人心一新急務 安倍内閣 Japan In-depth編集長安倍宏行
「細川珠生のモーニングトーク」2017年7月1日放送
細川珠生(政治ジャーナリスト)
Japan In-depth編集部(大川聖)
【まとめ】
・通常国会は法相の答弁問題や森友・加計学園問題など、安倍政権の対応の悪さが目立った。
・長期政権が故の慢心で、驕り高ぶりが噴出した。
・内閣改造で人心一新が必要。党役員、官邸の人事も重要。
通常国会会期中は改正組織犯罪処罰法改正が成立した一方で、同法に関する金田法相の国会答弁が二転三転したと野党から批判された。森友・加計学園問題や中川俊直前経済産業政務官の重婚疑惑、豊田真由子衆議院議員の秘書に対するパワハラ問題など政府・与党への批判が高まった。政治ジャーナリストの細川珠生氏がウェブメディアJapan In-depthの安倍宏行編集長と前国会を振り返った。
■政府側の対応の悪さ
細川氏は「政治家の資質を問う出来事が沢山あった。」と振り返った。また、「国会開会中、森友・加計問題での政府側の対応の悪さ」を指摘した。特に加計問題は、片方の当事者である前川喜平前文部科学省事務次官が記者会見を開き、「加計学園」が獣医学部を愛媛県今治市に新設することに関する文書が本物であると証言したのに対し、政府側は‘怪文書’と述べる等、「不誠実な対応に終始したことで国民不信が高まった。」と述べた。そして、稲田防衛相の発言を含め、「全体として安倍内閣が対応を誤る場面が沢山あった。」と述べた。
安倍編集長は、「有権者は、長期政権の“驕り・高ぶり”といったものが噴出したとみているのではないか。」と述べた。第二次安倍政権は4年半である。細川氏は「安倍政権は、野党が弱いことによって、多少支持率は落ちても政権自体変わることがないという感覚を持っていると思う。それが全ての緩みに繋がっている。」と警鐘を鳴らした。
安倍編集長は、加計学園についても、国家戦略特区自体は国民に評価されていないわけではないので、何故加計学園に決まったのかのプロセスについて、「国民に誠実に説明を尽くしてほしい」と述べた。また、会期後に安倍首相が国家戦略特区を全国で行うと述べた件について、「国会のなかできちんと説明すべきだった」との考えを示した。
■時代に即した社会・制度作り
一方で、細川氏は長期政権の「利点もある。」と述べ、安倍首相が取り組んでいる改憲や防衛・安全保障等、「国の根幹に関わる問題は政権が安定してないとできない」と述べた。
また細川氏は、現在は「少子高齢化で社会が変わる局面」にあり、「世界のリーダーが変わり、そのリーダーの考えに基づいて経済も安全保障も色々変化が生まれようというときに、日本もそれに対応していく社会・制度作りが必要だ」と述べた。戦後は経済成長、人口増を前提としていて、「戦後の高度経済成長の時代に作られた制度は行き詰っている」と指摘した。
安倍首相が力を入れて取り組んでいる憲法だが、年内に自民党の改正原案を出す姿勢を示している。細川氏は、四年半の政権下、ようやく憲法改正にも手が付けられるようになった、世界情勢の中で憲法改正に対する国民の意識も変化するのに必要な年月であった、との考えを示した。また、「権力は国民のために使うという意識」が政治家にとって重要であると主張した。
安倍編集長は、北朝鮮のミサイル発射が活発化している中で、「国家の安全保障問題も長期政権であるからこそ取り組むことができる問題である。」と述べた上で、今後は内閣改造もあるので、「きちんと身を律して取り組むべきことを取り組むべき」との認識を示した。また、「野党も倒閣運動に汲汲とするのではなく、正々堂々と議論すべき」と述べた。
■内閣改造で人心一新
細川氏は「安倍政権は支持率が急落し、色々な反発も出ている状況であり、内閣改造で人心一新をすべき」との考えを示した。特に重要である防衛相のポストは、発言が問題になるような自覚のない大臣は変え、過去の防衛大臣経験者の再登板も考慮に入れ資質のある人を据えるべきである、との考えを示した。
党役員、加計学園で国民が不信感を抱いた官邸(官房長官、官房副長官)も含めた人事で「安倍首相の意思が見えるだろう」と述べ、人心一新の重要性を強調した。
また、野党も「週刊誌をネタに国会質問しているが、それはやめるべきだ。自分たちで現地に行き調べたものに基づいて国会での質疑をしてほしい。そのあたりが野党の弱さである。」と述べた。
さらに細川氏は、加計問題が国民の中でまだ「くすぶっている。」と述べ、一校に限定したものであったのに全国展開を目指すという安倍首相の発言や前川氏の発言に対してまだ答えていない状況であることが不信感につながる原因であると述べた。
また細川氏は、「通常国会閉会から臨時国会開会まで時間が空きすぎではないか」、と指摘。「国会審議に時間が足りないのであれば、会期制を改める余地もあるのではないか」、と指摘した。
一年半以内には必ず衆議院選挙が行われる。細川氏は「政治に対する関心を持続し、候補者の資質を見極めて投票すべきである」と述べた。安倍編集長も都議選後の野党の動きを含め見極めていく必要性を強調した。
(この記事はラジオ日本「細川珠生のモーニングトーク」2017年7月1日放送の要約です)
「細川珠生のモーニングトーク」
ラジオ日本 毎週土曜日午前7時05分~7時20分
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この記事を書いた人
細川珠生政治ジャーナリスト
1991年聖心女子大学卒。米・ペパーダイン大学政治学部留学。1995年「娘のいいぶん~ガンコ親父にうまく育てられる法」で第15回日本文芸大賞女流文学新人賞受賞。「細川珠生のモーニングトーク」(ラジオ日本、毎土7時5分)は現在放送20年目。2004年~2011年まで品川区教育委員。文部科学省、国土交通省、警察庁等の審議会等委員を歴任。星槎大学非常勤講師(現代政治論)。著書「自治体の挑戦」他多数。日本舞踊岩井流師範。熊本藩主・細川家の末裔。カトリック信者で洗礼名はガラシャ。政治評論家・故・細川隆一郎は父、故・細川隆元は大叔父。