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.政治  投稿日:2021/9/26

岸田文雄候補人間力分析 自民党総裁選 その1


西村健(NPO法人日本公共利益研究所代表)

【まとめ】

自民党総裁選「人間力・候補者分析」、第1回目は岸田文雄候補。

人間性について批判はほぼ聞ないが、「優柔不断」「戦わない男」とも。

・協調型リーダーを新たな時代が求めているのかもしれない。

 

自民党総裁選の季節が来た。毎回恒例の「人間力分析」「候補者分析」を行っていく。第1回目は岸田文雄さん。昨年も行ったが、改めて前回の分析を見ると、菅さんの記述など、取材が不足していたと反省している。

さて、岸田文雄さんの「人間力」。まずは、軽くプロフを。外務大臣、防衛大臣を歴任した「大物」政治家、自民党政調会長を務める広島1区(広島市中区・東区・南区)選出の衆議院議員である。

最近は「戦う政治家に豹変」「確変した」「一皮むけた」との声もある。岸田さん(筆者の高校の先輩なので)を「公平に」分析していきたい。

 岸田さんのエリート?キャリア

1957年7月29日生まれの63歳。広島市出身。血液型AB型。父親は政治家の岸田文武さん、祖父は岸田正記さんの政治家3世。父親は通産官僚出身。小学校1年~3年生までNYの小学校(現地校)に通い、千代田区立永田町小学校、千代田区立麹町中学校を経て、私立開成高等学校に入学・卒業。高校時代は野球部で熱心に活動していて、1年からレギュラー。セカンドがポジション。広島カープ好きというのもわかる。

2年の浪人生活を経て、早稲田大学法学部に入学・卒業。東大に3回挑戦して失敗したことに対してかなりの挫折感を持っている。1982年に、日本長期信用銀行に入行し、87年まで勤務。1993年に出馬し初当選。以降8回の連続当選を誇る。

■ チームプレーを重視する良き常識人

全般的に「良き常識人」と評価を受けている。人間性については悪い批判をほぼ聞かない。一方、「優柔不断」「話がつまらない」「戦わない男」ともいわれてしまっていた。中島岳志東工大教授は「当たり障りのないことを言う天才」と評価するほどだ。

より深いところでは、同級生や後輩からは「愚痴を言わない」「敵を作らない」とリスペクトをされている。高校野球部の最後の夏、東京都の予選において、岸田さんのトンネルで負けにつながるエラーをしたそうだが、周りのチームメートは誰も岸田さんに不満をいわなかったそう。

同僚の政治家からも「真面目で、人を裏切らない。我田引水もせず、公正中立。外相としてオバマ米大統領の広島訪問を実現させるなど、手柄は多いのに自分からアピールしない」(読売新聞より)と言われたり、他の政治家からもそう言われている。

穏やかな人柄、まじめな人間性、優しい性格は著作、「岸田ビジョンー分断から協調へ」にも書かれているが、白人から差別を受けたり、挫折から人の痛みを知った経験がうかがえる。他人の協力の重要性を理解していて、そのためには「聞くこと」の重要性を明らかにもしている。大学時代に、友達だった岩屋毅衆議院議員のアクティブな行動力にあこがれを持っていたことを語るなど、等身大で率直な面も魅力であろう。

■ 声診断で分析してみると強い信念や軸を持っている

今回、人間力分析ではおなじみの日本声診断協会代表でターンアラウンド研究所のコンサルタントの中島由美子氏に声診断をしてもらった。小栗旬などの声診断で話題の中島さんが、岸田さんの声を分析すると

リーダーとして強い信念や軸を持っている」、「いわゆる話すこと、答弁や、わかりやすく物事を伝えるスポークスマン的な能力がとても高い」、「真面目さや周りと合わせていく協調性などもあり、信念もありながらこのような面も持ち合わせていらっしゃるのでとてもバランスが良い」というのは前回の声診断結果である。

今回、新たに深堀をしてもらった。それによると、

「これまでの古き良き伝統を持続していく力が長けています。情を重んじ、秩序や礼節に則って安定した政治運営をする才能があります

「過去の延長戦上にしか物事を見出すことができない。前例のない新しいことに対応することが苦手。変化変革に時代には不向きだと思います」

まさに納得してしまう。

課題はどうか。

「新しい時代の空気を読み、無から有を生み出す力が加わると、更に今の時代に答えられる首相になれることと思います」とのこと。より実務的な課題は「当たり障りのない綺麗な言葉で伝えるより、本当の自分の言葉で伝えていくことで多くの人に影響力を与えていくことが出来ると思います」とのこと。

▲図 【出典】中島由美子氏による声診断結果

これらの課題は周りの力を借りることで補えるだろうし、「努力の人」なら克服していけるだろう。

▲写真 岸田文雄候補(2021年9月13日) ⒸJapan In-depth編集部

■ 日本社会のための新たな「人間性・傾聴リーダーシップ」

岸田BOX、インスタグラムなど、ここにきて発信をしっかりやっていて、対話についてもとっても丁寧にやっている。そこでの話しぶりは力強さを垣間見せている。

最後に、後輩だからこそ、厳しい意見を指摘しておきたい。実は、この1年間、数回ほど岸田事務所に取材依頼など連絡差し上げた。

しかし、全くの無反応であった。

一方、石破さん、枝野さん、さらに、まったく接点のない政治家からも何かしらの反応があった(石破さんは直接インタビューもさせていただいた)。相手の話をじっくり聴くスタイルということだが、相手をみてコミュニケーションをとる相手を選んでいるのかもしれない。そのため、国民の声を聴いてくれるかについては疑義が残るのである。後輩とはいえ、よくわからない相手は相手にしないということだろうか。

ただし、「バランスが大切。謙虚さを忘れた権力は独裁になる」との発言が示すように、謙虚なリーダーという新たなリーダー像を岸田さんが提示してくれるかもしれない。まわりと協調するいい人・協調型リーダーというのも新たな時代が求めているのかもしれない。岸田さんに期待したい。

(続く)

トップ写真:岸田文雄自民党前政調会長(2021年9月24日) 出典:Twitter  @kishida230




この記事を書いた人
西村健人材育成コンサルタント/未来学者

NPO法人日本公共利益研究所(JIPII:ジピー)代表、ターンアラウンド研究所共同代表・人財育成コンサルタント、事業創造大学院大学国際公共政策研究所研究員・ディレクターなど。


慶應義塾大学院修了後、アクセンチュア株式会社入社。その後、株式会社日本能率協会コンサルティング(JMAC)にて地方自治体の行財政改革、行政評価や人事評価の導入・運用、業務改善を支援。独立後、組織改革、人材育成コンサルティング、政策分析、メディア企画、ソーシャル・イノベーション活動を進めている。


専門は、公共政策と社会心理。近年は、中国の先端技術、世界のスマートシティ、人工知能などテクノロジーと社会への影響、個人情報保護と民主主義の在り方、企業の利益相反、健康医療・福祉政策などをテーマに研究や執筆を進めている。

西村健

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