最新の世界経済見通し 新興国が成長を支え、先進国は足踏み

中村悦二(フリージャーナリスト)
【まとめ】
・IMFによると、世界実質GDP成長率は2024年から2025、2026年は0.3%上昇するとみられている。
・先進国・地域の見通しでは、2024年実績(推計)を1.7%、2025年と2026年の予測をそれぞれ1.9%、1.8%としている。
・新興市場国・発展途上国は若干高めの成長予測がされている。
■ IMF(国際通貨基金)、世界経済見通しの改訂版を発表
IMF(国際通貨基金)が2025年1月中旬に発表した世界経済見通しの改訂版によると、世界の実質GDP成長率は2024年実績(推計)の3.2%から2025年と2026年はそれぞれ3.3%になると見られている(図1参照)。米国は2%台を持続する見込みだが、ユーロ圏や日本、英国、カナダなどは低成長気味の傾向を示している。

▲図1 世界経済見通し成長率予測 出典:IMF「世界経済見通し」2025年1月改訂版
■ 先進国・地域の見通し
先進国・地域の見通しでは、2024年実績(推計)を1.7%、2025年と2026年の予測をそれぞれ1.9%、1.8%としている。
うち、米国に関しては、2024年実績(推計)が2.8%、2025年が2.7%、2026年が2.1%と見ている。
ユーロ圏については、2024年実績(推計)が0.8%、2025年と2026年予測がそれぞれ1.0%、1.4%とし、個別国ではドイツがそれぞれ-0.2%、0.3%、1.1%、フランスが1.1%、0.8%、1.1%、イタリアが0.6%、0.7%、0.9%、スペインが3.1%、2.3%、1.8%としている。
日本、英国、カナダ、その他の先進国・地域に関しては、日本が-0.2%、1.1%、0.8%、英国が0.9%、1.6%、1.5%、カナダが1.3%、2.0%、2.0%、その他の先進国・地域が2.0%、2.1%、2.3%と見ている。
■ 新興市場国・発展途上国は若干高めの成長予測
新興市場国・発展途上国に関しては、2024年実績(推計)を4.2%、2025年と2026年の予測をそれぞれ4.2%、4.3%と見ている。
地域および主要国別では、アジアの新興市場国と発展途上国で、5.2%、5.1%、5.1%。個別国では中国が4.8%、4.6%、4.5%、インドがいずれも6.5%としている。
欧州の新興市場国と発展途上国に関しては、2024年実績(推計)が3.2%、2025年予測が2.2%、2026年予測が2.4%とし、個別国として取り上げているロシアについては、それぞれ3.8%、1.4%、1.2%としている。
中南米・カリブ諸国では2024年実績(推計)が2.4%、2025年と2026年予測がそれぞれ2.5%、2.7%で、個別国としてブラジルとメキシコを取り上げ、ブラジルが3.7%、2.2%、2.2%とし、メキシコが1.8%、1.4%、2.0%と見ている。
中東・中央アジアは2.4%、3.6%、3.9%とし、個別国ではサウジアラビアを取り上げ、1.4%、3.3%、4.1%としている。
サブサハラアフリカは3.8%、4.2%、4.2%とし、個別国としてはナイジェリアを取り上げ、3.1%、3.2%、3.0%としている。
南アフリカに関しては、0.8%、1.5%、1.6%と見ている。
また、新興市場国・中所得国についてはいずれも4.2%とし、低所得発展途上国については4.1%、4.6%、5.4%としている。
トップ写真:IMF春季総会期間中の様子(2024年4月15日 ワシントンDC)出典:Alex Wong/Getty Images
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この記事を書いた人
中村悦二フリージャーナリスト
1971年3月東京外国語大学ヒンディー語科卒。同年4月日刊工業新聞社入社。編集局国際部、政経部などを経て、ロサンゼルス支局長、シンガポール支局長。経済企画庁(現内閣府)、外務省を担当。国連・世界食糧計画(WFP)日本事務所広報アドバイザー、月刊誌「原子力eye」編集長、同「工業材料」編集長などを歴任。共著に『マイクロソフトの真実』、『マルチメディアが教育を変える-米国情報産業の狙うもの』(いずれも日刊工業新聞社刊)

