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.政治  投稿日:2020/9/3

「消費税減税、安全保障を打ち出す」国民民主党代表 玉木雄一郎衆議院議員


細川珠生(政治ジャーナリスト)

「細川珠生モーニングトーク」2020年8月29日放送

Japan In-depth編集部(髙橋十詠)

【まとめ】

・党はセカンドベストとして、円満に分党する方針に決定。

・野党集結の意味を、国民目線で明確に示す必要あり。

・安全保障対策は、グレーゾーンへの対策及び他国との連携強化が鍵。

 

国民民主党の分党が今注目を浴びている。今週は衆議院議員で国民民主党代表の玉木雄一郎をゲストとして迎え、政治ジャーナリストの細川珠生が話を聞いた。

まず、細川氏は昨年から始まった立憲民主党との合流協議について、最終的に党全体が合流しなかった理由を聞いた。

玉木氏によると、8月11日に開催された役員会では、合流について反対意見の方が多く(6対3)、交渉決裂寸前だったという。

しかし、「選挙のことを考えるとできるだけ大きくまとまっていた方が良い。どんな条件でもいいから合流したい」と考える人が衆議院側に多かった、と玉木氏は述べると共に、「今の条件と自分の政策や理念が合わず、どうしても合流できないという人も多かった」と述べ、党内で意見が分かれたことを明らかにした。

加えて玉木氏は、合流できる人とできない人の、それぞれの道を用意すべく「友好的かつ円満に分党して、それぞれの道に進めるセカンドべストである方針を役員会を経て、8月19日の両院総会で決定した」と、経緯を説明した。

細川氏は、候補者調整で、既に立憲民主党の候補と競合しているかどうかが、合流するか残留するかの判断基準になったのか聞いた。それに対し玉木氏は、「地域や、選挙区事情は判断の中では非常に大きい」と答えた。

次に細川氏は、役員会で反対意見が多かったにも関わらず、合流する人が非常に多い理由を聞いた。

玉木氏は、「衆議院は選挙も近く、また小選挙区制度なので、どうしても1対1の構造に持っていった方が有利に働く面がある」と述べ、選挙区事情から合流することを選ぶ議員が多い事は当然との考えを示した。

また、「現在大体40人が衆議院で参議院は22人。衆議院議員に合流に賛成な人が相対的には多かった」と述べ、結果として合流組の人数が多くなった背景を説明した。

細川氏はそれを受け、「対立軸をはっきりさせ、大きな塊で与党に対して選挙を行った方が戦いやすいし、自分たちも良いだろうと言う判断をした人たちが多かったということなのだろう」

と述べた。

次に細川氏は、立憲民主党の枝野幸男代表が党首会談を拒否をした理由について聞いた。

玉木氏はこれに関し、「代表会談に応じると、消費税減税など新たな条件や要求を出されたら困るということがあったのかもしれない」と述べた。

しかし玉木氏は、「永田町目線ではなく国民目線が大切だ。(野党が)大きくなることが、国民にとって一体どのような意味があるのか明確に示さない限り、期待もなかなか盛り上がらない」と述べ、政策の軸を曖昧にしたままの合流を批判した。

政策の具体的内容を細川氏が聞くと、玉木氏は、「大きな課題であるコロナ対策として、何をどうするのか。特に、経済対策として何を打ち出していくのかということに国民は一番関心がある」と述べ、追加の経済対策の必要性を強調した。

また、「ドイツも英国も、付加価値税の減税にまで踏み込んだ。低迷する経済及び需要を喚起するには、時限を区切ってもいいので、消費税減税を野党の統一政策として出せれば、新党に対する国民の期待が生まれるのではないか」と述べた。

細川氏は、「国民に関わる問題について政策をきちんと出すことで、野党が結集する事の大義を見せることができる」と述べた。

玉木氏は同意した上で、「大事なことは、過去の違いよりも未来の一致点をしっかりと見定め、それを国民に示すことが不可欠だ」と述べ、公式の党首会談で未だに一度も協議が開催されず今日まで来ていることは残念だとの考えを示した。

さらに細川氏は、国民民主党の対中政策を含む外交政策について聞いた。

玉木氏は「現実的な安全保障政策を出していかなければ、国民は安心できない」と述べた。

具体的な例として、尖閣周辺に武装した中国漁船が大量に押し寄せるケースを上げ、「必ずしも軍が武力攻撃を仕掛けているものではないので自衛隊は出動できず、海上保安庁や沖縄県警が警察権の行使の範囲で対処しなければならず、事実上相手に制圧されてしまう可能性がある」と述べ、現状の日本の尖閣諸島防衛の法整備に懸念を示した。

▲写真 ⒸJapan In-depth編集部

さらに、「警察権だけで対応できない部分をどうするのか、法的な基盤や対応が抜け落ちているので、具体的な対案をしっかり示していく」と玉木氏は述べ、安全保障法制の改正に積極的に取り組む姿勢を強調した。

次に細川氏が、米中の対立が厳しくなっている中での日本外交のあり方について聞くと玉木氏は、「安全保障は米国、経済は中国と、日本は両国とうまくやっていかなければいけない。どう中国の拡大に対応していくのか戦略を考える必要がある」と玉木氏は述べた。

具体的には、「中国周辺のASEAN諸国や、インド、オーストラリア、ニュージーランド、シンガポール、といった国々の経済及び安全保障での連携をよりいっそう強化していくことが大事だ」との考えを示した。

最後に細川氏は、今後の国会運営や選挙戦略、また他党との連携について聞いた。

玉木氏は、「色々なところと組まないと法案提出はできない。政策が合うなど、連携できるところとは、幅広くしっかり連携をしていきたい」と述べた。

(この記事はラジオ日本「細川珠生のモーニングトーク」2020年8月29日放送の要約です)

 

「細川珠生のモーニングトーク」

ラジオ日本 毎週土曜日午前7時05分~7時20分

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トップ写真:ⒸJapan In-depth編集長


この記事を書いた人
細川珠生政治ジャーナリスト

1991年聖心女子大学卒。米・ペパーダイン大学政治学部留学。1995年「娘のいいぶん~ガンコ親父にうまく育てられる法」で第15回日本文芸大賞女流文学新人賞受賞。「細川珠生のモーニングトーク」(ラジオ日本、毎土7時5分)は現在放送20年目。2004年~2011年まで品川区教育委員。文部科学省、国土交通省、警察庁等の審議会等委員を歴任。星槎大学非常勤講師(現代政治論)。著書「自治体の挑戦」他多数。日本舞踊岩井流師範。熊本藩主・細川家の末裔。カトリック信者で洗礼名はガラシャ。政治評論家・故・細川隆一郎は父、故・細川隆元は大叔父。

細川珠生

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