.社会  投稿日:2014/10/24

[佐々木瞳]【気仙沼市大島・ブランド化への挑戦】~被災牡蠣養殖業者の挑戦 ~

気仙沼1
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佐々木瞳(元ラジオ福島・アナウンサー)

執筆記事

吹く風は優しく、高台から見る景色は緑豊かで雄大、吸い込まれそうな空が広がる気仙沼市・大島。

気仙沼漁港から、フェリーで25分のところにあるこの島は、養殖漁業が盛んな島であったが、震災・津波の被害に遭い、以前は亀山地区に7軒あった養殖業者のうち3軒で養殖漁業が再開されている。

その養殖業者の1つであり、以前、取材させてもらった「ヤマヨ水産」は、牡蠣の養殖をメインに営んでいるが、この日は牡蠣の本格出荷の時期ではなかったので、養殖のムール貝の殻むきを手伝わせてもらった。

気仙沼2

このヤマヨ水産は、震災後、「復興・オーナー制度」を導入した。この制度は、牡蠣を購入したいという人がオーナーとなり、1口1万円を支払うと、牡蠣が送られる制度だ。今年もこの制度を利用し、「顔の見えるお付き合い」をモットーに、消費者との繋がりを大切にしている。

しかし、それでも出荷量は、震災前の2割~3割程度だ。「この現状を変えるには、漁業関係者が繋がり、“地域ブランド”をつくり、魚介類の価値の底上げをしていかないといけない。」とヤマヨ水産の代表小松武さんは話す。

こまつさん

 <小松さん>

 

そのような想いから小松さんは、今年の7月から気仙沼地区の漁協協同組合の運営委員に加わった。

現在、漁協は、養殖の牡蠣やホタテなどを、一定の値段で仲介人から購入している。いくら生産者が手間暇かけて高品質な牡蠣を育て、収穫してもそれが価格に反映されないのでは意味がない。

ヤマヨ水産は以前から直販も行ってきたが、自分のところだけブランド化を進めることに忸怩たるものがあった。大島というこの素晴らしい漁場で最高峰の牡蠣を作る。この漁場から獲れた魚介類だけでなく、大島というこの地をブランディングしていかなければいけないのではないか。そんな思いからの運営委員への加盟だった。地域をより発展させていくには漁協と協力しあって前に進むことが必要なのでは、と考えるようになったのだ。

「今後、売るところまでを努力して、ルール作りを進めていかなければならない。個人が努力して良いものを評価して買ってもらえるように呼びかけていきたい。そのためには、周りを巻き込んでいかなければならない。」と小松さんは意気込みを語った。

今後、漁協と話し合いを重ね、気仙沼の魚介類を知ってもらうためのイベント等も開催したいと小松さんは話す。

4年後の平成30年には、本土と大島を結ぶ「大島架橋」が完成する予定だ。

この橋が繋がれば、人の行き来も増える。そのときに、「気仙沼ブランド・大島ブランドの魚介類が食べたい」といってくれる人が沢山訪れてくれるようになるように。小松さんら、被災した漁業関係者のこうした取り組みは、これからの日本の漁業の未来を占う試金石となるだろう。

 

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