観光環境整備に「出国税」 山本有二衆議院議員
「細川珠生のモーニングトーク」2017年12月9日放送
細川珠生(政治ジャーナリスト)
Japan In-depth編集部(駒ヶ嶺明日美)
【まとめ】
・給料を上げたら法人税を下げたり、交際費課税限度額を上げること等党税調で議論、含み資産課税には否定的。
・「出国税」は外国人向けの観光環境整備を使途とすることを考えている。
・党税調は社会の変化を知るのに大切な場である。
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今月14日の来年度与党税制改正大綱の決定に向け、自民党税制調査会では議論が行われている。議論の内容・視点・ポイントについて、自民党税制調査会副会長・自民党財務委員長・前農林水産大臣の山本有二氏をゲストに迎え、政治ジャーナリストの細川珠生氏が話を聞いた。
まず細川氏が「税制改正は毎年行われるが、平成30年度のポイントはどこか」と質問すると、山本氏は所得税と法人税を上げた。まず所得税については、「一番大きいのは所得税の中身。皆さんお勤めをすれば給与所得だが、新しい形の働き方が若者を中心に出てきた。働き方の多様性に基いて、今後新しい世代の方々に意欲ある人生を送ってもらう。そんな税制を今研究している。」と述べた。
法人税については「今年の課題は法人の含み資産」だとした。400兆円を超えたからといって直ちに含み資産に資産税をかけることにはならない理由として、「東芝でも破綻するのだからどんなに大きくても備えは要る」という見解もあること、また、「二重課税になってしまう」こと、の2点を示した。
写真)東 京汐地区高層ビル群
Photo by Chris 73
その上で山本氏は、景気回復のリード役として個人消費を拡大させるには「給料が上がるのが一番早い」と述べ、「3%以上給料を上げたら法人税を下げる」政策や「中小企業であれば800万円くらいまでは一律に交際費に課税しない」という政策の継続も議論しているという。
続いて細川氏は「出国税」と「ゴルフ利用税」について聞いた。山本氏は、「出国税」は外国人向けの観光環境整備が使途であるとした。昨年度の訪日外国人数は2000万人超。2020年オリンピック・パラリンピックの年には4000万人を政府は目標にしている。それに備えて、英語・中国語以外の言語に対応した標識や公的なWi-Fiの整備、入国審査の時間短縮を行う方針だという。
さらに、今まで見出されていなかった過疎地域や離島地域への観光環境の整備も視野に入れているということだ。そのために、「日本人でも外国の方でも、出国するときには1000円くらい頂戴する」ことを検討しているという。
写真)成田空港
flickr: Hideyuki KAMON
細川氏が「日本人が出国するのにも課せられるというと、疑問が多く出ると思うが、どうやって国民を説得するのか。」と質問すると山本氏は「先進国の中で出国税をとられていないところはない。それが負担感になるという方もいるかもしれないが、海外旅行をするときには1人平均30万円くらい使う。サーチャージや為替の変動で1000円くらい高低の幅があり、そこで吸収される。こう考えると無理がない税になる。」と述べ理解を求めた。
写真)舞妓の見世出しを撮る外国人カメラマン
flickr: sprklg
また、「ゴルフ利用税」について、山本氏は「ゴルフ利用税は、ゴルフ場のある市町村の独自財源になる」ことに関して、「ゴルフに行く方々からしたら、(自分たちは)負担ばかりでゴルフ場のある町だけが潤うじゃないか、と。これは全国のスポーツ振興から考えてほしい。」と述べた。
写真)ゴルフ場(イメージ)
photo by Nathan Nedey
また、ゴルフ利用税を歳入にしている市町村の目線として、ゴルフ場へのアクセス道路や芝の整備にかかる費用からするとゴルフ利用税はまだ少ないという議論もある、と指摘した。
また、「自民党の税調では賛否両論が必ずあり、白熱して喧嘩腰のこともあるが、やがてアイデアが生まれたり、納得感が生まれたりする」と述べ、党税調の意義を強調した。そして、「様々な社会的変化を知る大切な場が税制調査会だと感じる。」と述べた。
最後に細川氏は「国民の理解が非常に重要になってくる。税制調査会の方々が一丸となって国民に説明をしてほしい。」と締めくくった。
トップ写真)山本有二衆議院議員
©Japan In-depth編集部
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この記事を書いた人
細川珠生政治ジャーナリスト
1991年聖心女子大学卒。米・ペパーダイン大学政治学部留学。1995年「娘のいいぶん~ガンコ親父にうまく育てられる法」で第15回日本文芸大賞女流文学新人賞受賞。「細川珠生のモーニングトーク」(ラジオ日本、毎土7時5分)は現在放送20年目。2004年~2011年まで品川区教育委員。文部科学省、国土交通省、警察庁等の審議会等委員を歴任。星槎大学非常勤講師(現代政治論)。著書「自治体の挑戦」他多数。日本舞踊岩井流師範。熊本藩主・細川家の末裔。カトリック信者で洗礼名はガラシャ。政治評論家・故・細川隆一郎は父、故・細川隆元は大叔父。