再エネは本当に安いのか 櫻井祥子氏が問う電気代と自由化
執筆者:安倍宏行(Japan In-depth編集長・ジャーナリスト)
本稿のポイント
・櫻井祥子氏は、風力発電の建設・維持費用が電気料金に返ってくる可能性を懸念した。
・太陽光や風力のコストは、発電量の変動を補う費用を含めて考える必要があると指摘。
・電力自由化や発送電分離の下での長期投資に疑問を示し、以前の一体的な仕組みを評価。
太陽光や風力を増やせば、電気は安くなるのか。参政党の櫻井祥子参議院議員は、10月9日のJapan In-depthチャンネルで、天候に左右される電源を支える費用と、電力自由化の下での設備投資に疑問を投げかけた。東北大学で物理学を学び、ITエンジニアとして働いた櫻井氏が注目するのは、発電所単体の価格の先にある、電気を安定して届けるための負担だ。その問題意識をたどる。
本編動画はこちら 「理系議員が斬る! 風力発電と電力自由化」櫻井祥子氏(参政党・参議院議員)2026年10月9日(金)22:00〜 プレミア公開
風車を増やす費用は誰が負担するのか
櫻井氏がまず指摘したのは、風力発電を増やす際の立地と費用の問題だった。陸上では、海岸線や山の尾根など適地が限られる。山に大型の風車を建てるには、設置場所だけでなく、資材を運ぶ道路のためにも森林を切り開く必要があるとして、国会でもその是非を問うてきたと説明した。
洋上に移せば、その課題がすべて解消するわけでもない。櫻井氏は、建設に加えて、海上の設備を維持し続ける費用にも目を向ける。船で現場に行く必要があり、日本の地理や気候に合った設備も求められる。その負担が電気料金に返ってくるのではないか、という懸念だ。
安倍編集長は、民間企業が巨額の投資とリスクを引き受けられるのかと問うた。櫻井氏は、支援によって事業が始まっても、その後の負担が電気代に上乗せされるなら、日本経済のためになるのか疑わしいと応じた。導入量を増やす目標と、家計や企業が負担できる価格をどう両立するか。11分48秒からこの問いを具体的に議論している。
発電コストだけで判断できるか
議論は、発電方法ごとのコストの比較に進む。太陽光は日照、風力は風の強さで発電量が変わる。櫻井氏が重視するのは、発電できない時間を補う設備や、電力の需給を調整するための費用である。
「それをバックアップするためのものが必要で、そこのお金って削れないんですよね」。櫻井氏は、変動する電源を増やしても、それを支える側の費用がなくなるわけではないと指摘した。電源の「安さ」を考えるなら、その電気を必要な時に使える状態にする費用まで見なければならない、という問題提起だ。
政府も、こうした追加費用を試算している。資源エネルギー庁は「統合コストの一部を考慮した発電コスト」を公表しており、櫻井氏自身も番組で政府による試算に言及した。その上で、比較表の示し方が分かりづらく、太陽光や風力が有利に見える一方、火力には炭素排出に関わる費用が計上されていると疑問を示した。
ここは、政府がバックアップ費用を一切計算していないという話ではない。何をコストに含め、どんな前提で比較しているのかが論点だ。櫻井氏の批判は、その前提の公平さに向けられている。22分12秒からの説明を聞くと、発電コストの数字をそのまま電気料金と受け止めることへの疑問が分かる。
自由化の下で長期投資はできるのか
電力の価格をめぐる議論は、電力会社の経営のあり方に及んだ。電力自由化とは、電気を販売する事業への参入や、消費者による購入先の選択を広げる改革だ。一方、発送電分離は、送配電部門の中立性を高めるための制度変更であり、自由化と関連するが、同じものではない。
櫻井氏は、以前の地域独占の下では、発電、送電、小売りを一体で担う「垂直統合」の仕組みによって需要を予測し、発電所や送電設備に計画的に投資できたと説明する。現在は事業が分かれ、部門をまたぐ大規模な投資が難しくなっている、というのが櫻井氏の見方だ。
必要な投資を支えるため、政府が新たな手当てをする。その状況について櫻井氏は、そもそも一体的な仕組みをやめたことに原因があるのではないかと問い、「元の形」が理想的だったとの考えを示した。安倍編集長も、弊害が出てきたら制度を戻す選択があってよいのではないかと応じた。
競争を促す仕組みと、長い時間をかけて設備を整える仕組みを、どう組み合わせるのか。櫻井氏の発言は、自由化を進めた後の制度を検証し直す必要性に踏み込んでいる。30分からのやり取りは、電気代の問題を電力会社の経営や投資と結び付けて考える手がかりになる。
原発と再エネを家計の負担から考える
櫻井氏は、東京電力が福島の廃炉と復興を担いながら、自由化による厳しい経営環境にも対応する難しさを指摘した。原子力についても、停止したままの状態が電気代にどのような負担を生んでいるか、見える形で示す議論があってよいと述べた。
ただし、番組で具体的な負担額を検証したわけではない。どの電源がどれだけ料金を下げるのかを断定するには、燃料価格や設備費用、運転条件などを確認する必要がある。対話で提起されたのは、エネルギー政策を家計や産業が払う費用から点検する視点だった。
再エネの拡大、原発の扱い、自由化の見直しは、別々の話題として語られがちだ。櫻井氏は、それらを電気代と安定供給の問題としてつなげた。風力の導入をめぐる疑問が、なぜ電力制度全体への問いに広がるのか。費用の話を重ねながら議論が深まる過程は、ぜひ本編で確かめてほしい。
本編動画はこちら 「理系議員が斬る! 風力発電と電力自由化」櫻井祥子氏(参政党・参議院議員)2026年10月9日(金)22:00〜 プレミア公開
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よくある質問(FAQ)
Q1 櫻井祥子氏はどのような議員ですか。
A1 参政党の参議院議員で、茨城県選挙区から選出されています。東北大学理学部物理学科を卒業し、ITエンジニアとして働いた経歴があります。
Q2 再エネのバックアップ費用を政府は試算していないのですか。
A2 資源エネルギー庁は「統合コストの一部を考慮した発電コスト」を試算しています。櫻井氏は、その存在に言及した上で、比較の前提や示し方に疑問を呈しました。
Q3 櫻井氏は電力自由化をどう評価しましたか。
A3 事業が分かれたことで大規模な投資が難しくなっていると指摘し、発電・送電・小売りを一体で担った以前の仕組みを評価しました。これは番組で示した櫻井氏の見解です。
関連リンク
本編動画「理系議員が斬る! 風力発電と電力自由化」櫻井祥子氏(参政党・参議院議員)2026年10月9日(金)22:00〜 プレミア公開
資源エネルギー庁 第6回発電コスト検証ワーキンググループ 資料4 統合コストの一部を考慮した発電コスト
資源エネルギー庁 エネルギー白書2025 電力システム改革の推進
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この記事を書いた人
安倍宏行ジャーナリスト/元・フジテレビ報道局 解説委員
1955年東京生まれ。ジャーナリスト。慶応義塾大学経済学部、国際大学大学院卒。
1979年日産自動車入社。海外輸出・事業計画等。
1992年フジテレビ入社。総理官邸等政治経済キャップ、NY支局長、経済部長、ニュースジャパンキャスター、解説委員、BSフジプライムニュース解説キャスター。
2013年ウェブメディア“Japan in-depth”創刊。危機管理コンサルタント、ブランディングコンサルタント。












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