[山田厚俊]【合格ライン巡り与党内紛糾】~30議席減らしたら安倍降ろし~
山田厚俊(ジャーナリスト) 「山田厚俊の永田町ミザルイワザルキカザル」
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207議席ー。安倍晋三首相が解散を宣言した11月18日、「自民党、公明党、連立与党によって過半数を得られなければアベノミクスが否定されたことになるわけだから、私は退陣する」と、自民党の“合格ライン”を大幅に下げた。
自民党の現有議席は295議席。公明党の31議席と合わせると325議席で、参院で否決された法案を再可決できる3分の2以上の議席を確保している。今回の選挙から区割りが変更され、0増5減で480議席から475議席となる。つまり、過半数は238議席だ。公明党の現有31議席を除くと207議席で、88議員が落選しても勝利宣言できる計算だ。
「過半数割れしたら、安倍内閣退陣どころの騒ぎじゃない。安倍首相は無責任極まりない発言に、自民党議員は困惑している」
こう北陸選出の議員は語る。確かに、責任の言い逃れを今からしているような設定だ。他の自民党衆院議員はこう言う。
「衆院の常任委員長を独占し、さらに全常任委員で与党議員が過半数を占める“絶対安定多数”は266議席。現在の議席の約1割減です。それでも同士が約30人減る計算だ。無理な解散をして、国民の信任を得たと言えるのはこれがギリギリのラインだろう」
つまり、安倍政権は30議席減に食い止められるかがカギだという。でなければ、党内で安倍降ろしが吹き荒れることになりかねないというのだ。
30議席以上減らした場合、つまり260議席を割ることがあるようであれば、党内で安倍降ろしの声が高まると“予言”する者までいる。あるベテラン議員はこう語る。
「同士が30人以上減ったとなれば、これまで高い支持率を背景に好き勝手やってきたツケが一気に噴出するだろう。でも、むしろその方が自民党の将来にはいいのかもしれない」
それぞれの思いが交錯するのが選挙。しかもそれは、与野党対立だけではないのである。
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