朝鮮半島情勢ー金正恩の真の狙いとはー
.国際  投稿日:2019/5/13

ゴーン氏ベルサイユ動画流出


Ulala(ライター・ブロガー)

フランス Ulala の視点」

【まとめ】

・関係者不在の「日産・ルノー連合」記念イベントの動画流出。

・発足15周年のイベントか?誕生日パーティーか?

・動画は今後の裁判資料となる。

 

【注:この記事には複数の写真が含まれています。サイトによっては全て見ることができません。その場合はJapan In-depthのサイトhttps://japan-indepth.jp/?p=45722でお読み下さい。】

 

「誰がルイ14世 (フランス王)なのですか?」

「すぐにわかりますよ。」

と言う会話から始まったのは、フランスのテレビLCIのニュースの一つだ。彼らが話しているのは日産自動車元会長、カルロス・ゴーン被告(65)のことである。というのも、現在フランスでは、2014年6月9日にベルサイユ宮殿で開かれた大規模な晩餐会の動画が物議をかもしだしているのだ。

5月9日にフランスの新聞「ロブス」「レクスプレス」によって公開されたこの動画は、その日のうちにSNSのあちらこちらで動画が紹介され拡散された。

2014年6月9日にベルサイユ宮殿で開かれた大規模な晩餐会の動画 

 

大規模な晩餐会は、1999年に結成された「日産・ルノー連合」発足15周年のイベントとされており、招待客への案内状には両社の提携15周年を祝う旨が記されていたそうだ。しかしその案内状は「イベントを口外しない」ことを求める記載もあったと言う。しかも、晩餐会は、連合発足日の3月27日ではなく、ゴーン被告の60歳の誕生日である3月9日に開かれていたのである。そのため、この晩餐会は、会社のイベントではなく、実際はゴーン被告の誕生日パーティーであり、私的流用なのではないかと疑いがかけられている。

招待客約200人のリストを見ても、日産の役員などの姿はまったくなく、主役のはずの企業連合の関係者はわずか2人ほどしかいない。招待客は有名な人物も多い。例えばアマゾン最高経営責任者(CEO)のジェフ・ベゾス氏、英国元首相のトニー・ブレア氏の妻シェリー・ブレア夫人や、フランスの俳優フランソワ・クリュゼ氏だ。だがクリュゼ氏などはまったく日産・ルノー連合に関係しない人物である。

その他、フランコ・レバノンの作家アミン・マロルフ氏、レバノンの富豪ギルバート・チャゴリー氏、ブラジル州知事など、ゴーン被告の知人や友人の名前が並んだほか、2年後に同じベルサイユ宮殿で結婚式披露宴を行い、再婚相手となるキャロルさんも出席していた。そして、会社のパーティーのはずが、ゴーン被告の娘を含む家族も出席しているのだ。

▲写真 ジェフ・ベゾス氏 出典:Flickr; James Duncan Davidson

2014年に登録された動画が、なぜ今ごろ注目を浴びるようになったかと言えば、それまでは動画がプライべ―ト設定となっておりアドレスをしらなければアクセスできず、一般の人の目に触れることはなかったからだ。しかし今回、2月の時点で疑惑を記事にするなど、盛んにこの件について調査していた「ロブス」「レクスプレス」により発見されたのである。

▲写真 ベルサイユ宮殿内「戦闘の回廊」 出典:Wikimedia Commons; Zairon

動画は、この夜の晩餐会がどれほど壮大だったかを物語っている。ベルサイユ宮殿内の「戦闘の回廊」が会場とされ、ルイ14世時代のコスチュームをまとった人々が案内し、踊りを見せ、楽器を持ち、あちらこちらで生演奏を行い、ルイ14世時代を再現した映画のような世界が繰り広げられている。

晩餐会の主役でもある豪華なディナーは、日本でも有名なフランス料理界の巨匠、アラン・デュカス氏が担当し、本人からの挨拶も行われた。庭園では花火も打ち上げられ、この豪華な晩餐会の総額は63.4万ユーロ(約7500万円)。費用は、日産とルノーのアライアンスの共同戦略を決める「ルノー・日産BV」社・オランダから支払われている。しかし、提携15周年を祝う晩餐会のはずが、会場のどこにも日産、ルノーの看板は見当たらない。

▲写真 アラン・デュカス氏 出典:Fickr; Bruno Cordioli

これに対しフランスでは様々な表現で盛んに報道されている。SNSでは批判のコメントが大多数を占めた。France24ではSNSで批判的なコメントをした一人が、他の件で批判されていることをあげることでニュースを締めくくった。柔らかい皮肉で楽しく批判する番組「コティディアン」では、事実を淡々と述べているのに対して、出演者がその内容に驚きで目をまるくしたり、口をへの字にした顔芸を見せる一方、いつも見られるような大胆なコメントは一切見られなかった。

前出のLCIでは、「フランスには何かパラドックスがあるようだ。この6カ月黄色いベストの活動が活発な中、富裕層には誰もゴーン氏を非難する人がいない。」と、解説者がコメントを述べ、Arteの28minutesでは、モラルを求めるコメントがされ、最後はギロチンにかけられた様子を描いた風刺画で締めくくっている。

また、この晩餐会に関して、フランスのゴーン被告の弁護士であるジャン-イブ・ルボルニュ氏はフランスのEUROPE1のインタビューでこう答えている。

▲写真 カルロス・ゴーン氏 2013年 出典:Flickr; Norsk Elbilforening

「ヴェルサイユ宮殿の晩餐会は、まったく友達の間のパーティーの様相を呈していません。第一ゴーン氏は、次の日にレストランで友人と一緒に誕生日パーティーをしています。大企業がブランドを宣伝するための豪華なイベントを主催するのは初めてなわけではないし、ヴェルサイユで晩餐会を主催するのはルノー・日産だけではありません。この新たな論争は、私の依頼主に対し執拗に想像上の罪を見つけるための一種のあおりのようであり、スキャンダルを印象付けようとしているかのようだ。」

このように、動画について各局で沢山の報道がされた一方、日本では、TV朝日が「日産は私的流用であると判断しており、損害賠償請求を検討する方針」と伝えるぐらいで、とても控えめな報道に留まっている。

いずれにせよ、この動画はすでに裁判所に送られ今後調査される予定だそうだ。どのように結論づけられるかはこれからの裁判によって決まることは間違いない。

 

トップ写真:ベルサイユ宮殿 出典:Wikimedia Commons; Eric Pouhier


この記事を書いた人
Ulalaライター・ブロガー

日本では大手メーカーでエンジニアとして勤務後、フランスに渡り、パリでWEB関係でプログラマー、システム管理者として勤務。現在は二人の子育ての傍ら、ブログの運営、ライターとして活動中。ほとんど日本人がいない町で、フランス人社会にどっぷり入って生活している体験をふまえたフランスの生活、子育て、教育に関することを中心に書いてます。

Ulala

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