[安倍宏行]エステー株式会社・取締役会議長 兼 代表執行役会長(CEO)鈴木喬氏①
Japan In-Depth編集長
安倍宏行(ジャーナリスト)
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あの、「消臭力~~♪」の宣伝で有名なのが、エステーだ。
2013年、業界シェア1位を取った脱臭剤で70%、防虫剤で46%。シェア2位は、消臭芳香剤29%、除湿剤32%、使い捨てカイロ20%などと、その実力はかなりのものだ。
その会長、鈴木喬氏(現・取締役会議長)がとにかく面白い人だから会いに行ったら?と某出版社の編集者に言われたのが2013年の春だった。当時鈴木氏は本を上梓したばかり。そのタイトルは、「社長はすこしバカがいい」なんか、刺激的なタイトルだ。
【著 者】鈴木 喬
【単行本】256ページ
【出版社】WAVE出版
【発売日】2013/1/25
【ISBN-10】4872906004
【ISBN-13】978-4872906004
実際お会いすると「やあ、初めてでしたっけ?なんかどっかで会った気がするなぁ!」と、とびっきりの笑顔で迎えて下さった。フランク、パワフル、ネアカ、そんな言葉がぴったりの方だった。当時、BSフジでプライムニュースという2時間生放送の報道番組の解説キャスターをやっていた私は、経済人に番組に出てもらうべく、こうしていろんな経営者の所に足繁く通っていた。
政治家は黙っていても番組に来るが、経営者に出演してもらうのはものすごく大変だ。露骨に「テレビは嫌いだ」という人もいるし、「2時間生放送なんて無理!」と敬遠される。広報部が社長の失言を恐れてブロックするケースも多い。とにかく、リスクを恐れて画面に出る事を敬遠する経営者が多い事は紛れもない事実。そんな中、鈴木会長に恐る恐る番組出演をお願いしてみると、「私みたいなもんでホントにいいの?」と笑いながら快諾して下さった。こんなことは初めてだった。
2009年から4年間、数えきれないくらいの企業を回り、トップの出演交渉をしてきたが、おそらく勝率(交渉が成功した確率)は2%くらいのものだろう。それ程日本の経営者は、良く言えば慎重、悪く言えば臆病、もしくはトップとしての自覚がない、と言える。鈴木会長がどのような人物かは本を読めばわかるが、そのにこやかな風貌とは裏腹に、徹底的に社員と向き合い、社員に甘えを許さない厳しい経営者の側面を持っている。
今回半年ぶりに、独立の報告も兼ねて新社屋に面会に行った。
人懐っこさは変わらないが、「うちは、従業員500人、売上500億円規模の中小企業。この規模になると改革が起こりにくくなるんだよね。最近、成長率が落ちているのが気になる。」と危機を露わにした。そんな中、組織を活性化させねば、と社員の中に自ら飛び込むのが鈴木流。中堅社員の飲ミニケーションを日々続けているのには恐れ入った。「なーに、最初だけ顔出して後はいなくなるんだ。どうせ俺がいなくなったら悪口言ってんだろ。」と笑いとばす鈴木会長。でもそんなトップ、そうそういない。社長と話したことも無い社員なんてごまんといるだろう。
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