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.政治  投稿日:2014/9/6

[安倍宏行] 【朝日、池上コラム不掲載言い訳の苦しさ】

News paper

Japan In-Depth編集長

安倍宏行(ジャーナリスト)

執筆記事プロフィールWebsiteTwitterFacebook

 

朝日新聞への批判が止まらない。背景には、8月29日掲載予定の池上彰さんのコラムが、一旦不掲載になった後、内外の批判の声が高まった為、今月4日に一転掲載したことにある。6日に改めて「池上彰さんの掲載について、おわびし、説明します」と題して、東京本社報道局長・市川速水氏が説明している。

 

その中で、不掲載の理由を「8月5、6日付朝刊で慰安婦問題特集を掲載して以来、本社には言論による批判や評価が寄せられる一方で、関係者への人権侵害や脅迫的な行為、営業妨害的な行為などが続いていました。」とし、池上氏の原稿を掲載すれば、こうした行為がエスカレートするのではないか、と懸念したから、と述べている。

 

「関係者」が誰を指すのかわからないが、少なくとも読者の方を向いていたとはとても思えない。吉田調書を元にした慰安婦問題報道は誤りだった、と認めたばかりなのに、自社への批判を簡単に封殺しようとした朝日新聞の危機管理能力は一体どうなっているのか?

 

また、今回池上記事不掲載に対し、朝日新聞の現場の記者達が批判のツイートを発信していることも注目を集めた。筆者は、朝日新聞が業界内で先陣を切って記者や支局などにツイッターのアカウント持つことを容認し、積極的にネット上に情報発信してきたことを評価している。そうした中、報道局長コメントが出てからも様々なツイートが現場から発信されている。

 

原田朱美氏 @haradaakm 朝日新聞東京社会部東京総局。教育分野を担当。

「報道局長の文章です。私は①言い訳がましい、②元は自社の誤報が原因なのにあたかも朝日を攻撃する人のせいでこうなったと責任転嫁している③誰が掲載をやめろと指示したのかわからない、という点でおかしいと思います。」

 

広部憲太郎氏 @Becky7712 朝日新聞デジタル編集部記者。

「東京本社報道局長の文章です。「池上さんの原稿に過剰に反応した」とありますが、池上さんのコラムは真摯なご批判で、過剰反応した理由が僕には分かりません。」

 

現場から会社の決定・方針にこうした批判が出てくることは健全だし、朝日新聞の良心だとは思うが、幹部によるツイートはほとんどないのは残念だ。(6日1030時点)まさか、現場若手記者のガス抜きが目的でやっているわけでもあるまいが・・・。

 

市川報道局長は「池上さんとはこれからも誠意を持って話し合いを続け、対応と結果については改めてお知らせします。」とし、「今回の過ちを大きな反省として、原点に立ち返り、本紙で多様な言論を大切にしていきます。」と締めくくった。

 

果たして今回の反省が今後の紙面作りに活かされるかどうか、厳しい目に晒されることになろう。これからも今まで以上に説明責任が求められることは言うまでもない。あらゆる批判に真摯に答える事、批判を封印しようとすることが二度とないように編集の意思決定に第3者の目を入れる事が求められる。それなくして、朝日新聞の信頼回復はない。

 

 

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