立憲民主党代表選【政策・人間力分析】その1 西村智奈美さん
西村健(NPO法人日本公共利益研究所代表)
【まとめ】
・政策スタンスで、外交はリベラル色強く、社会的格差是正を重視。
・女性ならではの共感力がある。軸を強く持ち続ける強さが勝負となる。
・新たな時代の女性政治家像を感じる。
立憲民主党の代表選が行われている。政党助成金を68億円も得ている政党なので、しっかり見ていきたいものだ。自民党の総裁選の分析をあれだけやったのに、分析をやらないのは不公平でもあると考えるのが理由だ。第一回目は西村智奈美さんから。
■ 理念にあらわれる行動力
「理不尽を許さない社会」を目指す西村智奈美さん。悲しいことに、ほとんどの人が誰?という状況。正直のところ私は同性なので名前は知っていたが、詳しくは知らなかった。せっかくなので詳細に紹介していこう。
1967年1月13日、新潟県吉田町(現、燕市)生まれ。米農家の出身。米納津小学校(現在は廃校・統合)、吉田町立吉田中学校、新潟県立三条高等学校、そして新潟大学法学部卒業。大学時代は国際関係を専門としていて、奨学金の学生ローンを受けながら卒業したそう。弓道部の主将を務めた。新潟大学大学院法学研究科修士課程を修了。タイやイギリスに留学していた。その後、大学の非常勤講師をしながら過ごしていた。自ら創設したNVC新潟国際ボランティアセンター事務局長などを務めた。タイ語、英語など語学を得意とする。
民主党に入党し、新潟県議を経て、衆議院議員に。議員になった理由は「なんでこうなんだろう?という疑問と不平不満があった」とのこと。その時、タイミングよく、「新潟の県議会議員に出ませんか」というオファーがあったそう。そのとき県議会には女性がいなかったこともあったそう。
議員になってからは、厚生労働副大臣、外務大臣政務官などを歴任している。当選は6回。
「地道に」というキーワードが本人からも聞かれるように、地道な活動が評価されているようだ。政治家になった時もだが、他人から声がかかるということはよほど信頼されていると言える。40歳で結婚し、長年、不妊治療をするなど、苦労をされていても、活動を頑張っていたこともあるのだろう。
■リベラルな政策
政策スタンスを見てみよう。選挙前の東大・朝日新聞の調査結果を見てみると、
国際関係論の専門家ということもあり、外交で見ると
・日本にとって中国は脅威というよりパートナー
・沖縄県の普天間基地の辺野古移設反対
・憲法改正にどちらかというと賛成
といったところでリベラル色が強い。
経済的には
・小さな政府に反対
・資産家や法人への税引き上げにどちらかというと賛成
・社会的格差是正を経済競争力よりどちらかというと重視
討論会では「原発ゼロ社会を目指す」と明言していた。
■ 声診断でみる西村さん
さて人間力分析はいつもの声診断。一般社団法人診断協会、株式会社ターンアラウンド研究所のコンサルタントの中島由美子氏に今回も登場いただいた。
声診断結果では、「女性ならではの共感力で、きめ細かいところにも行き届かせる才能があります」とのこと。「社会の中での弱きものにも救いの手を差し出すことができます」というその信念にも近い行動力の源泉を中島さんは指摘します。
課題はというと「さまざまな課題が山積する社会の中で、軸を強く持ち続ける強さが勝負となります」とのことです。
▲図 【出典】中島由美子氏
■女性政治家の代表になるように頑張ってほしい
西村さんの活動履歴を見ていると、熱心に学び、行動し、問題意識をもって政治家として「地道に」活動していることがわかる。海外に留学し、団体を立ち上げ、運営することなどよほどの意思があってだろう。
自分が!自分が!という強さよりも落ち着きと謙虚さが目立つ。夫の失言に対する嘆願書などで批判を受けたが、家族を守りたいというのは当然のことであろう。
失礼ながら、蓮舫さん、辻本さんとはタイプが違い、冷静な語り口と知性や国際性、市民活動での経歴を見ていても、「新たな時代の女性政治家像」のようなものを感じずにはいられない。西村さんに期待したい。
トップ写真:【出典】西村ちなみチャレンジサイトより
あわせて読みたい
この記事を書いた人
西村健人材育成コンサルタント/未来学者
経営コンサルタント/政策アナリスト/社会起業家
NPO法人日本公共利益研究所(JIPII:ジピー)代表、株式会社ターンアラウンド研究所代表取締役社長。
慶應義塾大学院修了後、アクセンチュア株式会社入社。その後、株式会社日本能率協会コンサルティング(JMAC)にて地方自治体の行財政改革、行政評価や人事評価の導入・運用、業務改善を支援。独立後、企業の組織改革、人的資本、人事評価、SDGs、新規事業企画の支援を進めている。
専門は、公共政策、人事評価やリーダーシップ、SDGs。