し、北朝鮮の対韓国戦略を支えた。彼女は、「慰安婦問題」の解決をはなから望んでいなかった。

韓国左派運動家出身のチュ・ドンシク氏(地域平等市民連帯代表)は「彼らに必要なのは、“慰安婦問題”の解決ではなく、問題の深刻化であり、悪化であり、慢性化であり、その問題がそのまま維持されて大きくなることだ」と指摘し「それは運動ではなく、陰謀のための企画であるだけだ」と痛烈に批判した。そしてその根本的狙いは、日韓•韓米関係を破綻させ、大韓民国を「金氏朝鮮」(北朝鮮)と中国の手に委ねること」と語った(ペンアンドマイク2020.05.15 )。

 

■ 尹美香の周辺は、北朝鮮のスパイだらけ

 尹美香はいま、慰安婦のおばあさんたちから金品を横領した罪で裁判にかけられており、一審は有罪となったものの、あまりにも罪が軽いとして検察が控訴し、8月23日に行われた控訴審では検察から5年の懲役刑を求刑された。

検察側は法廷で「被告人は組織の代表として、不特定多数から受けた寄付金を横領し、その罪は悪質だ。横領の規模が大きく、長期間にわたって犯行が行われたが、賠償しておらず、被害の回復がなされていない。そうしたことを勘案した場合、一審の判決(罰金1700万ウォン)は過度に軽い」と述べた。

尹錫悦政権の登場によって「慰安婦問題」を利用した尹美香議員一派の陰謀は、一つづつ解明されつつある。彼らの日韓分断作戦は、日韓の「民族感情」を利用してこれまで「見事な成功」を収めてきたかに見えたが、はからずもいまその正体が「スパイ組織」との関連の中で暴かれつつある。

尹美香が朝鮮総連の行事に出席したことで、同議員に近い人々の行動があらためて俎上に載せられている。尹美香の夫・金三石(キム・サムソク)(59)は、国家保安法違反の前科がある。金三石は、妹の金銀周(キム・ウンジュ)と共に「兄妹スパイ団事件」で裁判を受け、同氏には1994年に懲役4年の実刑判決が言い渡された。金銀周は懲役2年(執行猶予3年)が言い渡された。判決文によると、この兄妹は1992年に日本で反国家団体である在日韓国民主統一連合(韓統連)議長らと会い、国内情勢・市民運動団体の動向資料などを渡し、数回にわたって50万円相当の金品を受け取ったという。

尹美香の補佐官も国家保安法違反容疑で韓国国家情報院の内偵捜査を受けた。この補佐官は、尹美香議員室に入る前の2016年、ベトナムで北朝鮮工作員と接触していたことが昨年明らかになり、国家情報院では現在、関連調査を進めている。

 

■ 尹大統領、尹美香を念頭に「反国家行為には断固対応せよ」と指示

 尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は9月4日、韓国大統領室首席秘書官会議で、尹美香議員が、日本で反国家団体である朝鮮総連主催の行事に出席したことを念頭に、「自由民主主義の国体を揺るがし、これを破壊する反国家行為に対しては政治陣営に関係なく全ての国民と共に断固たる対応をしなければならない」と述べた。朝鮮総連は、韓国の大法院(最高裁判所)で「反国家団体」として判決が確定した団体だからだ。

 韓国与党・「国民の力」も同日「尹議員による朝鮮総連行事参加は憲法違反であり、国会法が定める議員としての職務違反だ」として尹議員に対する懲戒案を国家倫理特別委員会に提出した。

トップ写真:尹美香議員

出典:namu.wiki




この記事を書いた人
朴斗鎮コリア国際研究所 所長

1941年大阪市生まれ。1966年朝鮮大学校政治経済学部卒業。朝鮮問題研究所所員を経て1968年より1975年まで朝鮮大学校政治経済学部教員。その後(株)ソフトバンクを経て、経営コンサルタントとなり、2006年から現職。デイリーNK顧問。朝鮮半島問題、在日朝鮮人問題を研究。テレビ、新聞、雑誌で言論活動。著書に『揺れる北朝鮮 金正恩のゆくえ』(花伝社)、「金正恩ー恐怖と不条理の統治構造ー」(新潮社)など。

朴斗鎮

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