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.社会  投稿日:2014/11/30

[野村絵理奈]【男性も家事や育児に参画を】~仕事だけでない人生の素晴らしさ~


野村絵理奈(株式会社KEE’S代表取締役)

執筆記事

 

「女性が輝く日本」「世界で一番女性が活躍する国」。女性の社会参画が成長戦略の柱とされてから久しいが、ワーキングマザーの一人として日々感じる事は、まだまだ「女性が生きにくい世の中」だという事だ。先日、その事を改めて痛感する出来事があった。

私ごとではあるが、7月に第2子を出産した。29歳の時に起業し、34歳で初めての出産。リーマンショックや災害などのアップダウンを経てなんとか起業10年目を迎える39歳の年に、まさかの高齢出産。その事自体は喜ばしい出来事なのだが、出産と同時に、なんと、夫の地方転勤が決まってしまったのだ。

もともと両親は地方在住、会社経営と育児、家事をこなすために夫の育児サポートは必須だったのだが、出産には何とか立ち会えたものの、退院を待たずに地方に旅立ってしまった。当初は、会社にクレームの一つでもしようかと思ったが、妻の立場からは堂々と意義を唱える事が出来なかった。

日本では、まだまだ働く女性は肩身が狭い。社会通念上「単身赴任時には女性がついて行くべき」、「女性は出産後、母親業を重視すべき」という考え方が主流で、「女性が経営者として、仕事を重視する」事自体が異例で、タブー視されている気さえするからだ。男女共同参画社会という考え方に置いて、妻の就労状況を考慮しない夫の転勤のようなものも、女性の社会進出を阻む制度の一つではないかと思う。

世界経済フォーラムが公表している、社会進出における男女格差を示す指標、ジェンダーギャップ指数は、日本は2014年、134か国中104位で、特に「意思決定機関」への助成参画が低いと評価されている。ジェンダーの問題は、意識改革が先か制度が先か?と言われる事が多いが、そのほとんどが男性側から見た意識や制度の改革である。

しかし、男女共同参画社会の考え方のように、本当に男女が「平等な立場の社会の構成員」となるには、女性が男性と同様に社会に参画するだけではなく、男性が女性と同じく家事や育児に参画しなければならない。そのためには、男性も女性と同レベルで、仕事と家事、育児を負担する意識と、制度を本気で作り上げなければならない。

事実、私は仕事をしながら家事や育児に奮闘する人生の豊かさを男性にも是非味わってほしいと心から思っている。私自身、4歳の息子と4カ月の乳児を抱え、会社経営と家事全般をこなす毎日は、フルタイムの仕事を2本掛け持ちしているレベルで、心身ともに大変だ。でも、仕事も家庭も本気で頑張っているからこそ味わえる人生の醍醐味がそこにはある。

”Life is beautiful”。自己実現や仕事ばかりではない人生の素晴らしさを日本の男性に広める事も、日本が目指すべき男女平等な社会に繋がるのではないかと思う。

 

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