「このままでは成長望めない」立憲民主党選挙対策委員長 長妻昭衆議院議員
「細川珠生のモーニングトーク」2019年6月8日放送
細川珠生(政治ジャーナリスト)
Japan In-depth編集部(石田桃子)
【まとめ】
・衆参同日選挙の争点は、憲法、原発、多様性。
・憲法審査会では、まずCM規制の議論をすべき。
・安倍政権の消費増税と経済政策は、格差是正の視点を欠き、容認できない。
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今年度の通常国会は、6月26日に会期末を迎える。しかし、安倍首相がその日を待たずに衆議院を解散し、衆参同日選挙を断行するのではないか、との予測が高まっている。今回は、立憲民主党選挙対策委員長・長妻昭衆議院議員をゲストに迎え、政治ジャーナリスト細川珠生が話を聞いた。
細川氏はまず、夏の参院選に向けて野党が共闘態勢を整えたことに触れた。野党各党は5月29日に会談し、改選定数1の一人区のうち、30の選挙区に統一候補を立てることで合意した。
長妻氏は、「3年前の参議院選挙では、32ある選挙区全て一本化し、与党と一騎打ちの構造に持っていくことができた」と述べた。「3年前にできたことができないわけはない」という思いで今回も実現にこぎつけたという。
衆院選では、与党はどのような戦略をとるのか。細川氏が聞いた。長妻氏は、「全て棲み分けをすると言うのはなかなか難しい」と答えた。衆院選には、有権者が政党名を書いて投票する比例代表選挙があるからだ。「しかし野党全体として議席数が増えるよう、議論を進めていく」と述べた。
細川氏は、「衆議院選挙が2年待たずして行われるのは異常だ」と批判し、「国民に考える時間、きちんと判断できる材料がどれだけ与えられているか」、と疑問を呈した。その上で、衆参同日選挙が行われる場合、争点は何か、長妻氏に聞いた。
長妻氏は、「憲法、原発ゼロ、多様性これが3つ大きな争点になる」と述べて、以下のように説明した。
1.憲法の問題
・自衛隊明記のみの改正案は、全く実態にそぐわない
・安倍首相は、国民の誤解に基づいて、権限をなし崩し的に拡大しようとしている
・総理の、自由自在に議会を解散できる権利は制限すべき
・我々は、立憲主義の観点からの改憲議論を否定しない
2.原発の問題
原発ゼロによって、自然エネルギー立国日本を実現できる
3.多様性の問題
男女の賃金格差、LGBTの問題、家庭による教育格差、集団同調圧力
長妻氏は、「これをきちんと手当てしなければ、日本の社会はどんどん下降曲線をたどっていく」と強い危機感を示した。
ⒸJapan In-depth編集部
細川氏は、9条改憲の議論に応じない野党の姿勢について、「憲法審査会では改正国民投票法案も議論されている。議論に応じてもよいのでは」と述べた。安倍首相が、野党の非協力的な姿勢を、解散の根拠に用いる可能性もあると指摘して、長妻氏の考えを聞いた。
長妻氏は、「全く印象操作で心外」と述べた。野党は、改憲の審理拒否をしているのではなく、それに先立ってCM規制の議論をすることを求めている、と述べた。国民投票の際に政党などが流すテレビCMについて、全く規制がなければ、多様な意見が平等に扱われない事態になりかねない、として長妻氏は、「議論を外すわけにはいかない」と述べた。
次に細川氏は、国民の関心を集めている話題として、今年秋に予定される消費増税と、関連する経済政策を挙げた。長妻氏は、消費増税と経済政策が選挙の争点になる、との細川氏の指摘に同意した。その上で、安倍政権の方針に反対して以下のように主張した。
1.格差是正の視点を欠いた増税は容認できない
・民主党政権下で消費税10%を決めた時とは異なり、格差是正が抜け落ちている
・社会保障の自己負担を減らす政策がない
・ポイント還元、軽減税率、幼児教育の無償化は、高所得者にも大量の税金が還元する
2.アベノミクスは不十分
・最低賃金、保育や介護の報酬、残業代の支払いなど、国が直接働きかけることのできる分野で改善を進めるべき
・国民の不安を取り除いて、GDPの約6割を占める個人消費を、上向かせることを目指す
長妻氏は、「格差が大きい国は経済成長できないということは、国際常識になっている」と述べ、日本が「全員野球できない」状況に陥っていると指摘した。また、「アベノミクス一辺倒だけでは日本の成熟国家は成長できない」と訴え、教育や職業訓練の機会の保障、リカレント教育の導入などと組み合わせることで、強い経済を作ることができると主張した。
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この記事を書いた人
細川珠生政治ジャーナリスト
1991年聖心女子大学卒。米・ペパーダイン大学政治学部留学。1995年「娘のいいぶん~ガンコ親父にうまく育てられる法」で第15回日本文芸大賞女流文学新人賞受賞。「細川珠生のモーニングトーク」(ラジオ日本、毎土7時5分)は現在放送20年目。2004年~2011年まで品川区教育委員。文部科学省、国土交通省、警察庁等の審議会等委員を歴任。星槎大学非常勤講師(現代政治論)。著書「自治体の挑戦」他多数。日本舞踊岩井流師範。熊本藩主・細川家の末裔。カトリック信者で洗礼名はガラシャ。政治評論家・故・細川隆一郎は父、故・細川隆元は大叔父。