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.国際  投稿日:2023/12/23

インド、経済成長で中国抜く【2024年を占う!】国際:アジア経済


中村悦二(フリージャーナリスト)

【まとめ】

・IMFは、世界の実質GDP成長率が2024年は2.9%に減速すると予想。

・2024年の中国の経済成長は4.2%、インドの経済成長(6.3%)の方が強い。

・新興市場国と発展途上国を中心に世界経済の成長見通しは弱い。

 

国際通貨基金(IMFは、世界の実質GDP成長率(前年比)は2022年の3.5%から2023年は3.0%、2024年は2.9%へと減速すると予測している。インフレ率は2022年の8.7%から、2023年は6.9%、2024年は5.8%へ低下すると予測している。

米国・ユーロ圏・日本・英国・カナダなど先進国の実質GDP成長率は2022年の2.6%から2023年は1.5%、2024年は1.4%と減速し、新興市場国・発展途上国のそれは4.1%→4.0%→4.0%と見ている。

先進国の経済成長については、米国が2022年に2.1%、2023年に2.1%、2024年に1.5%になるとする一方、ユーロ圏は3.3%→0.7%→1.2%成長としている。

日本、英国、カナダに関してはそれぞれ、1.0%→2.0%→1.0%、4.1%→0.5%→0.6%、3.4%→1.3%→1.6%成長と見ている。その他の先進国はそれぞれ2.6%→1.8%→2.2%成長としている。

新興市場国と発展途上国の経済成長については、2022年が4.1%、2023年が4.0%、2024年も4.0%とし、地域別ではアジアの経済成長が4.5%→5.2%→4.8%、欧州のそれが0.8%→2.4%→2.2%、ブラジルやメキシコなど中南米・カリブ諸国が4.1%→2.3%→2.3%、サウジアラビアやモロッコなど中東・中央アジアが5.6%→2.0%→3.4%、ナイジェリアや南アフリカなどサブサハラアフリカが4.0%→3.3%→4.0%としている。

アジアの主要国の経済成長に関しては、中国が2022年に3.0%、2023年に5.0%、2024年に4.2%、インドがそれぞれ7.2%、6.3%、6.3%とインドの経済成長の方が強いと見ている。(表1参照)

▲表1 IMF世界経済見通し(2023年10月)

一方、アジア開発銀行は2023年12月13日に発表した「アジア経済見通し2023年12月版」で、アジアの発展途上地域の成長率について、2022年が4.3%、2023年9月見通しが4.7%、同年12月見通しが4.9%、2024年9月と同年12月の見通しが4.8%としている。  

中国、インドのそれについては、中国が3.0%→4.9%→5.2%→4.5%→4.5%、インドが7.2%→6.3%→6.7%→6.7%→6.7%としている。(表2参照)

▲表2 アジア経済見通し2023年12月版

IMFのピエール・オリヴィエ・グランシャ経済顧問兼調査局長は、「中国の不動産危機が激化し、複雑な政策課題を突き付けている」と2023年10月10日付の世界経済見通しの中で指摘し、「中国経済は信用主導型の不動産成長モデルから機軸を移す必要がある」としている。

同顧問はまた‶新興市場国と発展途上国を中心に世界経済の成長見通しは弱い〟とし、その結果として‶先進国の生活水準との格差縮小ペースの遅延、財政的余裕の減少、債務の脆弱性やショックへの露出の増大、パンデミックや戦争による傷跡の克服機会の喪失〟などが表面化すると警告している。

東南アジアでは、人口2億7000万人超の大国インドネシアが2024年2月の新大統領選出に向け大統領選挙の最中にある。タイも政情が安定しているとは言い難く、政治動向への目配りも必要となろう。

トップ写真:インド、ムンバイ市内中心部からの眺め 提供:Getty Images / Alex Robinson




この記事を書いた人
中村悦二フリージャーナリスト

1971年3月東京外国語大学ヒンディー語科卒。同年4月日刊工業新聞社入社。編集局国際部、政経部などを経て、ロサンゼルス支局長、シンガポール支局長。経済企画庁(現内閣府)、外務省を担当。国連・世界食糧計画(WFP)日本事務所広報アドバイザー、月刊誌「原子力eye」編集長、同「工業材料」編集長などを歴任。共著に『マイクロソフトの真実』、『マルチメディアが教育を変える-米国情報産業の狙うもの』(いずれも日刊工業新聞社刊)


 

中村悦二

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