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.社会  投稿日:2018/7/27

時差BIZという名の「対症療法」 東京都長期ビジョンを読み解く!その61


西村健(NPO法人日本公共利益研究所代表)

「西村健の地方自治ウォッチング」

【まとめ】

・東京都が時差BIZを開始。

・そこそこ成果はあるが、対症療法にしか過ぎない。

・まずは大江戸線で結果を出してみては?

 

【注:この記事には複数の図や写真が含まれています。サイトによっては写真説明と出典のみ記されていることがあります。その場合はJapan In-depthのサイトhttps://japan-indepth.jp/?p=41235でお読み下さい。】

 

東京都が時差BIZを本格化させている。

 

このネーミング。センスがあるように見えるが・・・。何とかBIZっていつからはやり始めたのだろう。私が若いころは、BIZ=businessと聞いてカッコ悪いと思ったが、時差ビジネスですか・・・いったいなんだろう。

 

■ 時差BIZとは?

 

東京都の時差BIZ」の目的は企業や鉄道会社と連携して通勤ラッシュ緩和を目指すこと。時差Bizとは、「通勤ラッシュ回避のために通勤時間をずらす働き方改革のひとつです」というのが公式見解である。具体的には、鉄道利用者が集中する時間帯を避けて時差出勤の推奨などをサポート・・・・。ただし、強制力はない。あくまでも推奨。簡単に言うと、企業に時差通勤を誘導するという感じといったところ。

図)鉄道通勤者の出社時刻(23区)

出典)東京都

 

平成29年度は7月11日から7月25日の実施で約320社が参加し、30年度:昨年の倍の740超の企業が参加を表明しているそうだ。満員電車の回避、通勤時間の有効活用、企業側には生産性向上のメリットがうたわれている。実際、成果が出ているそうで、通勤時の快適性向上が58%、仕事の効率性向上が54%とのこと。

 

しかし、取組みによる現象の前後比較結果は残念ながら見られなかった。「取り組んだ」量は明らかにされているが、取り組みの結果どうなったのかがわからない。定性的な効果、定量的な効果(アウトカム)レベルのものはわからない。

写真)ラッシュ時の新宿駅

出典)Chris 73

 

■ 時差BIZでは本質的な問題解決にはならない

 

たしかに、運動としては広がっている。今までこういった活動はなかったという意味で評価はできる。ちなみに29年度は6000万円、今年度は9000万円の費用が掛かっているが、東京でのこうしたキャンペーンはこれだけかかるのはおかしいとは思うが、いったん受け入れよう。

 

しかし、根本的な「都心の混雑解消」や「働き方改革」に貢献しているかというと疑問である。微々たる影響しか及ぼしていないともいえる。

 

東京都は予算規模も国家レベルだし、衰退する日本を先導していくことができる。国は大きすぎて、利害関係者が多すぎて複雑な構造になってしまっていて、改革は本当に難しい。

 

他方、東京都のような地方自治体は挑戦的な取り組みができるはずなのだ。無用な我慢・ガンバリズムの旧時代の悪弊を変え、新しい時代の方向性を示す可能性に希望を見出したいというのは私だけだろうか。

 

 安易なキャンペーンより地道な活動での成果を

 

先ほど通勤時間帯に満員電車に乗ったが、都営大江戸線はとても混雑していた。そもそも電車の車体が小さいので奥にも入れない。

 

都庁は、フレックスタイム制度の普及・促進をしているのを知っている。そして、東京都は取組としては「混雑の見える化」という活動をしている。これは新たな活動としては素晴らしいのだけど、以下のようなPDFファイルを開かないとわからないし、見方も説明がない・・・・(残念)。

図)通勤ラッシュ混雑状況 提供)西村健

我々都民が求めるのは「見える化」「可視化」ではない。都庁のおひざ元の大江戸線にでも絞って成果を出して欲しい。

 

トップ写真)時差BIZパンフレット 出典)東京都

 

 

 


この記事を書いた人
西村健人材育成コンサルタント/未来学者

経営コンサルタント/政策アナリスト/社会起業家


NPO法人日本公共利益研究所(JIPII:ジピー)代表、株式会社ターンアラウンド研究所代表取締役社長。


慶應義塾大学院修了後、アクセンチュア株式会社入社。その後、株式会社日本能率協会コンサルティング(JMAC)にて地方自治体の行財政改革、行政評価や人事評価の導入・運用、業務改善を支援。独立後、企業の組織改革、人的資本、人事評価、SDGs、新規事業企画の支援を進めている。


専門は、公共政策、人事評価やリーダーシップ、SDGs。

西村健

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