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.政治  投稿日:2019/6/3

「かぶる傘」で事業費隠す? 東京都長期ビジョンを読み解く!その69


西村健(NPO法人日本公共利益研究所代表)

「西村健の地方自治ウォッチング」

【まとめ】

東京都が「かぶるタイプの傘」を製作。奇抜なデザインが話題。

・賛否両論噴出。話題性や仕掛けの意味では評価。

・”五輪無罪”はダメ。「予算と目的」で積極的な情報公開を。

 

【注:この記事には複数の写真が含まれています。サイトによっては全て表示されないことがあります。その場合はJapan In-depthのサイトhttps://japan-indepth.jp/?p=46102でお読みください。】

 

突然の猛暑がやってきた日本列島。まだ5月にもかかわらずとても暑い。来年の東京五輪はどうなるの?と思った方も多いだろう。

そうした中、東京都は「かぶるタイプの傘」を製作し、その奇抜なデザインが話題を呼んでいる。暑さ対策の一環で、まだ試作品であり、関係者専用とのことだ。

▲画像:「かぶるタイプの傘」 出典:東京都ホームページ

半径30センチメートル、光や熱を遮る素材で作られる帽子、現代版の笠のような感じだ。

 

■BUZZるか?

「誰が使うの?」「シュール」という意見もあれば、「おもろいわ」「江戸時代みたいだ」「なかなかかっこいい」という意見もある。これをかぶった東京都職員を「木枯し紋次郎みたい」と話題にする人も多く、「欲しい!」「買いたい」との意見も多い。話題性、仕掛け、イベントに乗って仕掛けるという意味では、素晴らしい。

この発端は知事が「日傘をさせなければ、かぶればいいじゃない」と発言したとかしないとか。その構想、発想は凄いと思う。日傘を推奨する原田環境大臣よりも斜め上をいっているかもしれない。

知事は「今年は、夏のテストイベントなどのときにも、こう使っていただいて、男性で日傘を差すのは恥ずかしいという、何か気が引けるという方は、もう思い切ってここまでいったらいかがでしょうか。お勧めしたいと思います」という。「Tokyo Tokyoグッズ(というものがあるらしい)の1つになる」「価格などの詳細は、また追ってお知らせいたします」2019年5月24日小池都知事記者会見)ということで有料になる模様だ。

 

■予算と目的のつながりを説明すべき

「詳細は、産業労働局にお聞きください」とのことで、筆者は調べてみた。まず疑問は「開発費用はどれくらいか?」である。しかし、産業労働局の予算書にはこの開発費、該当の予算費目が見つからない。そもそもこの予算書が具体的な記述がほとんどないということが理由ではあるとはいえ、全くもってわからない。結果は、「情報公開」を掲げ、それなりに成果を出している小池都政ではあるが、ここは残念な結果になった。

都民の中には、「東京都が開発する必要があるの?」「使う必要のある人が自分たちで帽子を使えばいいじゃん?」と思う人もいるだろう。そう思うのは自然なことだ。「民業圧迫では?」という人もいるだろう。他方、この傘の事業の必要性も主張したい面もあるはず。「一事が万事」。東京五輪だから何でもありというわけでもないだろう。積極的な情報公開をしてもらいたいものだ。

 

トップ写真:記者会見で「かぶるタイプの傘」を発表する小池百合子都知事(2019年5月24日) 出典:東京都ホームページ


この記事を書いた人
西村健人材育成コンサルタント/未来学者

NPO法人日本公共利益研究所(JIPII:ジピー)代表、一般社団法人日本経営協会講師・コンサルタント、未来学者。慶應義塾大学院修了後、アクセンチュア株式会社入社。その後、株式会社日本能率協会コンサルティング(JMAC)にて地方自治体の行財政改革、行政評価や人事評価の導入・運用、業務改善を支援。独立後、組織改革、人事評価、キャリアカウンセリングなどのコンサルティングを行っている。2013年、社会問題解決のためのNPOを設立。行政評価、人工知能、公共性の専門家としてソーシャルイノベーションを進めている。

西村健

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