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.経済  投稿日:2020/8/17

マイナポイント9月1日から


安倍宏行(Japan In-depth編集長・ジャーナリスト)

【まとめ】

・「マイナポイント」9月1日スタート。

・上限5000円貰うには「マイナンバーカード」が必要。

・景気対策と「マイナンバーカード」普及策は分けて考えるべき。

 

マイナポイント」事業をご存じだろうか?おそらく知らない人の方が多いだろう。

どんなものかというと、「マイナンバーカード」を使って予約・申込を行い、選んだキャッシュレス決済サービスでチャージやお買い物をすると、上限5000円として利用金額の25%分のポイントがもらえるサービスのことをいう。9月1日から始まる。キャッシュレス決済とは○○Payや交通系電子マネー、クレジットカードのことだ。

政府は去年10月の消費税増税の影響を抑える為、今年の6月末まで9か月間、期間限定で、「キャッシュレス・ポイント還元事業」を行った。街のあちこちにこのステッカーが溢れていたのを覚えているだろう。なぜ、6月末までの9か月などという中途半端な期間にこのキャンペーンをやったのかというと、もともと7月に開催が予定されてた東京2020オリンピック・パラリンピックまでと決めたからだと思われる。実際は新型コロナの影響でオリパラは延期になってしまったのだが。

▲写真 キャッシュレス・ポイント還元事業のポスターのキャンペーンで街に出る世耕経産相(東京都中野区高円寺)出典:経済産業省

政府の当初の思惑は、「オリパラで訪日外国人旅行者も一時的に増えるし、7月、8月は国内消費が喚起されるだろう、しかし問題は9月以降だ」というわけで、「マイナポイント」事業が考えられた。

しかし、これが曲者だ。そもそも「マイナポイント」を手に入れるには、「マイナンバーカード」を入手しなくてはならない。しかし、現時点でその普及率は17.5%にとどまってる。(2020年7月1日現在)国民5人に1人も持っていないのだ。

「マイナポイント」事業は、景気下支えと共に、「マイナンバーカード」普及も狙っている。二兎を追っているわけだ。しかし、上限5000円のポイントをもらうために何人がわざわざ「マイナンバーカード」を作るだろうか?

「キャッシュレス・ポイント還元事業」も、景気下支えが全面に出ていたが、その実、キャッシュレス決済を増やしたい政府の思惑があったのは間違いない。ここでも二兎を追ったが、結果は中途半端に終わっている。

「マイナポイント」に至っては、「マイナンバーカード」を持っていないと5000円分のポイントを得ることが出来ない。極めて不公平な制度だ。

その上、「マイナンバーカード」を新たに入手しようとしてもその手続きは簡単ではない。総務省のHPで「マイナンバーカードの取得方法」を見てもらいたい。まずは自宅にある、紙の「マイナンバー通知カード」が必要だ。

▲図)マイナンバー通知カードとマイナンバーカード交付申請書(赤の破線で囲われた部分)出典)総務省

申請方法は4種類。スマホからと、Webから。それに、まちなか証明用写真機でもできる。最後が郵送だ。インターネットが苦手な人はまちなか証明用写真機か郵送で申請することになるだろう。

そしてどの方法でも、申請から発行まで結構時間がかかることを覚悟せねばならない。1ヶ月程度かかるという話もある。果たしてどれだけの人が「マイナンバーカード」申請に挑戦するだろうか?

▲写真 まちなか証明用写真機 出典)株式会社DNPフォトイメージングジャパン

やはり、景気下支え策は、景気下支え策としてきちんとやってもらいたい。新型コロナ感染症でビジネスが風前の灯火の業界は多い。消費税率下げの議論が出てこないのは不可思議としか言いようがない。そのほうがよほど即効性があるだろう。

「マイナンバーカード」を普及させたいなら、国民にしっかりとカードを保有するメリットを知らしめることが先決だ。ポイントを上げるからカードを申請しろ、といっても、どれだけの人が5000円欲しさに申請するだろうか?

「マイナンバーカード」を申請しない人はそもそも「個人情報をお上に知られたくない」という人がかなりの数いると思う。(実際、筆者の周りにそういう意見を持っている人は結構いる)そうした懸念を払拭するくらいのメリットがなければ、くだんの人たちは納得しないはずだ。

個人的には、国が個人の所得を正確に把握し、公平な課税を実現するために「マイナンバーカード」の普及は必要だと思う。今回の「特別定額給付金」の支払いが迅速に行うことが出来なかったのも、「マイナンバー」と各自治体の「住民基本台帳」が紐づいてなかったからだ。

ちなみに、「マイナンバーカード」が晴れて手元に届いたとして、「マイナポイント」の予約は容易ではない。まず、「マイナンバーカード」を手元に置き、「数字4桁のパスワード(暗証番号)」(マイナンバーカード申請時に登録するもの)と、「決済サービスID/セキュリティコード」(決済サービスによってはマイナポイントの申込みにあたって事前登録が必要な場合がある)が必要だ。といわれても何のことやらわからないかもしれない。詳細は総務省の「マイナポイントの予約・申込に必要なもの」をご覧いただきたい。

▲図)マイナンバーカード(見本) 出典)総務省

行政のデジタル化=効率化が進むと同時に、国民にとっても利便性が図られる事が重要だ。来年には「マイナンバーカード」は保険証として使えるようになるという。これも国民に周知されているとはとても言えない。

景気対策は景気対策、「マイナンバーカード」普及事業は「マイナンバーカード」普及事業、ときっちり分けて行うことが望ましい。二兎を追うものは一兎をも得ず。古来、そう言われている。

参考記事:「面倒、10円給付スマホ申請

 

トップ写真:マイナポイントHP  出典:総務省


この記事を書いた人
安倍宏行ジャーナリスト/元・フジテレビ報道局 解説委員

1955年東京生まれ。ジャーナリスト、産業能率大学客員教授。慶応義塾大学経済学部、国際大学大学院卒。


1979年日産自動車入社。海外輸出・事業計画等。


1992年フジテレビ入社。総理官邸等政治経済キャップ、NY支局長、経済部長、ニュースジャパンキャスター、解説委員、BSフジプライムニュース解説キャスター。


2013年ウェブメディア“Japan in-depth”創刊。危機管理コンサルタント、ブランディングコンサルタント。

安倍宏行

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