[水野ゆうき]若さだけでは議員に当選できない時代へ。
水野友貴(千葉県我孫子市議会議員 )
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若い地方議員が誕生するのは非常に喜ばしい。と、思っている有権者も議会人も少なくないだろう。
もちろん私もその1人である。千葉市長や佐賀県武雄市長、改革派の若手首長が増え、政治を市民に近づけた。私の選挙区である我孫子市もかつては最年少30代の市長が誕生した街だ。こういった政治家に私も心を打たれた1人だ。若手候補者はこれまでの政治に嫌気が差している有権者に希望と期待をもたらす。
しかし、若いだけで良いとは思わない。
自分が28歳で当選させていただきながら、こういった疑問を投げかけるのは不思議と思うかもしれないが、単に「若い」とか「女性」というだけで投票してもらいたくないというのが本音だったりする。政治家というのはタレントのようなもので人気商売である。それをウリにするのはもちろん戦略の一つだ。
若いというだけで、それまでの実績や経歴をよくよく見ると、
- 「本当にこの人に託して良いのか?」
- 「この人は議員になりたいだけではないのか?」
- 「何をしたいのかビジョンがわからない」
という疑問も出てくるはずだ。
実際に当選した瞬間に偉そうな態度をとったり、飲み歩いたり、議会活動を全くしない若手も知っている。最近でも何かとお騒がせな議員や元議員もいる。だからと言って何期もやっている市とズブズブの年配議員に投票したくないという気持ちもわかる。
若い候補者に入れると決めている有権者も多い。そこで判断したいのが、やはりその人のプロフィールや志、態度や言動。そして「何故、政治家でないといけないのか?」というところに集約されている。
1期目というのは市政においても議会においても、とても影響力がないのが実態で、2期、3期・・・と期数を重ねると政策が通しやすくなってきたりするのが通常である。1期目は様子見、それ以降は「実行の2期目へ」なんて選挙ポスター文句も見る。
特に単品の私は出馬したときからそれを危惧していた。市も小さなことにはすぐ対応してくれるが、大きな政策は先輩議員の協力や根回しが必須。まさに政治である。そこで私はお得意の「SNS」とこれまでの「ネットワーク」が救いの手を差し伸べてくれた。
私は小さい頃から両親に政治と経済は自分の生活に密着しており、政治が悪いと世の中はガタガタになる、常に政治には注目していなさい、と育てられた。
そして3.11。
情報戦に弱い我孫子市を変えなくては!と立ち上がった。自分がやらなかったら誰がやる?!、傍観者でいてはいけない!と強く思った。1期目のまだ前半も終わっていないが、前職でお知り合いになったあらゆる専門家に取材し、そして無所属だからできる全方位外交にSNSの拡散。私は若さとこれまでの経歴の強みを全面に押し出す政治をしている。
若いからこそ駅にだって立つ。若いからこそ失敗を恐れずバシバシ議会で発言する。若いからこそ全国どこにだって取材に行く。若い人が強いSNSも駆使する。そう、これが若手の強みだ。むしろこれしかない。これをしないで飲み歩いている人や議会でただ座っている若手議員を見ると、なんのための若さだ!と憤りを覚える。単に重鎮議員の子飼いを議会に送り込んだだけとなり、議会の活性化どころか後退へ繋がる。
人は見た目が9割という説もあるが、あながち間違っていない。人相も。目の輝きも。清潔感も。全ては外見に表れる。はじめは物珍しさで若い候補者に投票していた数年前・・・、若い女性議員が様々な問題を起こしたりし始め、有権者の目も厳しくなっている。年配議員でも良質な議員はいる。要は資質なのだ。
1期目、若い新人議員にできることはがむしゃらに活動することなのだ。これができない議員は次はないだろう。単に若いだけでは受からない時代に突入したのだ。
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