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.政治  投稿日:2020/7/11

「『相手の元を絶つ』装備が必要」小野寺五典衆議院議員


細川珠生(政治ジャーナリスト)

「細川珠生モーニングトーク」2020年6月27日放送

Japan In-depth 編集部(石田桃子)

【まとめ】

・イージス・アショア配備計画停止、防衛省は地元に対し不誠実。

・「24時間365日対応」の防衛装備、「相手の元を絶つ」装備が必要。

・「相手の元を絶つ」能力保持について、まず与党で議論を詰め、政府を後押しする。

 

今回のテーマは、日本の安全保障体制。衆議院議員の小野寺五典氏(元防衛大臣、現自民党安全保障調査会会長)をゲストに迎え、政治ジャーナリストの細川珠生が話を聞いた。

 

■ イージス・アショア配備計画の停止

細川氏はまず、新型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」配備計画の停止に関する河野太郎防衛大臣の発表をとりあげ、小野寺氏の考えを聞いた。

河野防衛大臣は今月15日、ブースターの落下位置を制御することが困難との問題を明らかにし、計画停止を表明した。迎撃ミサイルは、発射時に推進補助装置「ブースター」を切り離す。防衛省は配備候補地に対して、ブースターが演習場内部に安全に落下するよう制御すると説明していた。しかし、約束を実現することが困難だと明らかになり、配備計画の停止を決定した。

小野寺氏はイージス・アショア配備計画の停止について「ぜひ必要な装備だと思っていた」「大変残念だ」と述べた。その理由として、イージス・システムが最も先進的なミサイル迎撃システムであること、イージス・アショアがイージス艦の欠点を補うことを挙げた。イージス艦の欠点とは、あらゆる安全保障問題に24時間365日対応することが、大隻数の導入や修理・補給の必要から困難であることだ。小野寺氏は、「どういう形で24時間365日対応するかという代替案を政府はしっかり出してほしいとお願いしている」と述べた。

小野寺氏はさらに、「今回の説明の仕方は防衛省として大変不誠実だと思う」と述べた。「自分たちが今まで地元に説明した仕方が不誠実だったということをすり替えて、あたかも装備自体に不具合があるようなことを言って説明している」と述べ、防衛省の対応を批判した。小野寺氏は、日米で共同開発したイージス・システムに対する不信が日米同盟に影響することや、日本国民がイージス・アショアを用いた現在の安全保障政策に不安感を抱くことに懸念を示した。

 

■ 安全保障政策の見直し

政府は、「国家安全保障戦略」の改定など安全保障政策の見直しを検討している。「国家安全保障戦略」は外交・防衛政策など国家安全保障の基本方針を定めたもので、2013年に策定された。小野寺氏は防衛大臣として携わった。策定から約10年後の評価・改定を想定していたが、その時期を早めることになる。細川氏は、イージス・アショア配備計画停止に始まる議論について、小野寺氏に見通しを聞いた。

小野寺氏は、「まだ政府は何もこのことについて言及はしていない」と断った上で、「相手の元を絶つ」装備の導入を政策的に議論すべきとの考えを示した。「ここまでミサイル能力が上がってくると、議論しておかないと国民を守れないという心配を強く持っている」と話した。

小野寺氏はまず、現状のイージス・システムの限界を示した。一つ目は、弾道ミサイル技術と迎撃ミサイル技術との開発競争がいたちごっこで「大変な労力とお金がかかる」こと。二つ目は、弾道ミサイルを連続で打ち込まれた場合に持ちこたえられないことだ。

さらに、座して死を待つことは憲法の趣旨ではないと説明し、「憲法の制約はなく、あとは政策的にそのような考え方を取るかどうかだ」と述べた。

細川氏は、朝鮮半島情勢や米中関係の先行きが不透明な中で、日本と周辺国との二国間関係についてどのように考えるべきか、小野寺氏に聞いた。

小野寺氏は、北朝鮮の挑発行動、中国の尖閣諸島など日本沿岸での行動、ロシアの北方領土周辺での行動に言及し、「日本が何もしなくても周りの国はどんどん能力を高めてきている」と述べた。一方で、近しい関係にあるアメリカ、イギリス、オーストラリアなどの国々は現在、新型コロナウイルスによる経済的打撃を受けて、外に目を向ける余裕がないという。「今だからこそ、日本が独自にしっかり自分の国を守るということを強く意識しておかないと。頼るだけではだめだと思う」と述べた。

小野寺氏は、安全保障について議論する必要を述べ、宇宙・サイバー・電磁波といった領域の防衛について言及した。その上で、弾道ミサイル対策として「相手の元を絶つ」装備について議論することは「専守防衛のためにも必要」と再度強調した。

細川氏は国会での議論について、議員の姿勢など具体的な状況を聞いた。

小野寺氏は、「今まで政府は一貫して、そのような能力はアメリカに頼るという言い方をしているので、国会で議論になったとしてもかみ合わない」と指摘した。まず必要なのは、与党と野党との議論や政府と野党との議論ではなく、与党内で議論を詰め、国民の理解が得られると確信する段階まで至ることだという。小野寺氏は、「国会で議論になったときには私ども(与党)も野党や国民の皆さんに説明をする責任を負うから一緒にやっていこう、そういう後押しが必要なんだと思う」と述べた。

細川氏は最後に、「本当の危機は突然やってきて、その時に体制がないというのは1番困ったことになる」と述べた。パンデミックの危機に注目が集まる中、安全保障は「一番の根本的な危機管理」であるとして、その進展に期待感を示した。

(この記事はラジオ日本「細川珠生のモーニングトーク」2020年6月27日放送の要約です)

 

「細川珠生のモーニングトーク」

ラジオ日本 毎週土曜日午前7時05分~7時20分

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トップ写真:©小野寺五典事務所


この記事を書いた人
細川珠生政治ジャーナリスト

1991年聖心女子大学卒。米・ペパーダイン大学政治学部留学。1995年「娘のいいぶん~ガンコ親父にうまく育てられる法」で第15回日本文芸大賞女流文学新人賞受賞。「細川珠生のモーニングトーク」(ラジオ日本、毎土7時5分)は現在放送20年目。2004年~2011年まで品川区教育委員。文部科学省、国土交通省、警察庁等の審議会等委員を歴任。星槎大学非常勤講師(現代政治論)。著書「自治体の挑戦」他多数。日本舞踊岩井流師範。熊本藩主・細川家の末裔。カトリック信者で洗礼名はガラシャ。政治評論家・故・細川隆一郎は父、故・細川隆元は大叔父。

細川珠生

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