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.政治  投稿日:2016/7/21

自民党都連を痛烈批判 若狭勝衆院議員


安倍宏行(Japan In-depth 編集長・ジャーナリスト

「編集長の眼」

7月11日に自民党東京都連は、「都知事選挙における党紀の保持について」と題する文書を党員に配布。党として増田寛也氏を推薦するとした上で、他候補を応援することを、親族含めて禁じた。文書の発行者は「自由民主党東京都支部連合会会長石原伸晃氏、幹事長内田茂氏、党紀委員長野沢太三氏」だ。

これに反旗を翻したのが衆議院議員若狭勝氏で、連日小池百合子候補陣営の応援弁士として街頭演説会に出席している。若狭議員が問題視しているのは、自民党東京都連が候補者選考会議で候補者を増田氏に決定するとの採決を「満場一致で」決めた、としていることだ。若狭議員は、採決の時、明確に手を上げなかったという。若狭議員は「自分は明確に意思表示したのに、これでは自分が(増田氏を候補にすることに)賛成した、と思われてしまう。これは侮辱罪にあたる。」と怒りを隠さない。党紀委員会で今後処分が検討されるのかもしれないが、一波乱ありそうな気配だ。

若狭議員は自身のブログで、都連の動きを痛烈に批判している。公党の意思決定システムは透明化すべきだし、無論、情報公開も徹底すべきだろう。一般論として、異なる意見や少数意見を封殺するような組織はいずれ内部から崩壊する。

以下、若狭勝衆議院議員のブログ

「ここが変だぞ、自民党東京都連の危ない体質」

自民党の東京都支部連合会は、今回の都知事候補の選考過程において、私の少数意見を無視しました。この自民党東京都連による候補者選考会議において、私は、小池氏が適任である旨、重ねて声を上げ、あるいは、増田さんの支援を決定する採決時には手を挙げず、最後まで、増田氏推薦に反対する意見・態度を表明していました。

それにもかかわらす、自民党東京都連は、会長・幹事長の連名で、都内の全党員向けに発送した7月11日付け文書において、「 全会一致で増田氏の推薦を決定いたしました 」と述べているほか、別の媒体でも同じ内容を発信しています。

私は衆議院議員1年生です。「 1年生議員の少数意見など、なかったことにしよう 」との思惑だったとしか思えません。私は、確かに国会議員としては1年生ですが、これまで35年近く、法律家として生きてきて、これからの社会・組織には、何が重要であるか、自分なりによく分かっているつもりです。

少なくとも、今の社会及び組織においては、少数意見を封じ込めたり、抹殺してはいけないのです!健全な社会・組織であるためには、不都合な少数意見であってもこれを抹殺するというような隠ぺいがあってはいけないのです!

例えば、あまたある企業不祥事が長らく表沙汰にならないのは、企業内の少数意見を封じ込めてしまう環境・風土があったり、役員会の議事録などから少数反対意見を削除し、それをなきものにし、「全員一致」などと記載してきたことなどが原因の一つです。

今般、ブラックボックスとも指摘されている自民党東京都連の問題点の一つが、まさにこういうところに如実に表われているのではないでしょうか。

多数決が適切に機能しているかどうかの目安の一つに「 全員一致の決議は無効である 」 という指針があります。全員一致の決議においては、時として、自由な意見が封じられ、あるいは、少数意見が抹殺されている恐れがあることにつき、警鐘を鳴らすものです。

国民の代表である一人の国会議員の少数意見さえ無視するようなことであれば、国民の一人一人の声を聴く耳など、およそ持ち合わせてはいないのではないかと思われてしまいます。

トップ画像:© Japan In-depth 編集部

 


この記事を書いた人
安倍宏行ジャーナリスト/元・フジテレビ報道局 解説委員

1955年東京生まれ。ジャーナリスト。慶応義塾大学経済学部、国際大学大学院卒。

1979年日産自動車入社。海外輸出・事業計画等。

1992年フジテレビ入社。総理官邸等政治経済キャップ、NY支局長、経済部長、ニュースジャパンキャスター、解説委員、BSフジプライムニュース解説キャスター。

2013年ウェブメディア“Japan in-depth”創刊。危機管理コンサルタント、ブランディングコンサルタント。

安倍宏行

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