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.国際  投稿日:2023/10/15

ハマス・イスラエル紛争 NYにも飛び火


柏原雅弘(ニューヨーク在住フリービデオグラファー)

【まとめ】

・米でパレスチナ系住民、イスラエル支持のユダヤ系住民の間で非難の応酬続く。

・パレスチナ側の抗議集会がタイムズスクエアで発生、イスラエル側と一触即発。

・世界中のきっと誰もが、もう争いはやめて欲しい、と願っている。

 

10月13日の時点で書いている。

ハマスによるイスラエルへのミサイル攻撃に端を発した今回の出来事は、ニューヨークへも飛び火、国連本部近くのイスラエル総領事館前、多くの人が集まるタイムズスクエアなどでは毎日にようにデモが発生、アメリカのパレスチナ系住民、イスラエルを支持するユダヤ系住民などの間で激しい互いの非難の応酬が続いている。

イスラエルによるパレスチナの住民への「24時間以内の避難通告」からすでに24時間以上が経過した。

地上部隊のガザへの侵攻の緊張が高まる中、ニューヨークでは今までで一番大規模なパレスチナ側のデモ・抗議集会がタイムズスクエアで発生した。

この日、現場近くの地下鉄の駅から地上に出てみて驚いた。

この日のデモに合わせたのか、タイムズスクエア名物の巨大LEDディスプレーにイスラエルの国旗とアメリカの国旗が表示されていた。一企業の広告ディスプレーであるが、宣伝になるような文言はいっさい流れず、全画面で国旗がディスプレーされ、ずっと同じ画面のままだ。

写真)タイムズスクエアに表示されたイスラエルの国旗と星条旗(2023年10月13日)ニューヨーク

筆者提供)

日本だったらこれほどあからさまなことは出来まい。アメリカはイスラエル寄りとは言われているが世論を二分するような話に、一企業が、ここまではっきりと態度を表明するのはさすがアメリカ、としか言いようがなく、言葉を失い、事態の異様さを感じた。

現場ではタイムズスクエアの南にあたる、42丁目からさらに南へ数ブロックに、ぎっしりと群衆が詰まっていた。

写真)パレスチナ側支持者ら 2023年10月13日 ニューヨーク

筆者提供)

対する、と言っては語弊があるが、イスラエルの国旗を掲揚したデモ隊は、パレスチナ側と接触出来ないように42丁目の北側に警察によって分断されていたが、参加人数は100人程度とパレスチナ側に比べれば随分と少人数だ(ただし、彼らを取り巻いて傍観する人々がさらに数百人くらいいた)。

写真)イスラエル側支持者ら 2023年10月13日 ニューヨーク

筆者提供)

抗議集会が始まったころ、警察が設けた規制線を飛び出して、イスラエル側から複数の人がパレスチナの群衆めがけて突進していったが、一瞬で拘束され、これを機に、42丁目は、警察によって北と南に完全に分断され、横断が全くできなくなった。

まさに、ガザとイスラエルの分断の様相である。

パレスチナを支持する人々の中に行ってみた。

写真)パレスチナ側支持者ら 2023年10月13日 ニューヨーク

筆者提供)

アメリカではハマスを非難する声が多いが、政治とは別に目の前で抗議の声を上げるパレスチナ側の人々は普通の人々だ。あくまでも自分の主観だが、パレスチナ側の人々の声は悲痛で、心情的には心を揺さぶられてしまう。対して、イスラエル支持側はパレスチナ側をただ非難するに終始している印象を受けた。

写真)パレスチナ側支持者ら 2023年10月13日 ニューヨーク

筆者提供)

子供を連れてきているパレスチナの人もいた。

写真)子連れのパレスチナ支持者ら 2023年10月13日 ニューヨーク

筆者提供)

いつもなら「大人の争いに子供を巻き込むな」と思うが、今は、戦地から離れていても、子ども自身も生死をかけた当事者になってしまっている事態に心が痛んだ。

イスラエル側は、現場で国旗を振っているのが100人程度であっても、アメリカ全体の支持がバックにあるとの思いがあるのか、余裕があるように見えた。

写真)イスラエル側支持者ら 2023年10月13日 ニューヨーク

筆者提供)

そして、抗議集会が終わろうとしてた頃、やや離れた場所で、イスラエルと、パレスチナ両方の国旗を無言で、高く掲げて振っている紳士がいた。国旗を2つ持ち、この場でそういう行動をしているのはこの紳士だけであった。

写真)イスラエルと、パレスチナ両方の国旗を無言で掲げてる紳士

筆者提供)

この場で、当事者でもない人が声を上げるのは勇気がいる。世界中のきっと誰もが、もう争いはやめて欲しい、と願っている。

動画はこちら

 

トップ写真:抗議の声を上げるパレスチナ側支持者 2023年10月13日 ニューヨーク 筆者提供)

 

 




この記事を書いた人
柏原雅弘ニューヨーク在住フリービデオグラファー

1962年東京生まれ。業務映画制作会社撮影部勤務の後、1989年渡米。日系プロダクション勤務後、1997年に独立。以降フリー。在京各局のバラエティー番組の撮影からスポーツの中継、ニュース、ドキュメンタリーの撮影をこなす。小学生の男児と2歳の女児がいる。

柏原雅弘

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