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.政治  投稿日:2014/11/18

[山田厚俊]【大義なき“わがまま”解散?】~与党議員も疑問。政権崩壊の始まりか~


山田厚俊(ジャーナリスト) 「山田厚俊の永田町ミザルイワザルキカザル」

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「地元を回ると、『なぜこんな年の瀬に解散するんだ』とお叱りの声ばかり。私自身も有権者の声は当然だと思う。かなりの逆風になると覚悟しています」
自民党の中堅衆院議員はこう肩を落とす。

12月2日公示、14日投開票のスケジュールが確定的となった衆院解散総選挙。安倍晋三首相が外遊中だった先週、解散がいわば既定事実化された格好で、各議員は対応に追われた。大義なき解散ー。多くのメディアがこう報じているが、与党である自民党議員でさえが、この解散に疑問を持っているというのだ。

多くの自民党関係者によれば、今回の解散シナリオは安倍首相自身が描いたという。その理由は、自らの改造人事の失敗によるもので、このまま年越しをすれば、来年の通常国会は“政治とカネ国会”になる恐れが十分あるからだ。野党の追及で国会運営が行き詰れば支持率は低下し、党内で安倍降ろしも噴出する。第1次安倍政権の二の舞になることを怖れての決断だというのだ。

「だから解散総選挙後、人事を刷新し、通常国会を乗り切る。そうして来年9月の総裁選で再選を果たせば念願の長期政権も見えてくる。しかし、それは個人的な事情でしかなく、国民生活を見てのものではない。あまりにも身勝手な“わがまま解散”でしかありません」(前出・自民党議員)

11月17日に発表された7月から9月のGDP(国内総生産)の成長率は、事前の予測を大きく下回り、年率で-1.6%。個人消費の低下や設備投資も伸び悩みも明らかになり、今後、アベノミクスの批判は避けられない状況になった。また、こんな声も聞こえてくる。

「中小・零細企業の“円安倒産”も深刻だ。原材料の高騰に歯止めがかからず、元請け企業の締め付けも依然として厳しいからだ。結局、ネーミングだけで何の対策も無かったアベノミクスへの批判は今後高まってくるだろう」(在阪ジャーナリスト)起死回生の解散のはずが、政権崩壊の始まりとなる可能性も高い。

 

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