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.政治  投稿日:2017/2/15

島しょ・ミサイル防衛強化が必要 中谷元前防衛相


「細川珠生のモーニングトーク」2017年2月11日放送

細川珠生(政治ジャーナリスト)

Japan In-depth 編集部(坪井映里香)

2月3日、マティス国防長官が来日した。トランプ政権の閣僚が来日するのは初めてのことだ。これを受け、中谷元前防衛大臣に話を聞いた。

まず中谷氏は、マティス長官が日韓両国に真っ先に来訪したことについて、「マティス長官は、来日の理由を明確に言った。同盟国である米国が誤解を受けることがないようにしなければならないと思った、ということと、特に、中国や北朝鮮に対し日米関係が間違ったメッセージになっているのではないか、という懸念からすぐに来たということだ。」と述べた。

また中谷氏は、マティス国防長官は大きく5つのことを明確に発言したと述べた。その5つとは:

・尖閣列島が日米安保条約の第5条(我が国の施政の下にある領域に対する武力攻撃が発生した場合には、両国が共同して日本防衛に当たる旨規定)の適用対象であること。

・南シナ海、東シナ海の中国の活動に対して懸念を表明。

・日本の防衛費の負担を評価。他の国のモデルになっている。

・北朝鮮のミサイルは深刻な脅威。

・沖縄の辺野古基地は普天間問題を解決するための唯一の手段。早急に普天間問題を解決しなければならない。

このマティス国防長官の発言を中谷氏は、「現状の認識が的確、正確である。これから10年先も同盟関係続けなければならないと述べた。」と評価した。一方細川氏は、「(マティス国防長官の)上に立つトランプ大統領の考えがマティス長官の考えとは別のものが出てきたときにどんな事態が考えられるのか?」と懸念を示した。

それに対して中谷氏は選挙期間中も含めた、トランプ氏の日本に対する様々な発言を、「オバマ(前大統領)のように理念や価値観よりも現実的な利益を選択するという自己の信念を反映した内容」との認識を示した。その上で、「日本国憲法、特に9条を知らないのでは。」と指摘した。その点については、「総理から日本の貢献している実績、米国のメリット、お互いの協力の必要性を説明してもらえれば理解されるのでは。」と述べ、トランプ氏の日米安保の理解を重要だとの考えを示した。

中谷氏は、細川氏の「日本がもっと主体的に防衛体制を強化していく必要性が今よりもあるのか。」という質問に対し、ある、と答えた。中谷氏は、「米ソ冷戦の終結に伴い、均衡状態が崩れ、多国間の時代に移ったと同時に、テロが生まれた。オバマ前大統領時代アメリカは中東・アフガニスタンから米軍をどんどん撤退させ、そのことにより力の空白が生じ、中東は大混乱、シリアも真っ二つ、ISIL(イスラム国)も出てきた」と説明。「アメリカももう負担をすることができないので同盟国に対してさらなる努力を要求」していて、これは「当然のことだ。」と中谷氏は考える。

その上で、「日本が独自でできることは、日本自身の防衛力の強化。そのために、防衛費の増額も含めて、ある程度日本のやるべきことを増やしていくというのは米国にとって負担の軽減につながる。」と述べ、日本の防衛力強化が必要との考えを強調した。

中谷氏は、「日本の周りを見ると、北朝鮮はミサイルの開発、核実験を繰り返している。中国も海軍の兵力を増強して、日本の現在でも3倍の国防費がある。(それらに)日本は追いついていない。」と指摘し、必要に応じた防衛費の増額を主張した。具体的な防衛策としては、南西方面の自衛隊の配備、水陸両用部隊(海兵隊)の編成といった島嶼(とうしょ)防衛の整備をあげた。相手に島を占領された場合奪回できる力、ミサイルを打ち落とすための能力の必要性も述べた。

同時に日米で連携できることも必要だとし、それは「中国や他国に対しての抑止力」につながるという。テロについても「日本人が人質になったときどういう風に救出するか。そしてテロをどう抑止するか。こういうことも日本の役割として責任を果たすようにしていかなければならないと思う。」と言及した。

細川氏は、「同盟関係も大事だけれども自分たちの国は自分たちで守るという意識をもつこと」が必要と述べると、中谷氏は、「国の責任は国民の生命・財産を守ること。それが(自国で)できないときに初めて同盟国の力を借りていく。」と、まずは日本の国防が第一義であると強調した。

(この記事は、ラジオ日本「細川珠生のモーニングトーク」2017年2月11日放送を要約したものです)

「細川珠生のモーニングトーク」

ラジオ日本 毎週土曜日午前7時05分~7時20分

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トップ画像:©Japan In-depth 編集部


この記事を書いた人
細川珠生政治ジャーナリスト

1991年聖心女子大学卒。米・ペパーダイン大学政治学部留学。1995年「娘のいいぶん~ガンコ親父にうまく育てられる法」で第15回日本文芸大賞女流文学新人賞受賞。「細川珠生のモーニングトーク」(ラジオ日本、毎土7時5分)は現在放送20年目。2004年~2011年まで品川区教育委員。文部科学省、国土交通省、警察庁等の審議会等委員を歴任。星槎大学非常勤講師(現代政治論)。著書「自治体の挑戦」他多数。日本舞踊岩井流師範。熊本藩主・細川家の末裔。カトリック信者で洗礼名はガラシャ。政治評論家・故・細川隆一郎は父、故・細川隆元は大叔父。

細川珠生

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