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.政治  投稿日:2021/6/30

都議選公約分析その3「公明党」『大衆とともに』の精神


西村健(NPO法人日本公共利益研究所代表)

【まとめ】

・「第2子の保育料無償化」など都民目線のわかりやすい政策。

・「無償化・助成」「優先順位の明確さ」などが特徴。

・「どの財源を削るか」「東京一極集中是正」が示せていない。

 

都議選恒例「公約分析」。今回は、公明党。都議会公明党は、3つの無償化を含む政策目標「チャレンジ8」の実現に挑戦している。

わかりやすい政策提案

8つは以下の通り。

1.第2子の保育料無償化

2.高校3年生までの医療費無償化

3.肺炎球菌ワクチン無償化

4.がん治療に重粒子線

5.駅ホームドアの整備

6.高速道路上の料金所撤廃

7.保護付き動物愛護センター

8.豪雨に備える地下調節池

【出典】東京の未来を開く!全世代の安全・安心をめざすチャレンジ8

正直言うと素晴らしい。都民目線で作られていて、かなり身近な内容である。専門性も垣間見れる。しかも、いろいろ言いたいことはあるところを8つに絞っている。そこに優先順位が見られるので、大変わかりやすい。オリンピック・パラリンピックの開催については踏み込まないなどの批判を受けているが、4年間のなかで、オリンピック・パラリンピックの開催にとって触れる必要もないという正しい判断をしている。

しかも、実績は抜群である。

▲画像 【出典】都議会公明党の実績

要望してきたことを実現、まさに「実績」である。

3つの特徴

これらをまとめると、3つの特徴にまとめられる。

①無償化・助成など人にやさしい

②子育て対策など結果的に日本社会の問題解決

③焦点を絞ったことで見える優先順位の明確さ

これだけの格差社会で弱者の立場にたって政策を提言、そして、様々な成果をあげてきた。8つだけに見えて、子育て、健康医療、まちづくり、交通、動物愛護、防災という東京の「問題」に対しての処方箋を示している。

しかし、厳しい言い方をすると、2点ほど課題がある。

第一に、コストどうするの?ということだ。財源は無限ではない。どの財源にメスを入れるのか、切るのか、具体的にだせないなら、その優先順位や基準を与党ならば示していただく責任がある。

第二に、東京一極集中問題への言及である。コロナ禍が多くの国民も東京一極集中への問題意識を深めるようになった。東京の存在意義が問われているのにもかかわらず、それに対して出てこない点が問題であろう。公明党だからこそ、東京だけが栄えるのではない「東京と地方の共存共栄」についてのモデルが出せるのではないかと思う。

政策評価の専門家としては

さて、政策評価の専門家として5つの視点から評価を下そう。

コンセプト:〇 ⇒【理由】明確、ぶれない

都民視点:〇 ⇒【理由】さすがの「大衆」視点

③問題解決:△ ⇒【理由】顕在する問題には対処はできているが・・・

未来志向:× ⇒【理由】社会の変化を見据えているようには見えない

政策としての基本要件:△ ⇒【理由】明確だが、成果指標や実施後の結果が見えない

ということになる。

しかし、実績を見れば、公明党の役割は果たせていたし、今後も果たせるだろう。大衆とともに都政を進められるのは都議会公明党くらい。都議会公明党の公約推進に期待したい。

トップ写真:都議会公明党のホームページに掲載されているスローガン 出典:公明党公式 facebook




この記事を書いた人
西村健人材育成コンサルタント/未来学者

NPO法人日本公共利益研究所(JIPII:ジピー)代表、ターンアラウンド研究所共同代表・人財育成コンサルタント、事業創造大学院大学国際公共政策研究所研究員・ディレクターなど。


慶應義塾大学院修了後、アクセンチュア株式会社入社。その後、株式会社日本能率協会コンサルティング(JMAC)にて地方自治体の行財政改革、行政評価や人事評価の導入・運用、業務改善を支援。独立後、組織改革、人材育成コンサルティング、政策分析、メディア企画、ソーシャル・イノベーション活動を進めている。


専門は、公共政策と社会心理。近年は、中国の先端技術、世界のスマートシティ、人工知能などテクノロジーと社会への影響、個人情報保護と民主主義の在り方、企業の利益相反、健康医療・福祉政策などをテーマに研究や執筆を進めている。

西村健

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