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.JID  投稿日:2014/8/12

[Japan In-depthニコ生公式放送リポート]現金授受はあったのか!?最年少市長収賄事件裁判の行方


Japan In-Depth編集部|Japan In-depthチャンネル 2014年7月30日(土)放送

 

岐阜県美濃加茂市の藤井浩人市長の上水設備導入を巡る収賄事件について、藤井市長の主任弁護人である郷原信郎弁護士をゲストに招き、事件の真相に迫った。

事件は、藤井市長が市長になる前の市議時代である去年、業者から浄水設備導入で便宜を図るよう頼まれた見返りに、合わせて現金30万円を受け取ったとして、収賄などの罪に問われ逮捕・起訴されたもの。市長は否認しているが、現在まで身柄が拘束された状態が続いている。

美濃加茂市では、補正予算を審議する市議会定例会の開会が今月(8月)19日と間近に迫っているほか、来月(9月)には市議会選挙も控え、市政にとって重要な局面に1ヶ月以上、市長が不在になっていることが波紋を呼んでいる。

今回の事件で、市長の罪状は3つ。「受託収賄」「事前収賄」「あっせん利得処罰法違反」だ。「受託収賄」は市議の立場で10万円を受け取ったこと、「事前収賄」は市長選の立候補者として20万円を受け取ったことに対する容疑だ。郷原弁護士によると、そもそも現金の受領を市長は否定しているが、仮に30万円の授受があったとしても証拠が極めて弱く、いずれの容疑も成立していないと主張する。

本件では、設備会社「水源」社長の中林正善容疑者が市長に現金を渡したと供述しているが、同席していた市長の政策コンサルである高峰洋史氏は、現金の授受や請託はなかったと証言している。

このように贈賄側の供述のみで物的証拠が示されていないほか、肝心の贈賄側の人物は過去にも詐欺事件などで逮捕歴があり信用ができない人物である上に、市長逮捕にしては贈収賄金額があまりに少額だ。

こうした状況で、市政に多大な影響を与えてまで市長の身柄を拘束し続ける必要があるのか、郷原弁護士は疑問を呈する。

確かに、容疑者が否認している贈収賄事件では、授受関係者への働きかけが懸念されるため、一般的に保釈は難しいとされている。しかし、今回は浄水設備の導入に積極的に動いたこと自体は市長も認めていて事情が違い、保釈を却下する意味はない。郷原弁護士は、不当な身柄の拘束は地方自治体の自治の侵害にあたり、憲法違反だとして、最高裁判所への特別抗告を視野に入れている。

また郷原弁護士は、不自然な逮捕・起訴の背景には愛知県警の功名心が見え隠れすると指摘する。最年少市長を捕まえることで県警捜査2課の実績にしようというバイアスが最初からかかっているというのだ。そして、贈賄側の中林容疑者に、捜査機関に有利になる証言をすれば不起訴にするといったヤミ司法取引を検察が持ちかけた可能性すら考えられるという。

本来であれば、市議会も、市長の早期保釈を求め、市政への影響を最小限にとどめるようにすることが自然であると考えられるところだが、市長選で対立候補を支援していた市議会議長が中心となって市長の進退を書面で尋ねるなど、政治的な対立構造が絡む様子も見られる。

今回の事件で、最も悪影響を受けているのは他ならぬ美濃加茂市民だ。直接選挙で選ばれた市長が根拠なく市政と切り離されている現状は、地方自治制度から考えてありえない。現に、中学生以下を除いた美濃加茂市民約4万6000人のおよそ半分にあたる2万1150人が、市長の早期釈放と市長職への復帰を求める署名に応じている。

美濃加茂市民のみならず、国民が関心を持って裁判の行方を見守りたい。

 

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