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.国際  投稿日:2014/9/22

[現役女子大生・留学リポート]【海外から震災の風化を止める】—カナダから“日本”を発信する若者達—[三木絵未奈の異国の地で日々、奮闘中!10]


三木絵未奈(立命館大学・カナダ留学中)

風評被害と風化。この二つの風は、東北の被災地を未だに苦しめている。日本では様々な復興支援イベントが行われており、多くの若者が参加していると聞く。しかし、復興への想いが強いのは日本にいる若者だけではない。

私がカナダに来て驚いたのは、震災の影響によって日本や東北に対する誤ったイメージを持っている人が多い事だ。日本のような小さな国があれだけ大きな地震をうけ、深刻な原発事故まで起きたとなると、日本全体が危険だと思っている人も少なくない。しかし同時に、日本という国や文化に興味をもっている人が多い事も事実である。私はカナダで生活していくうちに、日本人として震災に関する誤った認識を変え、被災地の現状を伝えたいという思いが次第に強くなっていった。

さらに、震災のイメージが強い日本の魅力的な文化を共に紹介し、日本に足を運んでもらうきっかけを作りたかった。なによりも“本当の日本を知ってもらいたい”という想いが若者を動かした。そして、同じ想いを持った24名の日本人留学生はRits Real Japan Project(以下RRJP)という団体を発足させた。

2014年3月10日から12日の3日間、活動の第一歩として留学先のブリティッシュコロンビア大学(以下UBC)で開催した日本に関する展示イベントには予想をはるかに超える人々が集まった。

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(イベント中の様子)

展示内容は大きく分けて震災と日本文化の2つ。震災ブースは地震・津波・放射能とさらに3項目に分け、震災の被害や被災地の現状などを写真や映像とともに展示し、文化ブースでは移り変わる四季とサブカルチャーを紹介した。

写真・情報収集、運営資金の調達などもすべて自分たちで行い、想いがより伝わるようにと手書きにこだわった展示パネルには多くの人々の目が止まった。

   

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(展示物の一部)

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(展示物の一部)

3日間の来場者は総勢1000人を超え、来場者を対象に行ったアンケート調査では742名から回答が得られた。

大学構内で開催した事もあり、来場者の約9割が10代から30代までの若者であったことが集計結果からわかった。また、回答者の約3人に1人が日本に対して懸念を抱いていると回答し、約7割の人が今回のイベントによって不安や懸念が軽減されたと答えた。

そしてやはり来場者の関心がもっとも集まったのは放射能だ。放射能はもはや日本だけの問題ではない。「放射能は世界中に広がっている」「状況は悪くなる一方だ」「本当に安全といえるのか」などと多くの意見が寄せられ、安全性の徹底的な追求と世界への情報発信の必要性を強く感じる結果となった。

「震災の影響がまだ残っている事を知らなかった」という声がいくつもあがった事からも、海外では風化が進んでいることが伺える。“震災はまだ終わっていない”そのメッセージはカナダの多くの若者に届いたのではないだろうか。

東北への風評被害と震災の風化を防ぐためには、日本だけでなく海外でもこうした活動を広めていく必要がある。“本当の日本”を知ってもらうこと、そして日本の若者が海外の若者に向けてそれを発信し続ける事が何よりも大切なのだ。

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