.国際 投稿日:2016/10/10
「フランスの中の日本」増殖中
この週末、フランスの地方で行われたアニメ・ゲームのイベントに行ったのだが、そこには、「フランスの中の日本」とも言える、異次元のような世界が広がっていた。
こういったアニメ関係のイベントはこの2,3年で特に増え、現在はフランス各地でたくさん行われている。開催地によってコスプレイヤーが多かったり、ゲームが中心だったりと特色は違うが、今年の10月から来年の7月までのイベント予定を数えてもフランス全体で60件以上が開催されるのだ。
フランスで開催される日本紹介イベントと言えば、日本では「ジャパンエキスポ」が有名なのではないだろうか。漫画、アニメ、技術、伝統、歴史、和食など、あらゆる日本のカルチャーコーナーが設けられる。しかしながら、アニメ・ゲームのイベントはそんな日本専門の展示会ではないのにもかかわらず、アニメやゲームのイベント自体が、「日本紹介イベント」そのものになっていることがとても興味深い。
しかも、こういったイベントはあまり人が集まらない地方ででも、全国から「ギークGeek」や「おたくOtaku」たちが集まり大盛況だ。フランス語では、「ギーク」はユウチューバー(YouTuber)やゲーマーなど技術系を好む人たちを呼ぶのに使われ、「おたく」はアニメや漫画などを好む人たちに使われる場合が多い。
イベントに出店してるお店の中に日本企業は見かけなかったが、赤ちょうちんや刀が並んでいる店、招き猫や猫耳グッズ、笛にもなる穴あきラムネやグミなどがそろっている日本のお菓子屋さんなどがあった。お食事処は、ラーメンに焼きそば、ギョーザが食べられるお店に、たい焼きの専門店。コスプレをしている人の中では、サテン系で派手ではあるが着物風の衣装を身に着ける人も多く、フランスの町中では着る人も少ない日本の「かわいいファッション」に身を包んでいる女の子たちもいる。
ゲームのコーナーに目を向ければ、日本のゲーム会社の機器がずらりと並び、ゲームに熱中する人、画面を見ながらみんなで一緒にダンスをする人たちで大盛り上がり。
ステージでは、日本風のかわいいしぐさのダンスビデオを流して観客と一体になって踊り、日本のアニメソングの歌詞を画面に流し観客と一緒にカラオケを楽しみ、ゲームの効果音を聞いてどのゲームなのかを当てるクイズ大会など、一緒に参加でき見ていても面白い内容を一日中やっている。
また、ユーチューバーのコーナーでは、購読者2万人以上を誇るユーチューバーたちのサイン会や写真撮影会が行われており、特に人気者の列は2時間待ちはあたりまえの大盛況ぶりだ。最近の若者はテレビなどはほとんど見ないが、ゲームを紹介したり、興味深い話題を提供しているこういったユーチューバーが憧れの人となっている。
またフランス人のユーチューバーたちの多くは、日本で行われるゲームのイベントに参加して動画で紹介したり、日本で見つけた変ったものを紹介したりする人も多く、ネット上で紹介される日本はとても面白い。
このように、アニメやゲーム、ユーチューバーの集まるイベントでは、日本発の物を中心に「成熟した若者の文化」が構築されている。ここではフランスで普通とされるファッションはカッコ悪い。その代わり「日本のかわいいファッション」や、「コスプレ」をしている人たちが輝いていてとてもカッコ良いとされ、まさに「クールジャパン」の世界なのだ。
どうしてこんなに熱狂できるのか。それは「楽しい」、その一言に尽きると思う。普段から遊んでいるものがずらりと並ぶ空間でワクワクし、漫画やアニメでさり気なく描かれている日本人が日常的に食べたり遊んだりしている商品を買っていくフランスの若者たち。
もっと日本企業の出店が増え、出品される日本の商品が増えれば、さらに楽しいイベントになるのではないだろうか?このような空間がフランスに、いや、海外にも存在していることは、日本の文化を理解してもらうためにとても重要なツールになることは間違いない。それとともに、まだまだ他にもいろんな可能性を見つけることができるだろう。
あわせて読みたい
この記事を書いた人
Ulalaライター・ブロガー
日本では大手メーカーでエンジニアとして勤務後、フランスに渡り、パリでWEB関係でプログラマー、システム管理者として勤務。現在は二人の子育ての傍ら、ブログの運営、著述家として活動中。ほとんど日本人がいない町で、フランス人社会にどっぷり入って生活している体験をふまえたフランスの生活、子育て、教育に関することを中心に書いてます。