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.社会  投稿日:2020/4/6

小池都知事カタカナ語多用のなぜ? 東京都長期ビジョンを読み解く!その88


西村健(NPO法人日本公共利益研究所代表)

【まとめ】

・専門用語が一般化する過程でカタカナ語の使用は避けられない。

・カタカナ語は英語使えない人には「マウンティング」に感じる。

・小池知事は実際の記者会見では丁寧に説明をしている。

 

小池東京都知事「オーバーシュート・・・ロックダウン・・・」

3月23日の会合で、こうしたいわゆる「カタカナ語」言葉を多用したことが波紋を呼んでいる。河野太郎防衛相がツイッターで一石を投じているそうだ。

ぺこぱの松蔭寺太勇さんだったら、「何のことなのかわからねえっ~て」「いや、まだ日本語訳に合意ができていないのだろう」とでもいうはずだ。

 

■ 専門用語を一般的な言葉に変えるのは難しい・・・・

小池都知事を擁護するわけではないが、専門用語が一般化する過程では、こうしたことが起きやすい。あるテーマで急に関心があがってしまった場合、新たに関心を持った層にとっては、聞いたことがない言葉、専門用語に当惑するのは当然のこと。急激な拡大に訳や説明が追いつかない展開である。

皆さんも自分たちの業界、会社、お店での「業界用語」を関係のない他人に使ってしまったら、きょとんとされた経験があるだろう。

私事ながら、私も外資系企業に勤めていたとき、とても困惑したものだ。しかも、さも「お前知っているのが当然だろ、知らないなら自分で調べろ」的な圧も感じたこともあった(笑)個人的にも、自分もそうしたことがあったかもしれない。

時を戻そう。

河野氏は、

 ・「クラスター」=集団感染

 ・「オーバーシュート」=感染爆発

 ・「ロックダウン」=都市封鎖

と提言した。

とはいえ、クラスターは集団感染とするのはどうか。違和感がある。クラスターの訳は「房」「集団」「群れ」である。そうなると「集団感染源になる集団・群れ」としたほうが適切なところだろう。そう、言葉を日本語に「翻訳」し、その合意を取るのはなかなか難しいのだ。

 

■ 理解するのがコミュニケーション

「伝わる」ことが得意な小池都知事、どうしたのだろうか?。激務で配慮できない程なのかもしれない。疲れているのかもしれない。

ただし、こうした「和製英語」の多用は長年政治をウオッチしてきているが、多い人ではあることも事実だ。

【小池さんの発したカタカナ語リスト】

 ・第三段階は、イナフと言って去っていく(小沢氏を評して)

 ・都民ファースト

 ・ワイズ・スペンディング

 ・アウフヘーベン

 ・リセットする

 ・ビジネスアズユージュアル

などなどである。「戦略的に使っている」との評価もある。時と場合によって使い分けているのだろうから、本当のところはわからない。けれども、一部の人は、知識がない人を下に見た、英語を使えない人に対して、「マウンティング」、つまり自分の方が上であると優位性を示す言動と感ずる人もいるだろう。そんなことないとは思うが、無意識的にやっていたとしたら、相当たちが悪い。

私も子供の時に調子に乗っていて、カッコつけた言葉を発して、周りから反発を食らったことを思い出した。

無自覚に使っている言葉が、他の業界の人にはわからないとなると普通は「やめよう」と思うはず。世論に敏感な小池都知事にしては、適切な振る舞いではないと疑った。どうしたのだろうか。

▲写真 小池都知事記者会見 出典:東京都Facebook

■ 実際の会見はかなり丁寧な言葉遣い!

そこで、当該の会見の映像を見てみた。そうすると、「都市が封鎖、ロックダウン」と補足説明、言い換えたりしている。つまり、丁寧に説明しているのだ。

ニュースで切り取られる中で、そうした報道が流れ、言葉を聞いた人が反発するという構図だったのだ。個人的にも今回は大いに反省した。

とはいえ、メディアの方を批判するのはかわいそうだ。小池都知事の記者会見の文字をそのまま伝えるには尺がない、つまり時間が限られている。なかなか難しい。

会見を見ればしっかりとした言葉で、丁寧に語っている。「いわゆるロックダウン」と強調することで世界の状況を意識させる効果があったのだろうと思う。今回の会見を見ても、会見はいつもわかりやすい。

東京五輪が延期になることが先ほど明らかになった。延期に向けた対応も大変なことになるだろう。新型コロナ対策もさらに頑張ってほしいものだ。そして、都民との丁寧なコミュニケーションを図ってもらいたい。いかに行動を規制してもらうか、が問われるからだ。

最後に。発言の一部を切り取ってネタにしたり、脊髄反射のように感情的に批判するのは、もうやめにしよう。

トップ写真:小池都知事記者会見 出典:東京都Facebook


この記事を書いた人
西村健人材育成コンサルタント/未来学者

NPO法人日本公共利益研究所(JIPII:ジピー)代表、ターンアラウンド研究所共同代表・人財育成コンサルタント、事業創造大学院大学国際公共政策研究所研究員・ディレクターなど。


慶應義塾大学院修了後、アクセンチュア株式会社入社。その後、株式会社日本能率協会コンサルティング(JMAC)にて地方自治体の行財政改革、行政評価や人事評価の導入・運用、業務改善を支援。独立後、組織改革、人材育成コンサルティング、政策分析、メディア企画、ソーシャル・イノベーション活動を進めている。


専門は、公共政策と社会心理。近年は、中国の先端技術、世界のスマートシティ、人工知能などテクノロジーと社会への影響、個人情報保護と民主主義の在り方、企業の利益相反、健康医療・福祉政策などをテーマに研究や執筆を進めている。

西村健

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