[知夏七未]「メリークリスマス!」は当たり前ではない?!クリスマスシーズンでも文化が違えば全く違う?!〜ユダヤの『ハヌカ祭』をご存知ですか?
知夏七未(パフォーマー)
はじめまして、知夏七未と申します。ご縁あってこちらへ寄稿させて頂くこととなりました。ここでは、私が訪れた様々な国の「ちょっと面白いこと」や「ドキドキワクワクすること」をお伝えしていければと思っています。
第一回目の今回は、季節的なことをテーマにしたいと思います。今の季節…と言えば、そう。当然、クリスマスですよね。
普段、宗教を意識している人が多いとは言えない日本でも、クリスマスは一大イベント。当然、アメリカであれば、日本とは比較にならないほど大きな「メリークリスマース!」の声が響き渡っているのだろうな、と思われている方は多いかもしれません。しかし、意外や意外。多民族国家であるアメリカ、特に人種のるつぼといわれるニューヨークでは、「Merry Christmas」の声を聞くことは驚くほど少ないのです。ご存知でしたか?その代わりによく耳にするのは、「Happy Holidays!」という言葉。それはなぜなのでしょうか?
その背景には、ユダヤ教徒の存在があります。実はキリスト教徒が祝うクリスマスのこの時期、Hanukkah(ハヌカ)と呼ばれるユダヤ教のお祭りも行われるのです。ニューヨークはユダヤ系の人が多いため、クリスマスもハヌカも一緒にお祝いできるように、「Happy Holidays!」と言うのが自然と定着したようです。
ちなみに、ハヌカは8日間続き、宗派による違いもあるようですが子供たちは8日間プレゼントをもらい続けます。年に1日しかないクリスマスと比べると、ちょっと羨ましいですね!私の友人もこの期間はキッパというユダヤの帽子(円盤のような小さい帽子)を被り礼拝に行っています。「クリスマスとは全然違うから混同しないでね」と念押しされました。
私は日本で東京にあるユダヤ人コミュニティーのハヌカイベントに参加する機会がありました。子供の多いイベントだったので、皆ハヌカソングを歌って楽しい雰囲気で盛り上がったのですが、私としては、当然、聞いたことのない歌ばかりですから、とても新鮮に感じました。
ハヌカとは、紀元前2世紀にユダヤ人がセレウコス朝シリアとの戦争に勝利し、エルサレム神殿の奪回を記念したことが起源。この時に、わずかな油が8日間明かりを灯し続けたという伝説から、祭りの間中ハヌキヤと呼ばれる燭台に1日毎ロウソクに火を灯し、8日目には全部のロウソクが灯るようにします。また、お菓子はケーキでなく揚げ物(揚げパン等)になっています。そして伝統的なゲームはコマ遊び。「クリスマスとはだいぶ違うよ!」という友人の言葉を改めて思い出しました。
ところでハヌカのイベントで、私もダンサーとして踊りのパフォーマンスで参加する企画がありまでした。しかし、打ち合わせに行ったところ「女性が人前で歌い踊るパフォーマンス」は、ユダヤ教では好ましくないとのことで、ダンスパフォーマンスはお琴の演奏に代わり、私は通訳として参加することになったという経験もあります。
様々な宗教的行事を自然と受け入れている日本人にとって、なんとなく不思議に感じられるかもしれませんね。しかし、祝うものは異なれど、やはりお祝いシーズンはわくわくします。イベント盛りだくさんのホリデイ・シーズン、それぞれの国の歴史に根ざした文化に思いを馳せながら楽しみたいものです。
では、皆様もHAPPY HOLIDAYS !!!
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知夏七未(ちなつ・ななみ)1985年、東京生まれ。 幼少期よりバレエ、ジャズダンスを学びショービジネスを志すも、国際政治経済や世界の子供たちの状況にも興味を持ち上智大学英語科へ入学。 在学中NYへ渡米、現地でダンスカンパニー団員、キッズダンススクールアシスタントなどとして活動。 帰国後はショー活動と国際交流活動とを同時に実現でき、語学を生かせる場としてページェント(ミスコン)モデル業界へ。日本代表として約60か国の女性たちと世界大会へ参加。また、着物ドレスによるパフォーマンスグループ”美・JAPON”にてダンサー・モデル及び翻訳等を務める。“世界中に友達を作りたい!世界の踊りや音楽、衣食住などの文化を知りたい・広めたい!”という思いから、“日本文化の美しさを世界に・世界の文化の面白さを日本に”を軸に、それぞれの国や文化のドキドキワクワクすることを広める活動を模索・推進中。