国民民主の改革、システム更新で済むのか 足立康史氏「金と名簿は政治家が責任」
執筆者:安倍宏行(Japan In-depth編集長・ジャーナリスト)
本稿のポイント
- 足立氏は、代表選の混乱を防ぐにはシステム更新に先立ち党員制度の見直しが必要だと訴えた。
- 検証委員会は実際の名簿を入手できず、2000~3000人という被害規模は本人の見積もりである。
- 新システムの公開は一旦保留となり、制度と運用を一体で動かす政治家の責任を問うた。
国民民主党の代表選挙で起きた投票用紙の不達や登録漏れは、新しいシステムを入れれば解決するのか。代表選挙検証委員会委員長の足立康史参議院議員は、10月2日公開のJapan In-depthチャンネルで、党員制度そのものの見直しを最優先に挙げた。検証委員会に名簿が渡されなかった事情、被害人数の見積もり、新システムの公開保留にも言及。政治資金と名簿管理は政治家が責任を持つべきだと訴えた。
本編動画はこちら 「代表選の検証出る!!」国民民主党・足立康史参議院議員・代表選挙検証委員会委員長 2026年10月2日(金)22:00〜 プレミア公開
名簿が渡されなかった検証
9月6日の代表選挙を受け、検証委員会は9月30日に報告書をまとめた。足立氏は番組で、検証のために名簿の提供を求めたものの、実際の名簿は「いただけなかった」と明かした。
弁護士2人が加わり、データを分析できる体制を組んでいたという。それでも、党は個人情報を理由に提供しない判断をしたと説明した。
この制約は、数字の受け止め方にも関わる。報告書の数値の多くは事務局が整理したもので、委員会が名簿を処理し、数字そのものを検証したわけではないと述べた。何が確認でき、何が確認できなかったのか。安倍宏行編集長は、その境界を問い直した。
2,000~3,000人は確定人数ではない
足立氏が説明した住所データの欠損は1万7802件、全体の約39.4%に及ぶ。ただし、住所が欠けていても郵便局の努力で届いた例があり、欠損件数をそのまま投票できなかった人数にはできない。
返送された投票用紙は3561件で、そのうち電子投票に必要な情報を送ったのは440件だったという。未登録の4423件についても、権利回復の対象となったのはメールアドレスがある人だったと説明した。
足立氏は、返送や未登録の件数を単純に足して「8000人」とする受け止め方を戒めた。重複や権利回復があるためだ。一方、会見で示した2000~3000人は、固く見積もってもその程度の投票機会が失われたという自身の見立てで、確定した実人数ではない。被害規模を小さく見せる趣旨でもないと補足した。
システムより先に党員制度を
再発防止で足立氏が強調したのは、党員制度、システム、運用の関係だ。党員やサポーターとは何か、どこに所属し、どう本人を識別するのか。制度を整理し、それを動かす道具としてシステムを設計する必要があるという。
複数の議員を応援するため、いくつもの支部に登録する人もいる。足立氏は、その熱心さを党勢拡大に生かす一方で、所属や登録の仕組みを整理する必要があると指摘した。名寄せとは、複数の登録情報から同じ人を特定し、重複を整理する作業である。
氏名と住所だけでは、漢字や住所表記の違いによって同一人物の判定が難しくなる。自身の事務所では、カタカナの氏名、生年月日、携帯電話番号を組み合わせて管理していると紹介した。
全国のイベント情報を得るため、事務所のスタッフが47都道府県で党員になっているという実例も語った。党内で情報を共有すれば済むはずのことが、複数登録につながっている。番組では、この具体例を通じて制度と運用のねじれが浮かび上がる。
背景には、個人の後援会より党への支持を出発点とする支援者が多いという足立氏の政党観がある。そのうえで、従来型の組織をそのまま当てはめるのではなく、国民民主党の現状に合う制度を作るべきだと語った。
また、登録していなくても寄付やビラ配りなどで支える人がいるとして、党員・サポーターの周辺にいる支援者も含めて管理する必要性について述べた。
新システム公開は保留 改革は誰が動かすのか
足立氏によると、10月に公開予定だった新システムは、検証報告を踏まえて一旦保留になった。10月中の公開も難しいのではないかと個人的な見通しを述べた。
改革の実施計画が公表されるかを問われると、まだ分からないとした。党員制度とシステムの担当が横並びであることにも触れ、制度、システム、運用を一体で動かすため、判断の責任関係を明確にすべきだとの考えを示した。
来年4月の統一地方選挙に向け、年内に整え、年明けから党員・サポーターを巻き込んで活動できる形が望ましいといの考えを示した。執行部はまだ決めていないとして、再び失敗しないよう党内で意見を述べていると明かした。
政治家が名簿に責任を持つ
安倍編集長が党内のこの問題に対する認識の度合いについて聞くと、足立氏は党内では、抽象的には理解していても「自分ごとになってない」と指摘した。名簿管理を事務局任せにせず、政治家自身が仕組みと実態を把握する必要があるという。
「金と名簿は、政治家が責任持つ」。足立氏は、この二つを政治が走るための車の両輪に例えた。システムの更新を告知するだけで、党員・サポーターの信頼は戻るのか。求めるのは、その前提となる制度と責任の立て直しである。
「事務局のせいにしたあかん」。なぜ、そこまで政治家自身の責任を強調するのか。党内で「踏ん張ってる」という足立氏は、改革の何にこだわるのか。36分28秒からの発言と、そこに至る安倍編集長とのやり取りを、ぜひ本編で聞いてほしい。
本編動画はこちら 「代表選の検証出る!!」国民民主党・足立康史参議院議員・代表選挙検証委員会委員長 2026年10月2日(金)22:00〜 プレミア公開
本編で語られた論点
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よくある質問(FAQ)
Q1 代表選で投票できなかったのは何人ですか。
A1 実人数は確定していません。2000~3000人は足立氏の見積もりであり、不達や未登録の件数を単純に合算することもできません。
Q2 CRMとは何ですか。
A2 一般に顧客との関係を管理する仕組みを指します。番組では、党員・サポーターとの関係や登録情報を管理するシステムの文脈で使われています。
Q3 新システムはいつ公開されますか。
A3 足立氏は出演時点で一旦保留と説明しました。10月中も難しいという発言は個人的な見通しで、公開日の確定を示すものではありません。
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トップ写真)足立康史参議院議員・国民民主党代表選挙検証委員会委員長 (右)
ⒸJapan In-depth編集部
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この記事を書いた人
安倍宏行ジャーナリスト/元・フジテレビ報道局 解説委員
1955年東京生まれ。ジャーナリスト。慶応義塾大学経済学部、国際大学大学院卒。
1979年日産自動車入社。海外輸出・事業計画等。
1992年フジテレビ入社。総理官邸等政治経済キャップ、NY支局長、経済部長、ニュースジャパンキャスター、解説委員、BSフジプライムニュース解説キャスター。
2013年ウェブメディア“Japan in-depth”創刊。危機管理コンサルタント、ブランディングコンサルタント。












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