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.政治  投稿日:2024/8/20

【岸田首相の評価】火の玉にはなれなかったが、経済で多大な成果は残した!【日本経済をターンアラウンドする!】その26


西村健(NPO法人日本公共利益研究所代表)

【まとめ】

・岸田政権は賃上げを成功させ、経済の好循環を生み出した。

・所得税・住民税の減税や物価高対策で国民生活を支援。

・政治改革は今一歩だったが、経済政策で歴史的に評価されるだろう。

 

岸田総理が自民党総裁選への出馬を断念。結果、総理としても辞任することになった。世論に正しく理解されなかったのは惜しかったなあと個人的には強く思っている。本連載でも「キシダノミクス」と提唱するなど筆者は、1つの政策を除いて全般的に岸田政権を評価してきた。

経済での業績を正しく理解しているのかという問題意識から「みんな知らない 骨太すぎる「キシダノミクスと「3本の矢」【日本経済をターンアラウンドする!】その8」という記事をこの連載で執筆したほどだ。「新しい資本主義」を掲げ、失われた30年を挽回する日本経済のターンアラウンドに向けた施策を打ってきた岸田政権。その実績を振り返っていきたい。

◆ 賃上げを成功させ、まっとうな経済政策

▲氷 【出典】「毎月勤労統計調査 令和6年6月分結果速報」時系列第6表 実質賃金指数 (参考:首相官邸「物価高を上回る所得増へ」)

7月6日に公表された6月の毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上)では、1人当たり実質賃金は27カ月ぶりのプラス。ついに!だ。そう、岸田政権は、失われた30年を挽回する、日本経済再生に向けた旗を振っていたところに結果があらわるはじめるところであった。この失われた30年、問題は「賃上げ」であった。賃上げ圧力が弱いため、しかも金利が低く、デフレ経済が続いたため、

・生活者の生活は苦しい

・購買力が上がらない

・企業は利潤をためこむ

・ゾンビ企業が温存される

という日本経済にとって最悪の状況が続いてきた。ここで賃上げをし、金利を上げる経済の正常のサイクルに戻した、好循環を生み出したところは岸田政権の業績だろう。

▲図 【出典】首相官邸HP

◆知られてない経済政策の成功

アベノミクスの経済政策は株高、企業収益・業績は好調、円安で輸出企業が最高益、失業率低いまま、雇用は守られたという一定の成果はあったが、問題点も多い。

・賃金が上がらなかった・実質賃金の低下

一人当たり労働生産性は、78,655ドル。OECD加盟38カ国中28位

・生産性革命も生産性は伸びず

・異次元の金融緩和もインフレは目標達成できず

・金持ちの試算が増えた・ミリオネアー(億万長者)

・貯蓄ゼロ世帯の増加

などなどである。

これに対して適切な経済政策をとった岸田政権は、ある意味、アベノミクスのしりぬぐいを貫徹させたといっても過言ではない。特に、所得税・住民税の定額減税である。1人当たり所得税3万円と住民税1万円、合計年間4万円を納税額から減税して、可処分所得を下支えするという近年では聞いたことのない「減税」をそのリーダーシップで成し遂げた。物価高対策としては、ガソリン価格を平均175円程度に抑えるための補助金、電気・ガス料金の負担軽減措置も延長した。物価高騰に苦しむ多くの国民のために、一肌脱いだと思っている。

◆ 政治改革は今一歩

統一教会、政治資金問題はほぼほぼ安倍派の問題であった。ある意味、これも安倍政権のしりぬぐいであった。「火の玉になって」政治改革を進めると言ったものの、性格がよい岸田さんは周りに配慮しすぎた感じだ。裏金議員は基本処分して、自民党再生のため、過去の政権党としての約束と責任を守るというメッセージを打ち出し、「企業献金廃止」まで実行することができたはずだった。そのあたり、周りに配慮せず進めたらよかったのに・・・ととても残念だ。裏金議員にも優しかったわけで、今回の自民党党総裁選で自分が総裁になっても、多くの仲間が来る総選挙で落ちかねないという点から身を引いた、そこが「チームワーク」の岸田さんらしいとことだ。

威勢のいいことは言うが、周りのお膳立てで、中身は空虚な安倍政権とは大きく違った、その実績。ある意味、日本経済の転換点の一歩を示しただろう。そこは歴史が評価してくれるだろう。その意味で、岸田首相、大変お疲れさまでした。

トップ写真:千鳥ヶ淵戦没者墓苑を参拝する岸田総理(2024年8月15日)出典:首相官邸




この記事を書いた人
西村健人材育成コンサルタント/未来学者

経営コンサルタント/政策アナリスト/社会起業家


NPO法人日本公共利益研究所(JIPII:ジピー)代表、株式会社ターンアラウンド研究所代表取締役社長。


慶應義塾大学院修了後、アクセンチュア株式会社入社。その後、株式会社日本能率協会コンサルティング(JMAC)にて地方自治体の行財政改革、行政評価や人事評価の導入・運用、業務改善を支援。独立後、企業の組織改革、人的資本、人事評価、SDGs、新規事業企画の支援を進めている。


専門は、公共政策、人事評価やリーダーシップ、SDGs。

西村健

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