「憲法改正、更なる議論を」憲法審査会筆頭幹事自民党新藤義孝衆議院議員
「細川珠生のモーニングトーク」2019年5月4日放送
細川珠生(政治ジャーナリスト)
Japan In-depth編集部(小俣帆南)
【まとめ】
・改正反対派は憲法審査会の開催そのものに反対する等、議論を妨げていた。
・国民の理解を促進させる為には十分な議論が不可欠。
・国民投票法改正案についての審議採決は早急に進めるべき。
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5月3日は憲法記念日だった。今回のモーニングトークでは、元総務大臣で現在憲法審査会筆頭幹事を務める自民党・新藤義孝衆議院議員をゲストに招き、憲法改正の動きについて政治ジャーナリストの細川珠生氏が話を聞いた。
2年前の5月3日、安倍総理は自民党総裁という立場から「東京オリンピックが行われる2020年を新しい憲法が施行される年にしたい」と発言。細川氏はこの発言によって憲法改正へのスケジュールが示され改正に賛成する議員数も3分の2を超えたことなどから、改正に向けて前向きに動いていくと期待したと述べた。しかし結果としてこの2年間改正への動きは進まず、来年新しい憲法を施行するのは難しいように見えると指摘。この原因について新藤氏に聞いた。
新藤氏は第1に、「憲法改正は夢から現実のものになった。その結果、改正に反対する人たちも、より現実的な行動を取るようになった」ことを挙げた。第2には「73年間改正していない憲法について、国民の理解を得て、国民投票で判断してもらうには時間がかかる」と述べ、改正反対派の動きと国民への浸透に時間を要することが、改正に向けての動きが遅れている原因だとした。
細川氏は国民の理解という点について、国民の声も二分しており、時によって賛成反対の比率が変化し続けている現状に言及。国民が混乱しているのではないかと指摘した。
これについて新藤氏は、確かに国民は混乱していると認めた上で、「ここまで憲法改正についての議論が進んだことは未だかつてない」「ステップを踏んできている」と前向きな見解を示し、「国の根幹に関わることなので大きく深い議論が必要」とした。「国民がきちんと判断できるような材料を提供すること、その為の原案を作ることが国会議員の責任」だとも述べ、国民が憲法改正について理解できるように更なる議論が必要だとの見方を示した。
▲©Japan In-depth編集部
細川氏は続けて、憲法審査会は全会一致で開催を決めるなど、開くこと自体大変だと指摘。一党でも反対すると審査会の開催自体も難しいという現状の中で、6月までの国会で、どのようなスケジュールで憲法審査会の開催を進め、議論していくのかについて尋ねた。
新藤氏は、「憲法審査は政局から離れて国民の為の憲法論議を深めていくべき。これが私たちに与えられた役割」だと述べた上で、「国会の委員会は、政府や議員が出した法律を審査する場。審査し質疑答弁をして、採決を行って決着をつける。一方で憲法審査では最終的な判断権者は国民。我々がすべきなのは原案を作るまで。静かな環境で多くの人が参加して論議を深めていくべきだ」と述べ、憲法審査会の開催自体に反対する意見が野党内にあることで、議論が進まないことは遺憾だとの考えを示した。
これを受けて細川氏は、「どのような結果になろうと議論するのが国会の仕事であれば、審査会開催に反対している彼らはその仕事をしていないということにもなる。」と述べた。
新藤氏はこれに対して「少なくとも私は、改正に反対している党の国会議員も含めて、皆この問題に真剣に取り組んでいると思っている」と述べた。その上で「進展がないこの状況を払拭する為に私たちの責任でやらねばいけない」と、反対派も含めて議論を更に進めていく必要があるとの見解を改めて示した。実際、5月の連休明けには国民投票の際の広告規制について、参考人を呼んで具体的な議論を始めることも明らかにした。
新藤氏は加えて国民投票法の改正案について言及。「3国会前に趣旨説明まで済んでいるのに、結果的に動かなくなっている」「一年前の国会で出たものを未だに審議していないというのはいかがなものか」と指摘し、国民投票法の改正についても議論を進める必要があるとの見解を示した。
更に国民投票法の改正について、「全党が賛成して公職選挙法が改正された。これによって投票機会が拡大。その改正の横並びで、手続き上、国民投票法に反映させる必要があるだけのもの」と述べ、「全党が賛成したはずなのに、どういう理由で審議採決を進めることに反対しているのかはよく伺う必要がある」とした。
最後に細川氏は「議論が進む姿を国民が見ないことには、それぞれが正しいと思う判断が出来ない」と述べ、憲法改正についての議論を深めていくことの必要性を強調した。
(この記事はラジオ日本「細川珠生のモーニングトーク」2019年5月4日放送の要約です)
「細川珠生のモーニングトーク」
ラジオ日本 毎週土曜日午前7時05分~7時20分
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この記事を書いた人
細川珠生政治ジャーナリスト
1991年聖心女子大学卒。米・ペパーダイン大学政治学部留学。1995年「娘のいいぶん~ガンコ親父にうまく育てられる法」で第15回日本文芸大賞女流文学新人賞受賞。「細川珠生のモーニングトーク」(ラジオ日本、毎土7時5分)は現在放送20年目。2004年~2011年まで品川区教育委員。文部科学省、国土交通省、警察庁等の審議会等委員を歴任。星槎大学非常勤講師(現代政治論)。著書「自治体の挑戦」他多数。日本舞踊岩井流師範。熊本藩主・細川家の末裔。カトリック信者で洗礼名はガラシャ。政治評論家・故・細川隆一郎は父、故・細川隆元は大叔父。