[水野ゆうき]政治家の家族〜家族の理解が政治家にとって一番の支え
水野友貴(千葉県我孫子市議会議員 )
執筆記事|プロフィール|Web|Twitter|Facebook
政治家というのは1人でなれるものではない。市民、県民、国民の支援をいただく前に、家族の理解と了承が必須となる。これまでの記事では金銭面や地盤等について言及してきたが、政治家になると覚悟を決めたらまず初めに突破しなくてはならないのが「家族」である。
生まれながらにして政治家を目指さなくてはならない家庭もあるだろうが、私のようにサラリーマン家庭に育った何のノウハウもない選挙素人の人間が選挙に出る場合は、家族への説明が第一関門となる。幸運にも私はニュースしか見ない、食卓の会話の9割は政治経済という家庭で育ったため、両親からは出馬に関して特段反対はなかった。むしろ、その志を全うしなさい、と背中を押してくれた。しかし、出馬を意識しながら様々な政治家や各地の候補者に取材をすると家族の反対を押し切ることが何よりも大変で、断念した人も少なくなかった。
誰にでも適性があるとは言い難い政治というハードな仕事を自分の子供(夫・妻)にさせたくない、人から不必要に批判を受けたり、知らない人に頭を下げるような仕事をさせたくない、何よりも落選の可能性が常につきまとうため不安定ということが反対理由に挙げられるだろう。
出馬を決意し、駅に立ち始めると市民が関心を示し、投票日に近くなればなるほど、メールやFAX、手紙、電話が我が家に殺到した。政策の内容や公共施設建設の有無、放射能問題への取り組みといった市政に関する内容はもちろんのこと、国政レベルの外国人参政権等の質問も一日中ひっきりなしに来た。事務所がないため、他陣営が我が家に上がり込んで偵察に来たこともあった。普通の感覚では有り得ない非常識な行動なので「政治」というものに非常に驚いた記憶がある。
候補者である私本人は外で街頭演説をしたり討議資料(いわゆるチラシ)を配布したり市民と触れ合うことが主な活動のため、両親はそれらの対応に疲れ果てていた。私の政策や発言に反対する市民や私の議会における投票行動に不満を持ち、たまたま私が電話に出れずに両親が出ると電話口で両親も批判される。市議レベルでは到底秘書を雇う財力なんか全くない。しかし、両親は文句も言わず「本人が一番苦労しているのだからこれくらいなんでもないよ」と声をかけてくれる。
私の場合は両親であるが、周りを見渡すと政治家の妻や夫、子どもたちも苦労している。選挙で一緒にお願いしたり、知人を渡り歩いたり、事務所で対応したり。子どもも学校で色々言われるようだ。しかし、家族の理解や開き直りがあれば、これらを乗り越えられる。そして理解してもらうためには政治家である本人が活動で恩返しをすることだ。
本人の強固な意志のみならず家族の理解、実はこれが政治家にとって一番の支えとなる根幹なのだ。
【あわせて読みたい】
- 若手女性議員が増えない理由〜教育水準世界1位でもジェンダー・ギャップ指数は105位の日本
- 若さだけでは議員に当選できない時代へ。
- 宝の山「NIPPON」を日本人が認識するための、国内クール・ジャパン活動をもっと!
- “エシカル Ethical”〜新しい概念を地域に根ざした街づくりに
- 地方議員の台所事情~地方議会の課題~