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.政治  投稿日:2019/3/7

「拉致問題、日朝首脳会談に期待」 前防衛大臣小野寺五典衆議院議員


「細川珠生のモーニングトーク」2019年3月2日放送

細川珠生(政治ジャーナリスト)

Japan In-depth編集部(小俣帆南)

【まとめ】

・核ミサイルが確実に廃棄されない限り、北朝鮮への強硬な姿勢保つべき。

・アメリカを通じ、適切な時に拉致問題解決の為、日朝首脳会談開催を。

・徴用工問題では国民の理解を促し、政権には然るべき抗議を。

 

【注:この記事には複数の写真が含まれています。サイトによっては全て表示されないことがあります。その場合はJapan In-depthのサイトhttps://japan-indepth.jp/?p=44544でお読みください。】

 

先月27日から28日にかけて二度目の米朝首脳会談が開催された。今回は前防衛大臣で現在は自民党安全保障調査会長を務める小野寺五典氏をゲストに招き、北朝鮮を始めとした周辺各国と日本との関係について、政治ジャーナリストの細川珠生氏が話を聞いた。

初めに細川氏は昨年6月に引き続いて開催された今回の米朝首脳会談について、「アメリカとの同盟関係や北朝鮮との拉致問題などを踏まえ、日本国民は今回の会談をどう考えれば良いのか」と会談の評価を聞いた。

これに対して小野寺氏は「日本にとって一番深刻なのは、核・ミサイル、拉致問題」とした上で、北朝鮮と周辺各国との関係について「南北対話の影響で最近は韓国も北朝鮮寄り」「ロシア中国も北朝鮮に対して一定の支援をしたい意向を示している」と述べた。このように韓国・ロシア・中国が北朝鮮寄りの姿勢を示している現状を踏まえ、「アメリカを含めた西側諸国で北朝鮮に対し強いメッセージを出す必要がある」とし、日本の立場についても「当事者として最前線にいるという思いが大事」と述べ、北朝鮮には強硬な姿勢を示し続けるべきとの見解を示した。

続けて細川氏は、日本が北朝鮮に対して行っている経済制裁について言及し、「どういう成果が出たら、制裁を緩めるという議論が出てくるか」と尋ねた。

これに対して小野寺氏は「一貫して、核ミサイル問題・拉致問題に進展があることが大切」と述べた。加えて、「核・ミサイルが放棄されるまでは経済制裁を緩めない、ということは国連の安保理で決議されている」「最終的には国連の安保理で北朝鮮の姿勢について評価し、その後に経済制裁の緩和に向かうのが基本」と述べ、核ミサイルが放棄されない限り経済制裁は緩めるべきではない、との考えを強調した。

又、小野寺氏は、「国連の北朝鮮への姿勢をしっかり見ていくことが重要であり、これが北朝鮮への強い圧力になる」とし、日本は国連の動きに従うべきとの考えを示した。さらに、「最終的には核・ミサイルの廃棄が明確にならない限り、日本や国際社会は『進展した』と評価すべきではない」と述べ、「口約束やパフォーマンスで騙されるべきではない」と北朝鮮の動きを強く牽制した。

更に細川氏は拉致問題に関して、日朝の直接対話が未だ実現していない現状の中では「アメリカの協力が必要」とした上で、「会談で米朝が関わっているということは拉致問題の解決には有効か」と聞いた。

これに対して小野寺氏は「日本は拉致問題に関して北朝鮮と対話をする環境になっていない」とした上で、その環境づくりの為の「仲介をアメリカに要請している」と述べた。米朝首脳会談でトランプ氏が拉致問題を2回取り上げたとされるが、米政府の仲介で日朝首脳会談が実現する可能性に期待感を示した。

 

▲写真 ©Japan In-depth編集部

 

加えて細川氏は、「徴用工の問題では日本企業が資産を没収されるような状態になっている。」と、日韓関係改善の為の解決策について聞いた。

小野寺氏は、韓国の最高裁の判断で賠償請求が認められ、文大統領が「司法の判断」と主張している事実を確認。文大統領就任後、最高裁の判事14名のうち8名が交代したことについて「文大統領の考えに近い人が任命された」とした上で、今回の判断についても「政治的な意図でこのような方向に進んだと考えるべき」と話し、文大統領の「司法の判断」という主張は誤りだとの考えを示した。

さらに小野寺氏は1965年に締結された日韓請求権協定にも言及。「当時の日本政府は『お互いこれ以上話を蒸し返さない』という前提で韓国に経済支援をした」「当時の韓国の国家予算の2倍近くになる支援によって韓国の基本的な産業が出来た。」と述べた。

また、敗戦前、北朝鮮や韓国には多くの日本人が住んでおり企業の投資もあった事実に言及し、「この時の資産は莫大だと言われている。これが後に韓国の経済発展へ繋がった」と述べた。その上でお互いが資産の請求をし合うようなことになれば両国にとって悪影響との見解を示した。両国の関係を維持する為、未来志向の実現を目指して締結されたのが1965年の日韓請求権協定であったとの見方を改めて示した上で、韓国側には「早く冷静になってもらい、この問題については蒸し返しをせず、未来に向かってどうするのか考える」ことを求めた。

細川氏も徴用工の問題を巡る日韓関係について、「戦後の解決の仕方を両国民が知るだけでも、国民レベルでの理解は進むのではないか」との期待感を示した。

小野寺氏は細川氏の見解について「韓国国民を非難しているのではなく、日本に言いがかりをかけてくる文政権への抗議」と、両国民の感情問題に繋げない為にも、あくまで政権への抗議に留めるべきだとの見方を示した。

(この記事はラジオ日本「細川珠生のモーニングトーク」2019年3月2日放送の要約です)

 

「細川珠生のモーニングトーク」

ラジオ日本 毎週土曜日午前7時05分~7時20分

ラジオ日本HP http://www.jorf.co.jp/index.php

細川珠生公式HP http://hosokawatamao.com/

細川珠生ブログ http://tamao-hosokawa.kireiblog.excite.co.jp/

トップ写真:©Japan In-depth編集部


この記事を書いた人
細川珠生政治ジャーナリスト

1991年聖心女子大学卒。米・ペパーダイン大学政治学部留学。1995年「娘のいいぶん~ガンコ親父にうまく育てられる法」で第15回日本文芸大賞女流文学新人賞受賞。「細川珠生のモーニングトーク」(ラジオ日本、毎土7時5分)は現在放送20年目。2004年~2011年まで品川区教育委員。文部科学省、国土交通省、警察庁等の審議会等委員を歴任。星槎大学非常勤講師(現代政治論)。著書「自治体の挑戦」他多数。日本舞踊岩井流師範。熊本藩主・細川家の末裔。カトリック信者で洗礼名はガラシャ。政治評論家・故・細川隆一郎は父、故・細川隆元は大叔父。

細川珠生

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