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.国際  投稿日:2014/5/3

[Shiho]<カンボジアの孤児院>急速な経済発展の影で拡大する孤児と孤児院という現実


Shiho(Music Activist )

 

私は、カンボジアにある日本人が創設したNPO法人「MAKE THE HEAVEN」が運営している「くっくま孤児院」で生活をし、アーティストとして子供たちに音楽指導などのボランティアをしています。

19世紀後半からフランスの植民地統治下にあったカンボジアは、1953年に完全に独立。その後、30年にわたって内戦が行われ、ポルポト政権期には国民の約4分の1が死亡するなど、暗い時代が続きました。私が、そんなカンボジアに対して抱いていたのは、“地雷”、“貧困”などといったイメージでした。

しかし、実際にカンボジアに行ってみると、それまでのイメージは一変しました。カンボジアでは、近年、急激に発展が進んでいて、高級車であるレクサスが走っていたり、外国製品を販売するおしゃれなお店があったりしました。高層ビルが建ち並び、日系企業や外国人観光客も多く、日本食レストランなどもありました。

経済発展が進む一方で、子供たちを取り巻く状況は依然として厳しいものがあります。2010年度のユニセフの報告では、カンボジア国内には269の孤児院があり、約12,000人の子供たちが生活しています。2005年から5年間で孤児院の数は75%、子供の数は90%と急激に伸びているのです。(注1)

また、孤児院に預けられている子供のうち、両親ともにいない子供は約3割にとどまっています。残りの約7割は父親か母親のどちらかが存在しています。私が働く、「くっくま孤児院」の子供達の場合は、

  • 父親が亡くなった
  • 母親が働きに出なければいけなくなった
  • 両親ともに路上生活者で生活ができない
  • 母親が再婚し、再婚相手との間に子供ができ、育てられない

などの事情で預けられていました。

しかし、厳しい状況の中でも、孤児院の子供たちは明るく生活しています。孤児院に対して”かわいそう”とか””触れてはいけないもの”というようなイメージを持っている方も少なくないかもしれませんが、施設の子供たちは私に笑顔で挨拶をしてくれます。くっくま孤児院では、日本人女性がお母さん役を務めていて、現在25人の子供たちとカンボジア人スタッフで生活しています。この孤児院は約8割が日本からの寄付によって成り立っており、残りの約2割は子供たちが伝統舞踊を踊って稼いだお金で運営しています。

くっくまのお母さん役の人たちは、子供たちにお金を稼ぐことの大変さや、その中から寄付金をいただいていることについてしっかり話をし、子供たちもそれを理解しているため、とても勉強熱心です。

近年カンボジアでは、学校に通い、公教育を受けることができる子供の数が増えてきています。くっくま孤児院の子供たちも学校に通っています。子供たちは、日本語で「いってきます」と挨拶をし、朝6時30分に家を出て、7時から授業を受け、午前中には帰ってきます。(注2)

お昼からは孤児院内で年に合わせて日本語の勉強をし、中学生以上は日本からの寄付金で、月曜日から金曜日の夕方英語の勉強のために塾に行っています。カンボジアでは、第2言語が話せると、就職できる可能性が高まり、就職先の選択肢も増えるため、子供たちは必死に語学の勉強をします。

このように経済発展が著しいカンボジアですが、孤児院の子供達に対する支援は依然として求められており、日本人として、またアーティストとして自分は何ができるのか、求められていると実感しています。
(注1)この統計の対象は社会福祉省に正式登録されている施設のみ。
(注2)カンボジアの小学校は午前、午後の2部制。

 

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プロフィール・Shiho

Music Activist。1986年生まれ、大阪出身。2006年より関西でバンド活動をはじめ、2010年末解散。 2011年より単身ニューヨークに渡り、修行をする。2012年3月にニューヨークのレーベルより1st single”beautiful world”をリリースし、この売上を東日本大震災で津波を受けた”岩手県陸前高田市立高田小学校”へ、iTunes配信分の売上を”日本こども支援協会”へ全額寄付をする活動をスタートさせ、ライブや講演会での演奏や講演も行い、被災地や児童養護施設などの現状を伝える活動をしている。2014年4月世界一周の旅に出る。

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